第30話 6通りのスイートタイム
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凛はカカシの部屋を出て廊下の先へと歩いていくと、次の包みを抱えながら、思わず胸の前でそっとぎゅっと手を握った。
……銀ちゃん、起きてるかな
でもまだ午前中だから寝ているかも
何度か部屋の扉をノックしたが返事が返事はなく、そっと襖を開けて覗いてみると、そこには毛布にぐるぐる巻きになった銀時の姿があった。
銀「……う〜ん、あと5年寝かせてくれ……Zzz」
「……5年て、長すぎでしょ……」
思わず小さく笑いながら彼のもとへそっと近づくと、ふわりと漂ってくるのは少し甘い柔軟剤と彼独特の落ち着いた匂いだった。
……なんだろ、近づくだけでドキドキする
そっと膝をつき手に持った包みを彼の枕元へと置こうとした、そのときだった——
銀「……凛?」
「Σっ!」
突然、銀時が目を開け、眠たげな瞳がじっと彼女を見つめると、銀時が起きたことで凛の肩はビクッと反応した。
銀「もしかして……添い寝のお誘い?
だったら俺、今すぐ布団の中に…」
銀時は布団をめくって自分の隣をポンポンと叩いて誘った。
「ち、違うよ!∪
そんなわけないでしょ////」
銀「な〜んだ
つれねぇなぁ〜……んで、その手に持ってんの、なぁに?」
銀時が上体を起こしながら彼女の手元に目を向けた。
いつもの飄々とした態度だけど、その目の奥にはちゃんと興味と優しさがあるのを凛は知っていた。
「これはね……昨日の夜、ちょっとだけ頑張って作ったの
皆に日頃の感謝を伝えたくて、チョコ作って配ってるんだ
銀ちゃんの分もちゃんとあるよ!」
彼女は少し照れくさそうに笑いながら包みを手渡すと、銀時はそれを両手で丁寧に受け取り、包みの形やリボンの結び目を指先でなぞるようにしながらポツリとつぶやいた。
銀「……手作りかぁ
ふーん……そっか、そっか
そりゃ嬉しいな」
「……?」
彼女が首をかしげると、銀時は一瞬だけ真顔になった。
銀「だってさ……こんな気持ちが詰まったもん、簡単に受け取っていいのかな〜なんて、ちょっと思っちまっただけ」
「そんな大げさだよ
これは“ありがとう”って気持ちだけだから!」
銀「——“だけ”ねぇ
その“だけ”が、どれだけ尊いか……凛ちゃんはわかってないなぁ」
銀時のその笑顔にはどこか大人の余裕と、ほんの少しの切なさが混ざっているように見えた。
銀「……でも、ありがと
すっげぇ、嬉しい」
そう言って銀時は立ち上がると、彼女の頭をポンと軽く撫でた。
「銀ちゃん?」
そのまま彼は彼女の頭に手を乗せたまま、ふわりと身を屈め耳元へ顔を近づける。
銀「今日の俺、めっちゃ機嫌いい。
チョコも嬉しいけど……それ以上に、凛ちゃんが“俺に”くれたってだけで十分すぎるくらい」
吐息がふわりと耳にかかり彼女の体がビクッと震える。
「っ……/////」
思わず頬が熱くなるのを感じながらも、彼の言葉が胸に静かに響いた。
銀「ありがとうな……ほんとに」
その言葉には冗談や茶化しなんか一切なくて、まるで宝物を受け取ったみたいに丁寧で優しくて——。
彼女の中で胸の奥に何かが静かにとろけていくようだった。
銀「これでもう今日のテンションMAXだわ!
いやー、凛ちゃんの手作りチョコの破壊力ヤバいね
甘さにやられちまいそう……って、あー、もうやられたかも」
「な、なにそれっ//// 大袈裟だよ」
彼女は顔を真っ赤にして苦笑いを浮かべた。
それを見て銀時は、いたずらっぽく笑いながら布団にごろりと戻った。
銀「ま、そう照れるなって
俺だけのチョコじゃないのは知ってるけどさ、
ちょっとくらい特別扱いされてもいいだろ?」
「それは、銀ちゃん次第かな
じゃあ私は喜助さんのところに行ってくるね
せっかくの睡眠を邪魔しちゃってごめんね」
今度は喜助のところへ行くため、そっと背を向けて部屋を出ていく彼女の背中に銀時がぽそりとつぶやいた。
銀「……ありがとな、凛」
——その声は、さっきまでの軽口とは違って、まるで誰にも聞かせたくない本音みたいに優しかった。
そして凛の中にも、また一つ“特別”が増えていく。
——この気持ち、一体どこにしまっておけばいいんだろう。
そう思いながら、彼女は次の包みをそっと抱きしめた。
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