第54話 矛盾
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それからしばらく時間がたった頃、一人の女性の声が宿全体に響き渡り部屋にいた幸恵達はもちろん、外にいた悟空とガトの耳にも声が入ってきた。
「――どうしましたお客さん!?」
宿の主人は勢いよく扉をあけると、目の前には幼い子供を抱きしめている母親の姿があり、子供はグッタリとしていた。
八「ちょっと失礼しますね」
「流行りの病で…先の街まで薬を取りに行く最中なんです!夜になったら意識が無くなって」
八戒は子供の首にそっと手を持っていき脈をみると、すでに手遅れになっていた。
「……は、かい?…」
八戒はもう駄目だということを母親に伝えると、その母親は子供の名前を呼びながら泣き叫んだ。
どうにかしてあげたい気持だったが、三蔵達にはどうすることもできず、悟空を悟浄はヘイゼルを見た。
しかし……
ヘイ「…ご期待には添えへんよ」
空「~~~なんで…っ」
ヘイ「『魂切れ』や…―――だからさっき言うたやないですか。ジープを停めろって」
そのヘイゼルの一言を聞いた八戒は彼の胸倉につかみかかたが、次の瞬間ヘイゼルの顔に衝撃が走った。
“パァン!!”
八「…っ!」
三、空、浄「「「…っ!」」」
ヘイ「……っ」
「貴方がどれだけ周りから神と崇められても、私はあなたのやり方を認めない……」
八「幸恵……」
***********
夜も拭けてきたころ、暗闇を照らす月明かりだけが顔を覗かせていた。
幸恵は先ほどのことが頭から離れず、一人部屋でずっと考え事をしていた。
人は本当に身勝手だ…死んでほしいと思う時もあれば、生き返ってほしいって時もある…
凄く矛盾しているのに…
もし私にもヘイゼルみたいな力があったら、私もあいつと同じことをしてたのかな?
寝付けない体を何度も何度も寝返りさせ、目を閉じようと試みたが、そのたびに今日のことを思い出してしまっていた。
その時だった。
“コンコン”
「…?誰?」
こんな時間に誰だ?と思いながら幸恵は扉に声をかけた。
ヘイ「遅くにすんまへん」
「ヘイゼル?」
幸恵は声の主が解ると扉を開けヘイゼルを中へと招き入れた。
「こんな時間に何か用?
あ、ちょっと待っててお茶入れるから」
「おおきに」
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