第52話 売られたケンカ
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三「どうかしたか?」
「ッ!…さ、三蔵……ううん何でもない。
でも…ちょっと考え事をしていただけ。」
「珍しいこともあるんだな」と言いながら三蔵は肺に含んでいた煙草の煙を吐き出すと、そっと彼女の隣に腰を下した。
「ねぇ三蔵」
三「なんだ」
「生き返るってことはそんなに幸せなことなの?」
三「………」
「私の両親は私が殺したようなものだから……
この力がある所為で周りからは化け物扱いされ……
両親は私を守ろうとして死んでしまった。
私さえ生まれて来なければ……
力さえ持って生まれてこなければ……両親は死なずに済んだ。
どんなに神様に両親を生き返らせてって願ったことか
……でも、昨日ヘイゼルの力で死んだ人たちが生き返って、それをその家族が喜んで……
でもそれが生前と違う人格でも本当に幸せなのかなぁって思ったんだ。」
幸恵は自分の膝を支えギュッと抱きしめた。
三「……たとえ生き返ったとしても、そいつら家族の心が満たされるなら幸せなんじゃねぇのか?」
「満たされたらそれでいいのかなぁ?」
三「じゃあ幸恵はどうなんだ?」
「え?」
三「お前の両親を生き返らせたいと今でも思うか?
生き返ったとして、お前の心は満たされるか?」
……私の心?
本心は生き返ってほしい……
それは今でも変わらない……
止まってしまった時間を再び動かすことができるなら……私は望むだろう…
でも……
「運命に逆らうことはできないや……
生き返ることを「運命」にしてしまったらいけないと思う
……私の両親はあの時死ぬことが「運命」だったと思う。
それは今日居た街の人たちも同じ……
あの時妖怪によって死ぬことが「運命」だった。
それを、寂しさのあまりに生き返らせることは意に反する。
人の命は誰かがどうこうしちゃいけないんだよ」
三「それが自分で正しいと思うならそうなんだろうな」
三蔵はタバコの火を消すと、そっと幸恵を抱きしめた。
先ほどまで吸っていた煙草の匂いが彼女を包み込み、それだけで幸恵は安心感を覚え、反対に三蔵をギュッと抱きしめ返した。
三「一人で抱え込んでんじゃねぇよ……そんなに俺は頼りねぇか?」
「ううん、ありがとう三蔵。
性格上どうしてもため込んでしまうのよね」
三「だったら俺がいつでも聞いてやる…わかったな?」
「クスッ…うん♪わかった」
気持ちがスッとした感じがした。
ただ抱きしめられているだけなのに
ぬくもりを感じたから?
その声が落ち着くから?
今の私にしてはそんなことどちらでもいいことだ…
ただ今は……
三蔵を感じていたい
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