ユーメシ! 〜ゲーム実況ユーチューバーの異世界メシテロ〜
朝食のあと、オレは昨日収集してきたオーパーツ分別の輪の中に混じった。
どうやって使うのか検討もつかないものがたくさん。学術都市とやらで働く研究職の人はこれを全部検証するのか。すげーな。
オレが回収した水晶玉、これなんに使うんだろうなほんと。クリスタルのような透明感のある球体の中に青い光が渦巻いている。魔法的な何かってことくらいしかわからない。
ナルシェがオレの手元を見て頷く。
「それは砕くと中の魔法を習得できる。王都の魔法使いがいい値で買ってくれるんですよ」
「そうなんだ! やった、オレも少しは役に立てた」
スライムに負けるオレでも、できることがありました。
魔法の水晶を村長に渡して、他のものをチェックする。
筒状に巻いた紙が入ったびんだ。
ボトルメールってやつかな。この世界にもそんな文化があるんだな。
コルクを抜いて中の紙を取り出す。
なにが書いてあるのか。日焼けした紙を広げると、ドロン! と煙をあげて手の中から消えた。
と思ったら、オレの右手首に、つけた覚えのないピンク色のブレスレットがついている。石なのかなんなのか、ツルツルな素材。留め具がなくて外れないんですが。
「はあああ!? なななななな、なにこれ!」
デンデロデンデロデンデロデーー。
脳内で某RPGで流れる、呪いのメロディが再生される。ゲームだと教会でお金払って解呪してもらわないとだけど、この世界にそういう制度はあるのだろうか。
「わー、キムランさん珍しいものを見つけたな。かなりのレア物だぞ、それ」
「レア物?」
「ああ! 防御魔法が込められたブレスレットだ。そこの森で出るモンスターに襲われた程度なら攻撃をはね返せる」
まわりにいた人たちがいいなーって言うけど、ご利益がどんなものなのか見たことがないからな。
「レアってことは売ったらいい金になるやつか! どうしよう、うっかり開けちゃったけど外せるのかこれ!? オレ金持ってないから弁償できないんだけど」
「気にするなキムラン。3日後にみんなで森に行って|食料確保《・・・・》する予定だからな。ちょうどよかった」
食料確保、と聞いて頭に浮かんだのはレクサスの燻製肉、スライムステーキ。美味かったな、スライム。
単独では勝てなかったけど、みんなと一緒なら心強い。戦い方も聞けるし、スライムステーキまた食いたいし。
午後からは村長をはじめ男性陣が行商に行く。2つのグループに分かれて、縫製の町と学術都市それぞれにオーパーツを売るんだって。
オレ? オレは午後の仕事なし。
村の人たちの持つ異界言語の翻訳スキルがないから、村人以外とは会話が成り立たない。
はー、オレもみんなみたいな便利なスキルが欲しいよ。
「キムランおかえり」
「ただいま〜、ミミ」
家に帰るとミミが出迎えてくれる。お昼ごはんはすでにできているようだ。バスケットからパンが顔を覗かせている。
「おそとで、たべる」
「ピクニックか。いいな! 今日はよく晴れてるもんな。どこで食べる?」
「ひろば」
広場は、村の井戸があるところだ。切り株ベンチがいくつかあって、村人の憩いの場になっている。
雲一つない空のもと、弁当を広げる。
スライスされた黒パン。そして手のひらサイズの深皿には木の実のジャム、しんなりした野菜、薄切りのキバ魚が小分けされて入っている。
「おお〜! オープンサンドか!」
「すきなもの、のせる」
「ふふふふ! なら全部食うか」
まずキバ魚と野菜を乗せる。日本で言うところの漬け物かな。水分がにじみ出てしわしわだ。
「うっまーー!! これ漬物? なんか酸っぱい! キバ魚もいいにおいだし、魚と漬物って合うんだな!」
「やさいは、すっぱいハーブでつけたもの。キバさかなは、あまいニオイのきで、いぶした」
「要はピクルスとスモーク魚か。うめーー!」
この地域では燻製や漬物にして、食べ物が長持ちするようにされているんだな。
スモークされてオレンジに変わったキバ魚は、味が深くてピクルスとの食べ合わせがバツグンだ。
もう一枚パンを手にとって、鮮やかな紫のジャムをたっぷり乗せる。
「うまい! うますぎる! 甘さがしつこくなくてさっぱり食べやすい」
「もりでとれる、きのみ。モリベリー、につめた」
「へー! すっげー美味しいな!」
この世界は美味しい食で溢れている。
ありがとう神さま。転移してきたのがここでほんとうに良かったです。
ごはんを終えて帰路につく。疲れて眠いのか、ミミはまぶたが下がり気味で足取りがおぼつかない。バスケットはオレが持つ。
「ミミ、今日は昼寝しないか。オレすごく眠い」
「そこまでいうなら、つきあってもいい」
つれないことをいいながらも、帰ってすぐミミは枕を抱っこして寝落ちした。
