八「――妙ですね」


三「何がだ？」


『変なところでもあるのか？』



八「以前の紅孩児なら…炎や霧だけでなく召喚術を使ったはずなんですが」



三「――召喚魔は術者との契約制だ」



『そうか…術者の人格が別人になってしまったのであればおそらく――』



八「それじゃ…今の紅孩児には召喚魔が使えないってことですか……！！？」







ずっとお側にいて




紅孩児様について私の知るすべては




気高くて冷静で





――ー案外意固地で世間知らずで





……純粋で





誰よりも優しくて





浄「おらァああ！！！」




゛ドゴォン！！”





―――淋しくて






五人の戦いをずっと見ていた独角児と八百鼡はずっと紅孩児のことを考えていた。


なにもできない、自分たちの力では彼を元に戻すことができない歯がゆさに立ち尽くしていると、三蔵と幸恵が話かけた。



『木偶（でく）の棒の様に突っ立っていても邪魔になるだけだ』



三「迷いのある奴はすっ込んでろ」



独「っ！！三蔵、幸恵……！！」



三「『誰それの為に』なんぞヌルい事抜かしてんじゃねえよ――要は自分がどうしたいかだ」



『お前たちなら心のどこかでは決まってるんじゃないのか？』




「「っ！！」」



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


独『――気にすんなって！！こいつは同情なんかじゃねぇ。俺が勝手に決めたことだ』



紅『……決めた…？』



独『――いいか紅。
お前は思うままに生きろ…――お前がどんな道を行こうと俺達は勝手について行く』




『……俺たちの』










『たったひとりの主君に』





＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊




「「………！！」」



三「退け、悟浄！！」




三蔵は銃を構え紅孩児にその銃口を向けた。


そしてその引き金に指をかけた次の瞬間



゛ドォン！！”




三「！！？」




あたり一面が爆音とともに砂煙に包まれ、不運にも視界が悪くなってしまった。



『くっ！…何事だ！？』



浄「な…ｹﾞﾎｯ…何だァ
！？」



何が起きたのか理解ができず、白い砂煙に包まれると、その先には紅孩児が思ってもみなかった二人が立っていた。









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