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魔法少女ばあやの日常

「てやああああ!」

 ルークは地を蹴り、魔物に切りかかります。

「ルーク、危ないです! 魔物に普通の武器は通じな……」

 騎士団ががんばってもかすり傷をつけるのがやっと、なのに。

 ルークの剣戟をうけ、魔物はズシーン! と地響きを立てながら地面に突っ伏しました。

「す、すっごぉい」

 ソフィアも驚きのあまり目が点になっています。

「エデルミラ、今のうちに!」
「は、はい!」

 なぜ初対面の少年がわたしの本名を知っているのか……考えている場合じゃありません。
 魔物が立ち上がる前に術をかけます。

「エスペイラ!」
「あたしも! エクストラディクション!」

 突っ伏したまま動きを止めた魔物を、ソフィアが送還しました。
 あたりに静寂が戻り、ルークがこちらを向きます。

 緑の瞳に見つめられ、一瞬脳裏に誰かの姿がよぎりました。
 初めて会ったはずなのに、よく知っているような……不思議な感覚です。

「よくやったですの。ルークはすごいですの!」

 ルークの肩でカラフルなネズミがはねています。ぺぺが喜色満面でネズミのもとに飛んでいきました。

「ノノ! 久しぶりでし! ノノも戦士を見つけたんでしか!」
「ぺぺ! 無事で嬉しいですの。そうですの。ノノはルークを見つけたですの」

 あのネズミのような生き物は、ぺぺの仲間、精霊。ということはルークもまた魔法の宿る武器で戦う仲間なんですね。

「ありがとう、ルーク。助かりました」
「礼は不要。当然のことをしたまでだ」

 ぶっきらぼうにつぶやいて、来たときと同様、風のように去ってしまいました。

「はぁ〜。愛想はないけどすごくかっこいい人でしたねぇ、お姉様。味方が増えて嬉しいです」
「……そうね、ソフィア」

 彼がわたしの名前を知っていたのは、なぜ?
 ルークの去った方を見て、ずっと考えていました。
 

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