魔法少女ばあやの日常

「ミラぁ〜〜! 魔物が出たでし!」

 翌朝。
 休憩時間にぺぺがすっ飛んできました。

「わかったわ。すぐ行きます」

 仕事の最中でなくて良かった。
 すぐに変身して魔物が出現した場所に向かいます。

 昨日きちんと話し合ったから、ルークはもう出てくるなとは言わない……はず。




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 町に近い平原。
 今回の魔物は空を飛べるのね。羽が生えた黄色い魔物が空から人々を追いかけています。
 いつもならまっさきに来ているソフィアの姿はなし。

 ソフィアが来るまで、わたしが相手をしましょう。

「皆さん逃げてください。わたしが足止めします!」
「は、はい!!」

 50代くらいの女性とその家族らしい人たちが逃げていきます。

「さあ、魔物さん、わたしが相手になりますよ!!」
「ギシャーー!」

 昨日、ルーカスにあれだけ啖呵を切ったのです。無力でもできる全てで立ち向かいましょう。

 魔物が私めがけて滑空してきます。
 停止をかける暇すらない。飛び退いて、着地したところにまあ追いかけてくる。

「だから下がっていろと言っただろう」
「ルーカス!」

 わたしに噛み付こうとした魔物を、ルークが魔法剣で弾きました。
 魔物はルークのリーチ内に入るのがまずいと気づいたようで、剣が届かない高さに舞い上がります。

「ちっ。……どうするか。ホウキがないからな」

 どうやらルークは攻撃特化で、わたしやソフィアのようにホウキで飛ぶことはできないようです。
 かといってわたしが空を飛んでも、魔物のほうが早く飛ぶから追いつかれてしまいます。

 けれど、防戦一方ではいられない。わたしたちが止めないと、民が襲われてしまいます。

「わたしにもできることがあるはずです。足手まといにはなりません!」

 声に応えるように、提げていた時計がキラキラと輝きだしました。
 光を帯びて形を変え、弓矢へと変わります。

 もしかして、これがわたしの新しい魔法。

 弓を取ったとなどありませんが、感じるままに矢をつがえ弦をひきます。

連弾の壁バレィラ!」

 矢は無数に分散して空に登る。
 矢の嵐を浴びた魔物はハリセンボンのようになって地上に落ちます。

「遅くなってすみません、お姉さま、ルークさん! いっけええー! エクストラディクション!」
「ぎゃううう!」

 魔物は抵抗できず、あるべき場所へと送還されていきました。



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