9話 夢の中で会えたら
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「…また…あの夢」
いつもなら、あまり気にもとめず「いつもの夢」で終わってしまうが、今日は違っていた。
【……いつも…待っていますから】
あの言葉とあの笑顔が離れず、いつも以上にドキドキとした感情が冷める事が無かった。
そのとき、昨日女中が言っていた言葉を思い出した。
【常にその人の事を考えてしまう……そう感じる人が現れた時がまさに恋なんですわ】
……これが恋
じゃあ私は恋をしたのだろうか?
「…恋…かぁ」
恋について教えてもらったものの、私の中では実感など無く、それが本当に恋なのかどうかすら自信を持って言えるものではなかった。
でも一つだけ言える事はある
…それは…あの人を思い出す度にドキドキが止まらないということ…。
夢だから、実際存在している筈が無い
私が作り出した妄想
…でも……それでも……心の何処かでは居てほしいって願っている。
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「名無し様、如何なさいましたか?」
「っ…え?」
「いえ、ボーッとしていますというか…心此処にあらずって感じがしましたので」
縁側で暖かな日の光を浴びながら、私はお茶を飲んでいた。
先ほどまで楽の稽古をしていた疲れを癒すため、暫しの休憩をしていると、遠くを見つめたままボーッとしていた私を心配して、女中の一人が声をかけてきた。
「いや、ただ天気がいいなと思って眺めていただけよ」
「左様ですか…それなら宜しいのですが…。
あ、そうですわ!
今日はもう終わりにして息抜きにお散歩でもしてきてみては如何でしょうか?」
「え…でも」
「勉学に励む事は素晴らしい事ですが、時には休憩も必要です。
それに今日は特にお天気も宜しいですし」
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