シスター・キントレ!

 シスター・キントレです。

 今日も元気にマッスルマッスル。
 毎日ひたすら薪割りしていたら、孤児院の薪をひと冬分割り終わってしまったんだ。

 修道院の薪割りも昨日終えてしまって……私は今日から何を割ればいいんだろう。
 

「シスター・キントレ。城下にお使いに行ってくれる?」
「はい、シスター・クロエ!」

 荷物を受け取ってくるミッションが発生したよ。
 この世界だと荷物の搬送は郵便屋に頼むのが一般的。
 だけど、運送料がお高い。
 一般市民はモンスターと戦えないから。

 途中モンスターと戦えば筋トレになるし、私は即答した。

 拳が効かないモンスターが出たときのために、念の為ナタも足に括っときましょう。
 町長のところで馬を借りてゴー城下町!

「行くわよロドリゲス3世!!」

 ヒヒィンン!!(アタシの名前はクリスティーナよおおお!! 何回言ったら覚えるのよ脳筋シスター!)

 あと少しで城下町というところで、豪華な馬車がモンスターに囲まれていた。
 数が多すぎて、護衛の兵だけじゃ手が足りないように見える。

 ロドリゲスが襲われないよう木陰に隠して、単身で馬車の方に走る。
 兵たちが私を見て大慌て。

「危ないですお嬢さん! はやく町の中に逃げて!」
「私も戦います。このままではその馬車が町に入れないでしょう」
「そんな、君みたいな女の子じゃ無理ーー」

 無理なもんか。
 私はこの世界に来てから学んだ。
 女だって戦える!

 |動く木のモンスター《トレント》が振り下ろす枝を避け、ナタで落としていく。

「私がトレントと戦います。皆さん他のモンスターを!」

 兵たちの|刺突の剣《レイピア》はトレントと相性が悪い。
 かわりに、スライムやグライアイなどには効果的。

 手分けしてモンスターを蹴散らし、無事モンスターの群れを討伐することができた。

「ありがとう、お嬢さん。主を助けていただいたお礼をしなければ……」
「お礼はいらないです。私はただの通りすがりで、お使いの途中なので失礼しますね」

 兵たちに呼び止められたけれど、いやほんと、お礼はいらないのよ。
 ほっといたら馬車に乗っている人も襲われることになるし。人として素通りできないでしょあれは。


 城下町の修道院で荷物を受け取って、ロドリゲスの背に乗せる。

「帰りも頼むわよ、ロドリゲス」

 ヒヒィン!(覚えられないならもう何とでも呼ぶといいわ……あんたバカだけど勇気はあるのね。見直したわよ脳筋シスター)

 無事にお使い終了、やったね私。
10/11ページ
スキ