魔法少女ばあやの日常
ペペが空中に鏡を出します。
肩出しビスチェにすごく短いスカート。
手には飾りがついたホウキ。
見た目少女でも、わたしの心は七十歳のままなんですよ……?
なんですかこのはずかしめは。
「そのブローチは魔力が高い年齢……少女時代の自分になれるのでし。ええと、そういえばキミの名前は」
「エデルミラです」
「ミラ」
「エデルミラです」
「ミラ」
ぺぺは、長い名前を覚えられないのかもしれません。というか、いまさら名前を聞くんですか。
「ようは、この魔法の力で戦えということ?」
「ミラは飲みこみが早くて助かるでしぃ」
「飲まないと話が進まないわ。わたし殿下を連れ戻さないといけないのです。元の姿に戻れないと困るのですが」
「世界の危機を救うことのほうがジューヨーでしよ。ミラ! ホウキで飛び立つのでし!」
「ええぇ……」
伝承の魔法少女は、ホウキで空をかけ魔物を消し去ることができたそうです。
所詮おとぎ話だというのが大人の認識です。
わたしもさっきまではそう思っていました。
自分の姿が変わってしまった以上、魔法の存在を認めるしかありません。
ぺぺに言われるまま、ホウキにまたがりました。
「ええと、このあとどうしたら」
「飛ぶ姿を思うでし。いまじねぃしょんでし!」
「まさかの根性論」
わたしも幼い頃は夢見たこともあります。ホウキで世界を飛び回る夢。
足が地を離れて、ホウキが浮き上がります。
「ほ、本当にとんでる……」
「ミラは想像力ゆたかでし〜。ソフィアは時間がかかったでしよ」
「ソフィア? それがさっき言っていた他の魔法少女?」
「そうでし。ソフィアを助けにいくでし!」
ミミを翼のように上下させながら、ぺぺが飛んでいく。その後を追って、わたしも飛びます。
今すぐもとに戻れない以上、せめて捜索を同時進行しましょう。
城外に広がる平原で、三つ首の巨大な犬が暴れまわっています。
「来るな化物! 俺は王子だぞ。こんな真似してただで済むとおも……ギャぁー!!」
魔物から逃げる人は、なんとダミアン王子。
助けに入ったらしい魔法少女は泣いています。
「うぁあん! 怖いよう。はやく帰ってきてよペペぇぇーー!」
「今たすけにいくでふよ!」
ソフィアのもとにおりていくペペ。
わたしもすぐソフィアのそばに降ります。
「わたしも一緒に戦います」
「あ、あなたも、魔法少女なの?」
「はい。ペペから頼まれました。あなたと力を合わせ、魔物に立ち向かってほしいと」
王子はわたしたちの背後で尻餅をついて、お漏らししちゃってます。
「ダミアン様。貴方は城に戻ってください」
「な、なんで俺の名前を」
「説明している暇はありません。早く」
王子は東国土産レッドベコのように首をガクガク振り、這って逃げていきました。
「さぁ、ペペ。わたしたちこれから何をすればよろしいのです?」
「ミラの力は時間のチカラ。腰にさげた時計を使うのでし!」
腰にある、手のひらより大きい時計を取り、前に突き出す。口が自然と動きました。
「時よ止まれ !」
空中に時計盤のような青い輪が広がって、魔物の動きが止まる。
「ソフィア、いまでし!」
ソフィアは震えながらもピンクの宝石がついた杖を振りかざします。
「異界送還 !」
杖から光の波動が一直線に吹き出して魔物を包む。
光の中にかき消えるように、魔物の姿は見えなくなりました。
「や、やった! あたし、はじめてできたよぅ」
へたり込んで泣くソフィアに、そっと手を差し伸べます。
「ありがとう、ソフィア。助かりました。わたしはエルデミラ。よろしくお願いします」
「はぅ。すてきなお姉様……あたしはソフィアです。今後とも末永く! よろしくお願いしますー!」
なぜでしょう。鳥肌が立ちました。
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手には飾りがついたホウキ。
見た目少女でも、わたしの心は七十歳のままなんですよ……?
なんですかこのはずかしめは。
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「エデルミラです」
「ミラ」
「エデルミラです」
「ミラ」
ぺぺは、長い名前を覚えられないのかもしれません。というか、いまさら名前を聞くんですか。
「ようは、この魔法の力で戦えということ?」
「ミラは飲みこみが早くて助かるでしぃ」
「飲まないと話が進まないわ。わたし殿下を連れ戻さないといけないのです。元の姿に戻れないと困るのですが」
「世界の危機を救うことのほうがジューヨーでしよ。ミラ! ホウキで飛び立つのでし!」
「ええぇ……」
伝承の魔法少女は、ホウキで空をかけ魔物を消し去ることができたそうです。
所詮おとぎ話だというのが大人の認識です。
わたしもさっきまではそう思っていました。
自分の姿が変わってしまった以上、魔法の存在を認めるしかありません。
ぺぺに言われるまま、ホウキにまたがりました。
「ええと、このあとどうしたら」
「飛ぶ姿を思うでし。いまじねぃしょんでし!」
「まさかの根性論」
わたしも幼い頃は夢見たこともあります。ホウキで世界を飛び回る夢。
足が地を離れて、ホウキが浮き上がります。
「ほ、本当にとんでる……」
「ミラは想像力ゆたかでし〜。ソフィアは時間がかかったでしよ」
「ソフィア? それがさっき言っていた他の魔法少女?」
「そうでし。ソフィアを助けにいくでし!」
ミミを翼のように上下させながら、ぺぺが飛んでいく。その後を追って、わたしも飛びます。
今すぐもとに戻れない以上、せめて捜索を同時進行しましょう。
城外に広がる平原で、三つ首の巨大な犬が暴れまわっています。
「来るな化物! 俺は王子だぞ。こんな真似してただで済むとおも……ギャぁー!!」
魔物から逃げる人は、なんとダミアン王子。
助けに入ったらしい魔法少女は泣いています。
「うぁあん! 怖いよう。はやく帰ってきてよペペぇぇーー!」
「今たすけにいくでふよ!」
ソフィアのもとにおりていくペペ。
わたしもすぐソフィアのそばに降ります。
「わたしも一緒に戦います」
「あ、あなたも、魔法少女なの?」
「はい。ペペから頼まれました。あなたと力を合わせ、魔物に立ち向かってほしいと」
王子はわたしたちの背後で尻餅をついて、お漏らししちゃってます。
「ダミアン様。貴方は城に戻ってください」
「な、なんで俺の名前を」
「説明している暇はありません。早く」
王子は東国土産レッドベコのように首をガクガク振り、這って逃げていきました。
「さぁ、ペペ。わたしたちこれから何をすればよろしいのです?」
「ミラの力は時間のチカラ。腰にさげた時計を使うのでし!」
腰にある、手のひらより大きい時計を取り、前に突き出す。口が自然と動きました。
「
空中に時計盤のような青い輪が広がって、魔物の動きが止まる。
「ソフィア、いまでし!」
ソフィアは震えながらもピンクの宝石がついた杖を振りかざします。
「
杖から光の波動が一直線に吹き出して魔物を包む。
光の中にかき消えるように、魔物の姿は見えなくなりました。
「や、やった! あたし、はじめてできたよぅ」
へたり込んで泣くソフィアに、そっと手を差し伸べます。
「ありがとう、ソフィア。助かりました。わたしはエルデミラ。よろしくお願いします」
「はぅ。すてきなお姉様……あたしはソフィアです。今後とも末永く! よろしくお願いしますー!」
なぜでしょう。鳥肌が立ちました。
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