第30話 6通りのスイートタイム
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凛は銀時の部屋を出て、廊下の突き当たりにある一番奥の扉の前で足を止めた。
「次は喜助さんか
銀ちゃんと違って、もう起きてるはずだよね」
”コンコン”
「喜助さん起きてる?
お邪魔してもいい?」
喜「はぁ〜い、どうぞぉ♪」
いつもの調子で返事が返ってきたので扉を開けると、そこには白衣姿の喜助がいつもの帽子をかぶったまま作業台の前に座っていた。
こちらの世界にいる間、特に何かをするわけではなく、ずっと暇を持て余していたので、喜助は凛に頼んでいろんな部品を集め毎日開発に勤んでいた。
以前にも何を作っているのか聞いたが、言っている内容がとても難しかったので、それ依頼彼が何を作っているのかは聞かないことにしていた。
喜「凛さんじゃないっスかぁv
おやおや、これは嬉しいお客さんですねぇ〜v」
「作業中にごめんなさい
ちょっと渡したいものがあって」
喜「おっと、それは楽しみだ。
まさか……愛の告白? なんてねぇ〜♪」
「ち、ちがうよ!/////
日頃のお礼を込めて昨晩チョコを作ったの……っ」
頬を赤くしてぷいっと顔を背けながら、彼女は包みを差し出した。
喜「うわぁ〜、これはこれは!
凛さんの手作りチョコなんて、こりゃ一生の宝物っスねぇv」
受け取った喜助は包みを大げさに両手で持ち上げ、何やら宝石でも手にしたようなリアクションをしてみせた。
そして次の瞬間、その手がするりと彼女の腰に伸びた。
”グイッ”
「…えっ?」
喜「あまりにも可愛いことしてくれるから、ちょっとだけ……お礼をv」
彼女をふわりと抱き寄せ、喜助はそのまま自然な流れでソファへと倒れ込ませる。
「きゃっ……!?」
バフンと小さな音を立てて、凛はソファに背をつける形になると、上から覗き込む喜助の顔が近すぎてドキッと心臓が跳ねた。
「ちょ、ちょっと!?!?////」
喜「だって……凛さんが可愛すぎるから、どうにかしたくなっちゃったんスもん」
「う、うそぉ……////喜助さん、ちょっと離れてっ……」
彼の顔があまりにも近く、熱っぽい視線で見つめられるたびに心臓が爆発しそうになる。
喜「ねぇ凛さん……アタシがほんとにこのまま何かしたら……困りますか?」
「——えっ…そ、それは…//////」
真剣な眼差しで、真剣な声で、先ほどまでふざけていた彼とは一変して、そんなんことを問いかけられた凛は返事に困っていた。
喜「……すみません
ちょっと……からかいすぎちゃったっスね」
と、彼は彼女の体をそっと起こしてやりながら、今までの茶化すような笑みを消して真面目なトーンで言った。
喜「……ホントはね、ちゃんと大切にしたいってずっと思ってるんスよ」
「え……?」
喜「凛さんが誰にどんなチョコを渡しても、笑っていられる自信——無いっスから」
不意に見せた真剣な表情。
仮面のような笑顔の奥に隠されていた感情に、彼女は一瞬言葉を失った。
「喜助さん……」
喜「でも、焦らせるのはアタシの流儀じゃないし
凛さんがちゃんと、“そういう気持ち”になった時に……もう一回こうやって押し倒しても困らないでいてくれるなら」
彼は軽く笑いながら帽子を指で持ち上げて彼女を見つめた。
喜「……その時は、ちゃんと最後まで覚悟してもらうっスよ?」
「っっ……/////」
思わず耳まで赤くなる彼女を見て、喜助は再び柔らかく笑った。
喜「冗談っスよ? ……たぶんv」
「喜助さんの”たぶん”は信用できないよ……////
じゃあ確かにチョコ渡したので、早めに食べちゃってね」
凛は、まだほんのりと頬に残る熱を感じながら喜助の部屋を後にした。
扉が静かに閉まり廊下に出た瞬間、彼の言葉がじわじわと胸の奥で響いてきて——
……からかってるだけだって、分かってるけど……あれはずるいよ……////
心臓の鼓動がまだ落ち着かず、押し倒されたときのぬくもりも、ふと見せた真剣な瞳も、全部が頭の中をぐるぐる回っていた。
「……はぁ……∪」
少し息を整えるように手を胸に当てながら、窓の近くに立ち止まって空を見上げる。
外はすっかり昼の光に包まれていて、ぽかぽかとした陽気が廊下にまで射し込んでいた。
よし!次は気持ちを切り替えなくちゃ
包みはあと——2つ。
彼女は小さく深呼吸をして、カバンから取り出した包みをそっと握りしめた。
「次は……トシさんだね」
言いながら思い出すのは、あの鋭い眼差しと、ぶっきらぼうだけど誰よりも仲間想いな背中。
そして、なにより——時折ふと見せる優しいあの笑顔。
あの人、甘いの苦手そうだけど……大丈夫かな?
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