第62話 それぞれの道
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その頃三蔵は部屋の窓から空を眺めながら、何やら考え事をしていた。
空には先ほどの天気と打って変わって、辺り一面静けさに包み込まれ、耿耿(こうこう)と輝く満月が深黒の空を照らし出していた。
三「…………」
【どんなに危険な場面に遭遇しても、私達は乗り越えてきたじゃない!!】
【今更見えない敵にビビって取り乱してんじゃないわよ!!
貴方は私達のリーダーなんだから!!】
三「……何やってんだ…俺は」
「まったくだよ」
三「っ!……幸恵」
「ゴメン、何度かノックしたんだけど返事が無かったから」
幸恵の声が突然聞こえてきたので、三蔵は扉の方に視線を向けると、そこには壁に寄りかかった幸恵の姿があった。
三「体は大丈夫なのか?」
三蔵はすぐさま幸恵の近くに歩み寄ると、彼女の体を支えながらベッドの所まで連れてきた。
「うん、さっき惷涯に治してもらったから。
ーーでも、出血が多かったみたいで体はまだフラつくかな」
幸恵は「はははっ」と苦笑いを浮かべながら、自分は大丈夫だと言う事を三蔵にアピールをしたが、彼の表情は少々険しいものだった。
三「……俺は…何も出来なかった」
「…三蔵」
三「悟空が倒れた時も…お前や八戒が死にそうになった時も……。
ーー俺はただ見ている事しか出来なかった」
「そんな事無いでしょ
三蔵は私をちゃんと助けてくれたじゃない。
それだけでも私の知っている未来は少しだけ変わったよ。
ーー私の命は三蔵に助けられたんだから」
”ギュ”
「っ……さ、三蔵?/////
どうかした?」
次の瞬間、三蔵は隣にいる幸恵の体をギュッと抱きしめた。
彼女の体の事もあり、三蔵は優しく小柄な体を全身で包み込むように抱きしめると、突然の事に幸恵自身とても驚いていた。
三「今だけでいい…。
ーー今だけはこのままで…。」
少しばかり彼の体が震えているのに気づいた幸恵は、三蔵を落ち着かせる為に彼の背中にそっと腕を回して抱きしめた。
「三蔵…このままで良いから聞いて…
ーーさっき惷涯にも話したんだけど…私が知っているこの世界の未来はここまでなの
これから先どんな事になるのか知らない
このまま悟浄達と離ればなれになるのか…それともまた三蔵一行として一緒になれる時が来るのか…
…私は…これから先どうやったら皆の力になれるか分からないけど……けど…。
足手まといになるかもしれない……でも…これからも変わらず三蔵達と一緒に旅をしても良いかな?」
三「…………」
「…三蔵?」
三蔵は幸恵を抱きしめたまま言葉を発する事無くジッとしていると、その沈黙に少し不安を感じた幸恵は再度三蔵の名前を呼んだ。
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