第49話 一人の時間
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自分の世界でエースやサッチ達と過ごした日々や、こっちの世界に来てからの新しい生活での日常は、彼女にとって忘れられない事ばかりだった。
そしてふと気がつくと、通りには人影がまばらになっていた。
「……あれ?
ここ、どこ……?」
見慣れない景色に加えて、土地勘が全くないひなみの胸の奥にうっすらとした不安がよぎった。
もしかして、だいぶ奥まで来ちゃったのかな……?∪
それに道もわからない∪
不安を感じつつも島の地形を思い出し、ひなみは高い場所に登れば港が見渡せるかもしれないと考え、小高い山道へと足を進めた。
しかし――。
突如空が曇りだすと冷たい風が吹き始め、先ほどまで晴れていた青空はだんだんと分厚い雲に覆われていった。
「やばっ、もしかしたら雨でも降ってくるのかな?∪」
船を出る前に航海士さんに天気を聞いてればよかった…∪
後悔しても天気が回復するわけではなく、無情にもバケツをひっくり返したような豪雨がひなみを襲った。
ザァァァ――ッ!!
「うそでしょ……っ!」
突然のことにひなみは慌てて木陰を探し、高台にある大きな木の下で雨宿りをすることにした。
疲れと雨に濡れた体力の消耗でその場にしゃがみ込んだ。
服はぐっしょりと濡れ、体はどんどん冷えていってたが、それでもどこか彼女の頭は冷静だった。
このまま船に戻らなかったら、みんな心配するかな?
エースもサッチさんも心配しちゃうかな?
マルコさんも……いや、マルコさんは私にことなんて
このまま雨もやまず、このままだったら——。
冷たい雨に打たれながらひなみは、大木の根元にしゃがみ込んだままじっと動かずに空を見上げていた。
髪も服も靴の中までずぶ濡れで冷えた体は震え始めていたが、それよりも彼女の心の中を支配していたのは、言いようのない「孤独」だった。
この世界に来て、いつしか賑やかな船での日常が当たり前になっていた。
けれど——。
今こうして一人で雨の中に取り残されていると、自分はやっぱり「違う世界の人間」なのだと、どこか現実に引き戻されるような気がしてならなかった。
「……こんなに濡れてたら、風邪ひいちゃうかな……?」
ぼそりと呟いた声は雨音にかき消された。
返事はもちろんない。
彼女は自分の腕を抱きしめるようにして、身体の震えを止めようとした。
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