第30話 6通りのスイートタイム
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土方の部屋を後にした凛が最後に向かった場所は、リズミカルにまな板の叩く音が聞こえてくるキッチンだった。
そこではでは食欲をそそるブイヨンの香りが立ちのぼり、艶やかなスープの湯気が窓辺の陽射しを揺らしていた。
広々としたキッチンの中央には、エプロン姿のサンジが立っていて、
フライパンを片手に軽やかに食材を扱う彼の横顔は、まるでプロの料理番組を見ているかのようで思わず見とれてしまう。
すると——
サ「見惚れるのはもっと近くでどうぞ、凛ちゃんv」
「き、気づいてたの?∪」
視線が合った瞬間サンジは軽くウィンクをして微笑んだ。
サ「そんなに遠くから覗かないでくれよ
君のために美味しいの作ってるんだからさ」
彼の声に心臓がトクンと跳ねる。
昨日キッチンで2人きりでチョコを作った記憶がふと蘇る。
「その……昨晩作ったチョコ……これ、あらためて受け取ってくれる?」
凛は少し顔を伏せながらラッピングした小さな包みを両手で差し出すと、サンジの手がゆっくりと重なり彼はまるで宝物を扱うようにそれを受け取る。
サ「ありがとう……凛ちゃんが俺のためにくれたチョコ
もうそれだけで世界一甘いよ」
「まだ……食べてないのに」
照れくさそうに笑う彼女の頬がほんのり赤く染まり、サンジは愛しさを堪えるようにふっと笑った。
サ「いいんだよ。
君の気持ちが包み越しに伝わってきてるから」
そう言ってサンジは包みを大切そうに胸元のポケットにそっとしまうと、その仕草がなんだか特別で凛の胸がまたドキリと高鳴る。
「——なんだか照れくさいな
でもありがとう
…さて、皆んなに渡せたし、私はそろそろ部屋に」
凛は全員に渡した終えたため、部屋に戻ろうとしたそのとき——。
”グッ”
サ「ダメ」
彼の低く優しい声がすぐ背中から落ちてきたかと思えば、サンジの手が彼女の手首をとらえた。
サ「……今日は、逃がす気ないんだ」
「っ……サンジくん……?」
引き寄せられるようにして向き合った次の瞬間、サンジはふわりと自分の額を彼女の額へと重ねた。
触れるか触れないかの距離。
だけど、全身を包まれるような熱が流れ込んでくる。
彼の吐息に混じっていつも愛用しているタバコの香りが鼻腔をかすめ、甘く優しい声は耳の奥へと届いてきた。
間近で感じる視線と熱に凛自身も体が硬直しそうになった。
サ「昨日、ずっと思ってたんだ。
……この時間がずっと続けばいいって
君が誰かにチョコを渡してる姿を見るたび……内心ちょっとだけ嫉妬したりしてたんだぜ」
「……え?」
サ「でも、それでも。
俺は最後でもいい。
凛ちゃんが“最後に俺のところへ来てくれる”って、信じてたから」
その言葉に凛の胸が一気に熱を帯びる。
サンジくん……/////
サ「……ねぇ、凛ちゃん」
彼女が何かを返す前に——
サンジはそっとその頬に指を滑らせ、視線を合わせたまま柔らかく唇を重ねた。
不意打ちだった。
けれど、そのキスはとても丁寧で優しくて、彼の「想い」をすべて込めたような深さがあった。
「っ……」
サ「大好きだよ凛ちゃん」
ほんの数秒のキスを終えたサンジがそう囁くと、彼女は何も言えずにただ胸の前でギュッと拳を握る。
サ「……照れてる顔かわいすぎ」
「も、もう……!
サンジくんのばか/////」
赤くなった顔を隠すように彼の胸に手を当てたが、サンジはその手を自分の手で包み込んだ。
サ「今度は2人で何か作ろうよ。
そのときはまた野郎どもには内緒でv」
「うん
楽しみにしてるよ♪」
——ブイヨンの香りと甘いキス。
2人だけの“特別なキッチン”は、静かに温度が上がっていった。
END
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