43話 あの人の正体
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【ミサside】
私は恐怖のあまり、テーブルに押し倒された後、自分の横に光っているシルバーのナイフが目に入ってきた。
人なんて刺した事は無い。
でも殺らないと殺られると思った私は、とっさにナイフを握りしめ彼の腹部に思いっきり刺した。
銀はヴァンパイアにしてみたら弱点の一つだ。
すると案の定、悟浄さんは苦痛に表情を歪めると、血を流して床に倒れ落ちた。
「ハァッ…ハァッ!」
まさか…
まさか悟浄さんが本当のヴァンパイアだったなんて!
存在していたなんて…!
何とかして此処から逃げないと!!
私は無我夢中で彼の屋敷から走って逃げた。
手には悟浄さんの血がベットリと付いており、先ほど刺した感触もまだ鮮明に残っていた。
「でも…さっきあの人に刺したものは銀のナイフ…。
もしかしたらそのおかげで…「死んだと思ったかい?」
「Σっ!!?」
背後から声が聞こえ、後ろを振り向くとそこには確かに殺した筈の悟浄さんの姿があった。
「な…なんで」
浄「何で?
そうだよな…ちゃんと銀のナイフで刺した筈なのに……。
言ったろ。
俺は最も優れ、進化したヴァンパイアだって。
あのぐらいで死ぬのは下級ヴァンパイアぐらいだぜ。
本にも載っていただろ?
『ヴァンパイア一族は不死身な存在なので銀の弾丸でない限り、首を落とされても心臓を杭で打ち込んでも死ぬ事はない』ってな」
「そ…んな」
浄「未確認生物の事色々調べてたんだろうけど、『彼等も時代とともに進化している』ってことは忘れちゃいけねぇよ」
悟浄さんはジリジリと歩み寄り私に近づいてきた。
それと同時に私も一歩一歩後ろに下がっていく。
まだ9時前だと言うのに人通りはとても少なく、虚しく街灯だけが私達を照らしていた。
その時だった。
”ゴーン!!…ゴーン!!…ゴーン!!”
近くの教会からだろうか。
丁度9時を知らせる鐘の音が町中に響き渡ると、一瞬悟浄さんは頭を抑え苦痛の表情を浮かべた。
っ…チャンス!
彼が苦しんでいる間に、私は彼の元からダッシュで走り出した。
.