第32話 安堵の目覚め
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……っ…みんな……無事で……よかった……」
鏡花の瞳から、自然と涙がこぼれ落ちる。
それは安堵と愛しさと、そして後悔にも似た複雑な想いが入り混じった涙だった。
原「なんだよ、泣くなっての
俺たちはへっちゃらさ」
そう言いつつも、原田の頬にも小さな傷が残っている。
斎「ふっ、我々はこれしきの傷で倒れるような未熟者ではない」
だがその肩には、まだ動かしづらそうな大きな包帯が巻かれている。
沖田はおどけて笑ってみせた。
沖「心配かけたね鏡花ちゃん
けどさ、目を開けてくれてホントによかった
正直……敵にやられるよりも、君が目を覚さないほうが怖かったよ」
土方は少しだけ視線を逸らし、無言のまま立っていた。
けれど、その拳がわずかに震えているのに鏡花は気づいていた。
永「……今は無理すんなよ!
また元気になったらさ、皆で一緒に甘いもん食いに行こうぜ!」
平「だったら、最近できた甘味処とかいいんじゃねぇ?」
それぞれの言葉が、どれも彼女の胸に染み渡った。
するとその時だった——。
卯「失礼します」
部屋の外から落ち着いた静かな声とともに襖が開くと、そこには白い羽織を揺らしながら入ってくる卯ノ花烈と、すぐ後ろに従う虎徹勇音、そしてその隣には扇子を持った浦原喜助の姿があった。
卯「目を覚まされたようですね鏡花さん」
虎「本当によかったです……!」
浦「お目覚めおめでとうございますッス、鏡花さん♪
いや〜これでだいぶ空気が明るくなりますよ〜」
恋「鏡花隊長、スゲェ心配したんスからね」
「……卯ノ花…隊長……勇音さん……喜助さん……恋次」
彼らの姿を見た瞬間、鏡花は体を起こそうと力を入れようとしたが、それを白哉が阻止した。
白「まだ無理するな
今はそのまま横になっていろ」
卯「そうですよ
体の方はまだ完全ではありませんからね
ですが、命の危機は脱しました
これも千鶴さんと皆さんの献身があってこそですね」
虎「治療の途中、何度も霊圧が弱くなって……本当に、怖かったです」
「——ご迷惑を…おか…け…しました…」
喜「迷惑だなんて思ってないっスよ」
「——喜…助…さん」
喜「鏡花さん今はまだ安静にしててください
その代わり明日、今回のことでいろいろ聞きたいことがあります」
「わかってる…私も…報告…すること…あるから」
卯「それでは詳しい話は明日に回しましょう。
あなた方も完治したわけではないのですから」
卯ノ花は優しくも厳しい声色と表情で土方たちに視線を向けると、一気に背筋を凍らせた。
虎「治療の薬湯を用意してあります。あとで少し飲めば、明日にはもっと楽になるはずです」
沖田が「おいしいといいなぁ」と小さく茶々を入れ、原田と平助が「薬は薬だろ」と肩をすくめる。
部屋には小さな笑い声がこぼれ、張り詰めていた空気がふっとゆるんだ。
白「……兄らも部屋へ戻れ。
休養は命令だ。
明日からまた動くことになる」
土方が「こっちも同感だ」と短く言い、沖田や斎藤、原田らは「はいはい」と口々に返事をする。
千鶴は名残惜しそうにしながらも勇音に肩を軽く押され、恋次、喜助、卯ノ花も廊下へと下がった。
襖が閉まり、部屋がしんと静まった。
白哉はふたたび座り直し、彼女の枕元で静かに目を閉じた。
細い指先は、離れないようにそっと彼女の手を包み込みながら──
白「……もう心配はいらない。
鏡花もゆっくりと休むが良い」
鏡花はその言葉を子守歌のように胸へ落とし、長いまばたきをひとつ。
まだかすかな痛みを抱えつつも、あたたかな眠りへ再び身をゆだねた。
END
3/3ページ
