第30話 6通りのスイートタイム
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朝の光がカーテン越しにやさしく差し込む頃、凛は目覚ましの音でふと目を覚ました。
「…ん〜…もう朝かぁ…」
昨日の夜更かしのせいで少し眠たさは残っていたが、心はどこか軽やかだった凛は、冷蔵庫で一晩寝かせたトリュフチョコがちゃんと固まっているか確認したい気持ちでいっぱいになり、ぱっとベッドを出た。
「ちゃんとできてるといいな…!」
キッチンに向かうと、冷蔵庫を開けて丁寧に並べたチョコレートたちが、しっかりと固まりツヤのある姿になっているのを確認し、ほっと胸を撫で下ろした。
「よし、これを…」
そう言いながら彼女は昨日のうちに100均で買ってきたラッピング袋やリボンを取り出し、静かに準備を進めていった。
ひとつひとつ丁寧に袋へと詰め、リボンを結んでいく凛の手はどこか嬉しそうに弾んでいた。
少し不格好なものもあったけれど、それすらも手作りらしくて愛おしい。
「喜助さんにはこれとこれ、ゾロには…ビターチョコを入れて…」
そうつぶやきながらそれぞれの好みに合わせて組み合わせを考える時間は、とても穏やかで楽しいものだった。
“みんな喜んでくれるといいな”
そんな気持ちがひとつひとつのチョコに詰め込まれていく。
準備を終えた頃にはキッチンのテーブルの上がカラフルな包みでいっぱいになっていた。
「よしっ、これで準備完了!」
胸いっぱいの達成感とともに凛は手をパンっと叩いて気合を入れた。
部屋の中にはほんのりとチョコの甘い香りが漂っていて、気持ちまでとろけてしまいそうになる。
——まずはゾロに渡しに行こうかな。
彼の好きな味を考えて甘さをおさえたちょっとだけ大人な風味のビターチョコ。
無愛想だけど優しいゾロがどんな顔をするのか楽しみで、凛の足取りは自然と軽くなっていた。
地下室にあるトレーニングルームのの引き戸をそっと開けると、そこには部屋の中央で黙々と筋トレしているゾロの姿があった。
ゾ「…はっ、ふっ……あと10……っ!」
その真剣さにちょっとだけ声をかけるタイミングを迷ったけれど、凛意を決して声をかけることにした。
「ゾロ、おはよう!
ちょっと、いいかな?」
ゾロは腹筋を止めてこちらを振り向くと、薄く息を吐いて汗を拭いながら立ち上がった。
ゾ「……ん、なんだ?」
凛はそっと小さな包みを差し出した。
「えっと……これ、その…日頃の感謝の気持ちを伝えたくてチョコを作ってみたの。
ゾロの好きそうな感じで作ったから、よかったら…」
その瞬間、ゾロの眉がぴくりと動いた。
ゾ「俺に?」
「うん。ちゃんと手作りだよ」
受け取ったゾロはしばらく無言で包みを見つめていたが一気に顔が赤くなり、ゾロは一言ポソっと呟いた。
ゾ「……っ/////…ありがとな/////
……そういうの、慣れてねぇけど//////」
「ふふっ、わかってる。
でも、喜んでくれると嬉しいな」
ゾロは小さく鼻を鳴らした。
だけどその表情にはどこか照れたような、それでいて——彼らしくないほどやさしい色が滲んでいた。
凛が微笑むと、ゾロはふと手にしていた包みをトレーニングマシーンの上ににそっと置き彼女の方に向き直った。
ゾ「……お前さ、こういうの誰にでも渡してんのか?」
「…え?」
凛は突然の問いかけに目を瞬いた。
「皆んなに渡そうとしているけど、チョコはそれぞれの好みに合わせて作ったものだから、ゾロはゾロのためだけに用意したものだよ」
その言葉に、ゾロの瞳がすこしだけ揺れる。
数秒の沈黙。
その空白に、なぜか凛の鼓動が早まっていく。
———なんだろうこの空気∪
もしかして何か気に入らなかったのかな?
そんな不安を抱き少し心配していると、ふいにゾロが一歩だけ近づいてき、凛の顔がぴくりと上を向いた。
そして一歩、また一歩と距離が近づいていき、すぐ目の前にゾロの顔がある。
ゾ「じゃあ……それに礼しねぇとな」
「え……?」
その瞬間、ゾロの大きな手がそっと凛の肩を支えた。
そして、ゆっくりと顔が近づいてきて——
彼の唇がやさしく彼女の額に触れた。
ぞ「———ありがとうな」
「———っ/////」
低くて優しい彼の声が耳に響き。
そのあまりに自然で、けれどドキリとする行動に凛の体は一瞬で熱くなると、心臓がドクンと大きく跳ねた。
えっ……え、今、額に……キス……?/////
ゾロは何もなかったように唇を離し、ちょっとだけいつもより声を落として言った。
ゾ「お前の作ったチョコなら、きっと旨い。
あとでゆっくり食うよ」
「……ゾ、ゾロ……」
ゾ「……顔、真っ赤だぞ」
「い、言わないでよぉ〜!////」
その場にしゃがみ込みたくなるほど恥ずかしくて、けれど心の奥では確かにうれしかった。
ゾロはそんな凛を少しだけからかうように見つめながらニヤリと笑って肩をすくめると、包みを手に取ってその場を立ち去った。
その後ろ姿を見送った凛は、胸のあたりを押さえながらひとりつぶやく。
「……なにあれ、ずるいよ……/////」
しばらくその場に立ち尽くし、頬の熱が落ち着くのを待つ。
けれど鼓動はまだ、胸の奥で小さく跳ね続けていた。
でも……なんか、すごく嬉しかった/////
渡せてよかたかも!
そっと息を整えると、色とりどりの包みの中から深い藍色に銀糸のリボンを結んだひとつを手に取った。
ラム酒と濃いコーヒーの香りを閉じ込めた、大人のトリュフ──カカシのために作ったものだった。
「次は……カカシさんに渡しに行こう」
そう決めるとほんの少しだけ背筋を伸ばし、静かな足取りで彼の部屋へ向かった。
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