第31話 死神登場
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一方そのころ喜助と恋次は大広間の外に出て、縁側に腰を下ろしていた。
自分たちの背後の障子越しには鏡花の微かな寝息と、千鶴たちの小さな声が聞こえ、治療が終わってひと段落した空気の中、二人はまだ張り詰めた表情を崩せずにいた。
喜助は扇子をパタパタと扇ぎながらも目元は笑っておらず、恋次も腕を組んだままじっと外を見つめていた。
恋「……浦原さん、さっき言ってたこともう少し詳しく聞かせてくれ」
浦「やっぱ気になってました?」
恋「……ああ
ギンがこっちの世界に来たってだけでも不自然だ
それに、あんな傷を鏡花隊長に負わせるなんてあり得ねぇ」
喜助は少しだけ黙り込み、扇子をたたんで膝の上に置いた。
浦「実は……今回の“歪み”の反応…ここ数日で急激に強くなってたんスよ
まるで、誰かが“意図的に何かで”開いてたみたいにね」
恋「歪み……か」
浦「はい
初めはこちらの世界に虚が出没するだけでしたが、今回は明らかに外から“鍵”を使ってこじ開けた痕跡がある」
恋「鍵……それはわかってんのか?」
浦「それが分かれば苦労しないんスけどねぇ……ただ、気になるのは“市丸ギン本人が動いた”ってこと
奴は藍染と違って表に出たがるタイプじゃない。
なのにわざわざリスクを背負ってまでこっちに来たってことは命令でしょうね。
いくら隊長格でも、何も対策をしないでこちらの世界に来ることはできないっスから」
恋「つまり、目的は“この世界”じゃなくて“個人”ってことか」
浦「……ええ。おそらく、鏡花さんです」
喜助の声は静かに、でも確かな確信を含んでいた。
浦「藍染は彼女のズバ抜けた霊圧を手に入れたいのでしょう
自分の近くに置くことで虚圏全体の強化にもなる…」
恋「……ズバ抜けた霊圧、か」
浦「ええ
鏡花さんの霊力の性質、ちょっと特殊なんスよ。
ただ強いってだけじゃない。
“同調”と“拡張”……つまり、周囲の霊圧や空気に溶け込んでそれを増幅・強化する能力を持ってる」
恋「周囲に影響を与える……それってまるで、“核”みてぇな存在じゃねぇか」
浦「その通り。
中心にいるだけで、味方の力も底上げできるし、逆に敵が手に入れたら――全体の力が一気に跳ね上がるってワケです
そんな特殊な霊圧の持ち主だからこそ、鏡花さんは何処にも属さない護廷十三隊全体のサポート役の零番隊であり、今回のこの任務にも抜擢されたんスよ」
恋次は唇を噛みしめ、手元の拳に力を込める。
恋「——また…市丸はここに攻めてくると思うか?」
浦「まぁ、ゼロでは無いでしょうね
どうやってここに来たのかは分かりませんが、一度来れたのなら二度目もあるってことっスよ」
恋「浦原さん、この世界を行き来できるよう何とかならねぇのか?」
浦「今回はあくまで仮の通路なので、かなり不安定なんスよ
ちゃんとした安全な道を作るには、市丸がどうやってこの世界に来れたか鏡花さんに聞く必要があります。
まぁ、それまでにあちらさんが攻めてこないことを願うっスよ」
喜助は再度帽子を深々と被り、彼らの間を通り抜ける穏やかな風が縁側の木の床をさらりと撫でていく。
しかし、その風とは対照的に、二人の間に流れる空気は重たかった。
その時、大広間の障子がわずかに開き、勇音が顔を出した。
勇「お二人とも鏡花さんの容体が少し落ち着きました。
今は眠ってますがいつでも面会できますよ」
喜助と恋次は顔を見合わせ、小さく頷いた。
浦「行きましょうか阿散井さん」
恋「……あぁ」
二人は静かに立ち上がり、静寂の中彼女の眠る部屋へと歩き出した。
続く
