37話 君が異性に変わってゆく
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【今から12年前】
アイツはお師匠様に手を引かれ、突然金山寺にやってきた。
名前は名無し。
自分の生まれ育った村が妖怪の襲撃にあい、只の肉片となった両親の側で泣いている所をお師匠様に保護されたらしい。
暫くの間名無しはお師匠様の側から離れず、彼女が落ち着きを取り戻すまでは誰とも会話をする事は無く、俺でさへ用件があるとき以外名無しと話す事はしなかった。
光「江流、名無しを見かけませんでしたか?」
江「名無しですか?
いえ、今日は見てませんね。
探してきましょうか?」
光「…お願いします。
あ、名無しを見つけても怖い顔をしちゃダメですよ」
江「わ、わかってますよ∪」
以前名無しが俺の顔を見たとき、怒っていると勘違いして目に涙を溜めて、今にも泣きそうな顔をしていた。
それからというもの、お師匠様からはなるべく笑う様にって言われたが俺はこれが素だっつーの#
ったく、アイツは一体何処に行きやがった?
なるべく面倒な事には関わりたくない
さっさと見つけて、俺は自分の仕事に戻る
本堂から少し離れた所を探すと、大きなイチョウの木の下で小さな声ですすり泣く声が聞こえて来た。
こんな所にいるのは、今探している名無ししかいないということは分かっていた。
「っ…ヒクッ…ぅう…ヒクッ」
江「また此処にいたのか」
「Σっ……うっ…」
江「泣くな。
俺は別に怒っているわけじゃない。
…それに……この顔も生まれつきだ」
俺の顔を見て余計にビビったのか、名無しは体をビクつかせて目から涙を流していた。
だが俺はこれ以上泣かれては困ると思い、そっと名無しの目に指を持っていき涙を拭った。
江「此処には俺もお師匠様もいる。
もう何も不安に思う事は無い……だから泣かなくて良い」
「っ…う…うん」
その言葉に安心したのか、名無しはこれから以降泣く事はしなくなった。
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