第79話 無口でも恋愛だってするんだぁああ!!
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ある晴れた日のことだった。
今日もいつもの様に真選組の屯所内で、元気に女中の仕事をこなしている琴音の姿があった。
天気もよかったので、隊士達が普段着用している隊服を洗濯したり、庭の掃き掃除をしたりしていると、近くの道場からは近藤の隊士達に指導する声や、竹刀がぶつかり合う音が外まで響き渡っていた。
「クスッ、今日も皆頑張っているなぁ
…あ、じゃあ午後からはもっと頑張れる様に昼食は生姜焼きにでもするか♪」
聞こえてくる彼等の声を聞きながら小さく微笑んだ琴音は、今日の昼食の献立を考えながら再び仕事へと戻っていた。
11時過ぎになり、琴音はそろそろ昼食でも作ろうと、厨房へ向かっていた時だった。
オレンジ色のアフロヘアーに口元をスッポリと面不で覆った男が医務室の前で佇んでいる姿を発見した。
「…ん?
あれって確かーー
斉藤終さん?」
ーーどうしたんだろ?
ずっと医務室の前で立っているけど…
暫く彼の姿を見ていた琴音だったが5分経っても10分経ってもそこから動くことをせず立っており、とうとう痺れを切らした琴音は背後から声をかけた。
「あの、斉藤さんどうかしましたか?」
終「Σっ!!!」(ビクゥ!!)
「ご、ごめんなさい!
驚かせるつもりじゃなかったんです∪」
いきなり彼女に声をかけられた斉藤は、思いっきり体をビクつかせその場で尻餅をつくと、そこまで驚くとは思わなかったので琴音も謝りながら彼に手を差し伸べた。
「さっきからずっと此処で立っていたのが気になったんで∪
医務室に何か用事ですか?」
終「……∪」
琴音に声をかけられ、その質問に答えようとしたが、無口な彼は彼女にそれをどう伝えるべきかアタフタしていると、たまたま彼の右手に目がいった琴音はその原因が分かった。
「…あ、手の甲怪我してたんですね!」
琴音は彼の手にそっと触れると、そこには切り傷があり血がにじみ出ていた。
「もしかして、先ほどの稽古のとき怪我したんですか?」
終「…(コクン)」
「そうだったんですね
手当てするんで中に入ってください」
琴音は医務室に彼を入れベッドに座らせると、戸棚から救急箱を持ってきて消毒をし始めた。
「滲みると思いますけど、我慢してくださいね」
手の甲に消毒液と薬をつけていき、琴音はテキパキを彼の手を手当てしていった。
その間にも彼は一言もしゃべること無く、ただ彼女と自分の手に巻かれていく包帯を見つめていた。
手先の器用な琴音は斉藤の処置をあっという間に終わらせた。
「はい、これでもう大丈夫ですよ!
でも治るまでは薬塗ってた方がいいんで、その時はまた言って下さい。
また包帯も付け替えますんで♪」
終「…っ!/////」
琴音は救急箱を片付け、斉藤ににっこりと微笑むと、彼女の笑顔を見た斉藤は一気に顔を赤く染めた。
沈黙の部隊として数々の任務をこなし、仲間たちとも自分から進んで何かコミニュケーションを取ってきたわけじゃなかったので、異性から優しくされたこと自体がはじめてだった。
そのため、斉藤は彼女の優しさと可愛らしさに心を引かれ、恋心を抱いてしまったのだった。
「じゃあ、私は昼食の準備があるので…。
ーーあ、今日の昼食は生姜焼きですので楽しみにしててくださいね!」
琴音は「じゃあまた後ほど」と彼に言い残し、ヒラヒラと手を振って厨房へと消えていった。
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