遠くで土方の声が聞こえてくるが、俺はそんな事おかまい無しで名無しの手を引いて行くと、取りあえずその場を離れる事にした。




「ねぇ、総悟！
土方さんそのままでよかったの！？」




沖「………」




「土方さんあのままじゃ可哀想だよ！」




沖「………っ」



「土方さん…「いい加減にしてくれ！！」



「Σっ！……そ、総…悟？」




沖「土方さん、土方さんって煩ぇんだよ！！」





何で俺の名前を呼んでくれねぇんだ…？





沖「あいつの事がそんなに心配かよ！」





何で俺じゃねぇだよ…。





沖「あいつの事がそんなに気になんのかよ！」






何でーーーー。





沖「俺は……俺はこんなにも名無しの事が好きなのに…。
こんなにも名無しの事を想っているのにーー。



……何で名無しは夢の中でも現実でも…土方の元へ行っちまうんだよ！


名無しを護るのはアイツじゃねぇ！！
名無しを笑顔にするのはアイツじゃねぇ！！




名無しをーー名無しを！！！」






”ギュ”







沖「ーーーっ…！？」






興奮して自分でも何を伝えたいのか分からなくなっていると、いきなり名無しが俺の事を抱きしめてきた。



突然の事だったから当然言葉は出なかった。
出なかったが、名無しの温もりは伝わってきた。





「…ごめんね総悟……私の所為で総悟を苦しめていたなんてーー。」




沖「………ぇ……ぁ」




違う……名無しの所為じゃない





「私が総悟の気持ちに気づいてあげられなかったから…


ーーー本当にごめんなさい」





違う！！


俺は…俺は……。




名無しに謝らせたかたわけじゃねぇんだ！！









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