ユーメシ! 〜ゲーム実況ユーチューバーの異世界メシテロ〜
今日も宿屋の一角、仮設診療所は村人が列をなす。
いままで医者がいなかったから、こぞって体調不良の困りごとを相談しに来ている。
ちなみに、ラビィの求める診療の対価はニンジャ。
どうせ収入はニンジャを買うのに使うから、はじめからニンジャがほしいとのこと。
ニンジャ好きよりさらに上、ニンジャ愛好家である。
そんなラビィが主となる村の診療所建設現場では、村の大工たちとビリー、コトリさんが働いている。
コトリさんてば村一番の力持ちだから、柱を片手で持ち上げられる。スキルってすごいよね。
オレ?
建設に関しては役立たずだから、オーパーツ収拾ツアーの荷物持ちだよ。ハハッ。
そんなわけで。オレは今、空のリュックを背負って、森の外周から海岸に来ている。
「キムランはそっちの方で回収していてくれ。俺はこっちを探すから」
「はいよー」
地球の物ならわかるけれど、異世界の物はよくわからん。
びん詰め系はヘタに開けるとまたオレの腕にくっつきそうだから怖くて触れない。
前にくっついた腕輪は、今もオレの手首に健在なのだよ。
いつかこれが外れる日が来たとして、ここだけ肌の色違いそうだよね。プールの授業のあとみたいな感じでさ、肌が出ている部分は農作業で日焼けしてるから。
しばらく砂浜を歩いていると、タマゴみたいな球体が、波打ち際に落ちていた。
真っ青で、大きさは大人の頭くらい。
「タマゴならミミが喜んで食べそうだなぁ。持ってくか」
布で殻の水気をぬぐい、リュックを下ろして口をあける。
タマゴを持ち上げようとしたら、どこからかコッコッコッと扉をノックするような音が聞こえてきた。
この砂浜に家なんてない。キツツキみたいなもんが森の木をつついているのかというとそうでもなさそうだ。
音はオレのすぐ近くでしていたから。
「…………え、マジ。もしかしてこれ、レクサスのタマゴだったりする……?」
もしもレクサスならオレぴんち! あ、でも攻撃をはじく腕輪があるから大丈夫かな。なんて考えているうちにタマゴの音は大きくなり、殻にヒビが入った。
そして爬虫類らしき前足が殻にかかった。
「きゅぴぃ?」
「うおっ!」
まっ白い首長竜に、翼が生えている…………わかります。RPGによく出てくるアレですね。
ミニドラゴン。
「きゅぴぴぃ」
かわいいより何より先に、『うまそう』と思ってしまったオレは、だいぶ村のみんなに毒されている気がする。
「何食うのかなこいつ。肉? 魚?」
「きゅー?」
「あ、はい。そうですよね」
生まれてすぐの本人がそんなこと知ってるわきゃねえ。
村のみんななら翻訳スキルで何かわかるかな。ドラゴン語も翻訳可能ならの場合だけど。
とりあえずミニドラ(仮)を抱っこして、みんなのところに戻ることにした。
見ず知らずの人に抱えられているのに逃げたりせず、ミニドラは大人しくオレの腕に収まっている。
「村長〜。これなんですかね」
「うおっ!! また変なもの拾ってきたなキムラン」
「がううー!」
おや、変なものと言われてご機嫌ナナメ?
「ああ、悪かった。そうなのかうん。ワカッタ」
「きゅ〜きゅ〜」
何やら会話をはじめた。
しばらくミニドラと話して、村長はオレにトンデモないことを言った。
「このドラゴン、キムランがお母さんだからついていく。だトサ」
………ええと、うん。
お母さん? オレが?
やあ、チャンネル登録者のみんな元気かな。
ユーチューバーのキムランだよ。
27歳にしてドラゴンのママになったようです。
せめてパパであってほしかった。
いままで医者がいなかったから、こぞって体調不良の困りごとを相談しに来ている。
ちなみに、ラビィの求める診療の対価はニンジャ。
どうせ収入はニンジャを買うのに使うから、はじめからニンジャがほしいとのこと。
ニンジャ好きよりさらに上、ニンジャ愛好家である。
そんなラビィが主となる村の診療所建設現場では、村の大工たちとビリー、コトリさんが働いている。
コトリさんてば村一番の力持ちだから、柱を片手で持ち上げられる。スキルってすごいよね。
オレ?
建設に関しては役立たずだから、オーパーツ収拾ツアーの荷物持ちだよ。ハハッ。
そんなわけで。オレは今、空のリュックを背負って、森の外周から海岸に来ている。
「キムランはそっちの方で回収していてくれ。俺はこっちを探すから」
「はいよー」
地球の物ならわかるけれど、異世界の物はよくわからん。
びん詰め系はヘタに開けるとまたオレの腕にくっつきそうだから怖くて触れない。
前にくっついた腕輪は、今もオレの手首に健在なのだよ。
いつかこれが外れる日が来たとして、ここだけ肌の色違いそうだよね。プールの授業のあとみたいな感じでさ、肌が出ている部分は農作業で日焼けしてるから。
しばらく砂浜を歩いていると、タマゴみたいな球体が、波打ち際に落ちていた。
真っ青で、大きさは大人の頭くらい。
「タマゴならミミが喜んで食べそうだなぁ。持ってくか」
布で殻の水気をぬぐい、リュックを下ろして口をあける。
タマゴを持ち上げようとしたら、どこからかコッコッコッと扉をノックするような音が聞こえてきた。
この砂浜に家なんてない。キツツキみたいなもんが森の木をつついているのかというとそうでもなさそうだ。
音はオレのすぐ近くでしていたから。
「…………え、マジ。もしかしてこれ、レクサスのタマゴだったりする……?」
もしもレクサスならオレぴんち! あ、でも攻撃をはじく腕輪があるから大丈夫かな。なんて考えているうちにタマゴの音は大きくなり、殻にヒビが入った。
そして爬虫類らしき前足が殻にかかった。
「きゅぴぃ?」
「うおっ!」
まっ白い首長竜に、翼が生えている…………わかります。RPGによく出てくるアレですね。
ミニドラゴン。
「きゅぴぴぃ」
かわいいより何より先に、『うまそう』と思ってしまったオレは、だいぶ村のみんなに毒されている気がする。
「何食うのかなこいつ。肉? 魚?」
「きゅー?」
「あ、はい。そうですよね」
生まれてすぐの本人がそんなこと知ってるわきゃねえ。
村のみんななら翻訳スキルで何かわかるかな。ドラゴン語も翻訳可能ならの場合だけど。
とりあえずミニドラ(仮)を抱っこして、みんなのところに戻ることにした。
見ず知らずの人に抱えられているのに逃げたりせず、ミニドラは大人しくオレの腕に収まっている。
「村長〜。これなんですかね」
「うおっ!! また変なもの拾ってきたなキムラン」
「がううー!」
おや、変なものと言われてご機嫌ナナメ?
「ああ、悪かった。そうなのかうん。ワカッタ」
「きゅ〜きゅ〜」
何やら会話をはじめた。
しばらくミニドラと話して、村長はオレにトンデモないことを言った。
「このドラゴン、キムランがお母さんだからついていく。だトサ」
………ええと、うん。
お母さん? オレが?
やあ、チャンネル登録者のみんな元気かな。
ユーチューバーのキムランだよ。
27歳にしてドラゴンのママになったようです。
せめてパパであってほしかった。