背伸びしててもまだ幼いもんな。
小さい保護者の頭をなでて、オレも目を閉じた。
どうやって使うのか検討もつかないものがたくさん。学術都市とやらで働く研究職の人はこれを全部検証するのか。すげーな。
オレが回収した水晶玉、これなんに使うんだろうなほんと。クリスタルのような透明感のある球体の中に青い光が渦巻いている。魔法的な何かってことくらいしかわからない。
ナルシェがオレの手元を見て頷く。
「それは砕くと中の魔法を習得できる。王都の魔法使いがいい値で買ってくれるんですよ」
「そうなんだ! やった、オレも少しは役に立てた」
スライムに負けるオレでも、できることがありました。
魔法の水晶を村長に渡して、他のものをチェックする。
筒状に巻いた紙が入ったびんだ。
ボトルメールってやつかな。この世界にもそんな文化があるんだな。
コルクを抜いて中の紙を取り出す。
なにが書いてあるのか。日焼けした紙を広げると、ドロン! と煙をあげて手の中から消えた。
と思ったら、オレの右手首に、つけた覚えのないピンク色のブレスレットがついている。石なのかなんなのか、ツルツルな素材。留め具がなくて外れないんですが。
「はあああ!? なななななな、なにこれ!」
デンデロデンデロデンデロデーー。
脳内で某RPGで流れる、呪いのメロディが再生される。ゲームだと教会でお金払って解呪してもらわないとだけど、この世界にそういう制度はあるのだろうか。
「わー、キムランさん珍しいものを見つけたな。かなりのレア物だぞ、それ」
「レア物?」
「ああ! 防御魔法が込められたブレスレットだ。そこの森で出るモンスターに襲われた程度なら攻撃をはね返せる」
まわりにいた人たちがいいなーって言うけど、ご利益がどんなものなのか見たことがないからな。
「レアってことは売ったらいい金になるやつか! どうしよう、うっかり開けちゃったけど外せるのかこれ!? オレ金持ってないから弁償できないんだけど」
「気にするなキムラン。3日後にみんなで森に行って|食料確保《・・・・》する予定だからな。ちょうどよかった」
食料確保、と聞いて頭に浮かんだのはレクサスの燻製肉、スライムステーキ。美味かったな、スライム。
単独では勝てなかったけど、みんなと一緒なら心強い。戦い方も聞けるし、スライムステーキまた食いたいし。
午後からは村長をはじめ男性陣が行商に行く。2つのグループに分かれて、縫製の町と学術都市それぞれにオーパーツを売るんだって。
オレ? オレは午後の仕事なし。
村の人たちの持つ異界言語の翻訳スキルがないから、村人以外とは会話が成り立たない。
はー、オレもみんなみたいな便利なスキルが欲しいよ。
「キムランおかえり」
「ただいま〜、ミミ」
家に帰るとミミが出迎えてくれる。お昼ごはんはすでにできているようだ。バスケットからパンが顔を覗かせている。
「おそとで、たべる」
「ピクニックか。いいな! 今日はよく晴れてるもんな。どこで食べる?」
「ひろば」
広場は、村の井戸があるところだ。切り株ベンチがいくつかあって、村人の憩いの場になっている。
雲一つない空のもと、弁当を広げる。
スライスされた黒パン。そして手のひらサイズの深皿には木の実のジャム、しんなりした野菜、薄切りのキバ魚が小分けされて入っている。
「おお〜! オープンサンドか!」
「すきなもの、のせる」
「ふふふふ! なら全部食うか」
まずキバ魚と野菜を乗せる。日本で言うところの漬け物かな。水分がにじみ出てしわしわだ。
「うっまーー!! これ漬物? なんか酸っぱい! キバ魚もいいにおいだし、魚と漬物って合うんだな!」
「やさいは、すっぱいハーブでつけたもの。キバさかなは、あまいニオイのきで、いぶした」
「要はピクルスとスモーク魚か。うめーー!」
この地域では燻製や漬物にして、食べ物が長持ちするようにされているんだな。
スモークされてオレンジに変わったキバ魚は、味が深くてピクルスとの食べ合わせがバツグンだ。
もう一枚パンを手にとって、鮮やかな紫のジャムをたっぷり乗せる。
「うまい! うますぎる! 甘さがしつこくなくてさっぱり食べやすい」
「もりでとれる、きのみ。モリベリー、につめた」
「へー! すっげー美味しいな!」
この世界は美味しい食で溢れている。
ありがとう神さま。転移してきたのがここでほんとうに良かったです。
ごはんを終えて帰路につく。疲れて眠いのか、ミミはまぶたが下がり気味で足取りがおぼつかない。バスケットはオレが持つ。
「ミミ、今日は昼寝しないか。オレすごく眠い」
「そこまでいうなら、つきあってもいい」
つれないことをいいながらも、帰ってすぐミミは枕を抱っこして寝落ちした。
背伸びしててもまだ幼いもんな。
小さい保護者の頭をなでて、オレも目を閉じた。