9話 夢の中で会えたら
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そう女中から提案され、そこまで言うならと私は屋敷を出て散歩に行く事にした。
一歩外に出ると暖かな空気と、心地よい太陽が全体を包み込み、今までの疲れや考えていた事を一気に消し去ってしまいそうな気がした。
「気持ちいい…こうやって外に出たのて久々かも」
胸いっぱいに空気を吸い込み、深呼吸をした。
辺りを見渡せば田畑では農民達が畑仕事に追われ、子供達も楽しそうに仕事を手伝っていた。
「今日はどこまで行ってみようかな」
私の散歩コースなんて決まってない。
ただ目的も無くのんびり歩く事が多かったから…。
行く先々で新たな発見と出会いがあるかもしれないと、いつも何かに期待しながら歩く事が好きだった。
一歩一歩足を進めていくと、季節の草花や生き物達の姿を現し、気がつけば辺りに人の姿は無く、あるのは道の両サイドに金色に輝く麦畑だった。
ーーーっ…ここ
夢に出てきた場所に似ている
その麦畑を見た瞬間、毎晩の様に見ている夢の事を思い出した。
知らない場所だと思っていた所は、屋敷からそう遠くないぐらいの場所にあり、私はその場に立ち尽くした。
でも全てが同じわけではない
この場所に…今、あの亜麻色の髪の人はいない
「所詮…夢か」
少しばかりガッカリした思いで私は来た道に引き返そうとした時だった。
「へぇ、こんな所に人がいると思ったら、かなりの美人じゃねぇか」
「…っ!」
振り向いた目の前には3人の体格のいい男が不適な笑みを浮かべて立っていた。
腰には刀、身成はお世辞にもいいものを着ているとは言えなかったので、侍じゃない事は一発で分かった。
…そうなるとーー賊の類い?
「顔も体も身包みも中々の上玉じゃねぇか」
「お頭、この女奴隷商人に売りゃあ、けっこうな言い値で売れるんじゃねぇですかい?」
「まぁ待てよ
確かに売ればそれなりに金になるが……先ずは俺たちが味見をするのが先だろうが」
「っ!?」
こつ等の会話を聞いて全身に身の毛が弥立った。
今までこんな経験をしたことの無い私は体が震え、まるで蛇に睨まれた蛙の様だった。
…怖い
…怖い!
逃げなきゃ
早く此処から逃げなきゃ!!
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