21話 見つけた光
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それから暫くして、明日には晴れると思ったので雨の中買出しに向かった。
本当はこんな雨の中、好き好んで外出なんかしないけど何故かその時だけはダルイ体を無理矢理動かして外に出た。
さっきよりも少し雨脚が強くなったような気がした中、僕は何かを買うわけではなくその場に立ち尽くしていた。
町の中心である市場には当然客は少なく、メイン通りには虚しくも傘を差した僕と、地面に打ち付ける雨だけだった。
頭の中では買出しを済ませて、「速く宿へ戻らないと」ということは解っていた。
でも無意識の内に足は人気の無い森に向かって歩き始めていた。
八「……まるで耳鳴りみたいですね……」
未だに耳の中では消える事の無い耳鳴りが響き、頭の中では檻の中で倒れている「愛しい人」の姿が映し出されていた。
八「か…なん……僕にはもう愛される資格は無いんだね
……多分此処で僕が死んでも…心配してくれる人は………」
【特に用は無かったんだけど、今日は八戒の姿を見てなかったから心配だったの】
【八戒が何でそんなに苦しんでるか解らないけど、苦しいことを一人で背負うより、二人で背負ったほうが少しは楽でしょ?♪】
っ……あ…――。
その時、部屋で雷が言ってくれた言葉が脳裏をよぎった。
そして僕に微笑んでくれた顔を思い出すと、さっきと同じように胸が熱くなった。
「…―雷…」
どんなに彼女の名前を読んでも、それは虚しく雨音にかき消されるだけで、密かに側に居てほしいと思っても、無駄なことだった。
そんなときだった。
「八戒!!」
名前を呼ばれた気がして後ろを振り向くと、ずぶ濡れになりながら息を切らせて走ってくる雷の姿があった。
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