9話 夢の中で会えたら
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「……ぁ…また…あの夢」
障子から差込まれた朝日が部屋を明るく照らし、私はその眩しさで目が覚めゆっくりと体を起こした。
辺りを見渡すと先ほどまであった麦畑も、一本の長い道も、亜麻色の髪をした男性もいない。
ただあるのはいつもの見慣れた自分の部屋。
あの不思議な夢を見始めたのはいつ頃からだろうと、思い出そうとしても正確な事なんて解らない…。
ただ一つだけハッキリと言えるのは、「嫌な夢」じゃないと言う事だった。
その夢を意識する様になってからというものの、週に2、3回のペースで見る様になり、私もいつしかその夢を見る事自体が楽しみになっていた。
いつか彼の差し伸べた手を掴む事が出来る
いつか彼の声を聞く事が出来る
……しかし夢は所詮夢ーー。
私も手を差し伸べようとすると、いつも目が覚めてしまう。
今度こそはって思っていても、先の展開なんてあるわけが無い。
…あるわけないけど……毎回その先の事を考えてしまう。
寝起きの私はボーッとする頭でいろんな事を毎朝想像していることが多い。
起きてさっさと井戸で顔を洗ってくればいいのだが、脳裏浮かぶあの人の笑顔が忘れられず、5分10分は布団から出られない時が多かった。
「名無し様起きていらっしゃいますか?」
「ぁ…うん、今起きた」
「左様でございますか。
朝食のご準備が整っております故」
「わかった、着替えたら直ぐに向かうわ」
「承知しました」
私の家は代々歴史のある家系だ。
何百年も続いているらしく一人娘の私は両親から大事に育てられてきた。
そんな家柄だからといって別にこの家が嫌いなわけでもない。
両親はとても優しく、どんな時でも笑顔で接してきてくれる。
この家に仕える女中たちもとても優しく、小さいときから私にいろんな事を教えてくれおかげで、私はいろんなモノに興味を持って勉強だってした。
だけど……。
だけど何か物足りない
弓道、剣道、茶道、花道、習字、楽、舞……様々な事は何でも学んだ。
……でも何でだろう
私は何か満たされていない
何かまだやり遂げていないものがーーーー。
ーーそれって
それって……。
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