第49話 一人の時間
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港に停泊していたモビーディック号の甲板に、急な大粒の雨が音を立てて降り注ぎ始めた。
最初はぽつぽつと空から落ちてきた雨粒が、あっという間に土砂降りとなり、甲板にいたクルーたちは慌てて船内へと駆け込んでいく。
その中にはエースの姿もあり、全身びしょ濡れのまま手にしたタオルで乱れた髪を雑に拭いながら、彼はサッチのいる食堂へと入ってきた。
エ「ちくしょう……こりゃ本格的に降ってきやがったな」
食堂の奥で新聞を広げていたサッチが顔を上げ、リーゼントを気にしながらため息混じりに呟いた。
サ「ったくよ、島の天気ってのは本当に変わりやすいんだな。
さっきまで晴れてたのにもうこれだ。
航海士の奴が言うには、明日の朝までは止まねぇ土砂降りらしいぜ?
……俺っちの完璧なリーゼント、湿気で崩れちまいそうだ」
エースはタオルを首にかけたまま、ちらりと辺りを見渡しながら問う。
エ「なぁ、ひなみ……もう船に戻ってきてるか?」
サッチは一瞬考え込んだように眉をひそめ、ふいに立ち上がって周囲のクルーたちに声をかけた。
サ「いや、俺はまだひなみちゃんの姿は見てねぇけど
なぁ、オメェら!
誰かひなみちゃんみた奴いねぇか?」
サッチの突然の呼びかけに食堂内の数名のクルーたちが顔を上げたが、全員が無言で首を横に振った。
その瞬間、食堂の空気がピリッと緊張感を帯びる。
イゾ「お嬢はまだ戻ってきてないのか?」
ハルタ「えっ!?それってまずいんじゃ…」
エースの表情が一気に険しくなった。
窓の外では雷が光り、闇の中に一瞬だけ島影が照らされる。
エ「……っ、今からじゃ外は真っ暗になる。
この雨じゃ視界も悪い……それにひなみ、傘も持ってなかったかもしれねぇ……!
探してくる!!」
サッチがすぐに立ち上がり、エースの腕をがっしと掴んで制止した。
サ「待て、エース!
このまま探しに出たらすれ違いになるかもしれねぇ。
電伝虫を持ってけ。
連絡は必ず取れるようにしとけよ」
エースはすぐに電伝虫を受け取り、真剣な眼差しで頷いた。
サッチ「俺も行く
あの子は方向音痴だし、島の奥で迷ってるかもしれねぇ。
どっちにしろ、このままじゃ落ち着いて飯も食えねぇしな」
イゾ「探すなら多い方がいい。
俺とハルタも行く」
サ「悪いね2人とも
助かるよ」
エ「よし!行くぞ!」
空は容赦なく雷を響かせ、雨はますます激しさを増していく中、彼らはは目を合わせ無言のまま頷くと全速力で食堂を駆け出し、クルーたちも次々と合羽を羽織り、エースとサッチの後に続いて町のあちこちへと走り出していった。
そのときエースは一瞬だけ窓の外に視線を向け、暗い空の下冷たく降りしきる雨を睨みつけた。
——冷たい雨の中、一人でいるはずがない。
——彼女は、決して独りにしない。
その思いを胸に、エースとサッチは名を叫びながら港町のあちこちへと駆けていく。
「ひなみーーー!!!」
彼女の名を叫ぶ声が雷の音を突き抜けて夜の街へ響いていった。
END
