第7話 三匹が逝く!
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「う…うーん…」
鬼灯に続き、2日間徹夜だった私は閻魔に一日休暇をもらい、お昼までぶっ通しで寝続けた。
「……ん」
寝過ぎたかもしれない。頭がガンガンする。
薄く目を開けると天井がいつも通り……ん?いつも…通りじゃ…ない⁉
目がはっきりと覚めると、目と鼻の先にわずかに湿った黒々とした物が突きつけられていた。
「クンクン」
「シ…シロさん?」
「あ、白鷺様起きた。おはよう、白鷺様」
瞬時にこの間の出来事が鬼灯と代わって私になったのだと悟った。
「おはよう…ございます」
「白鷺様は部屋綺麗だね。ちゃんと整理されてる。」
「隣の部屋とは大違いだな。」
柿助とルリオが、部屋を珍しそうに見渡すので少し恥ずかしくなった。普段、何気なく日々を過ごしているプライベートな部屋をじろじろと見られることが、これほどまでに恥ずかしいとは。
「それにしても…徹夜明けはこんなに体が重いのか…。頭痛い…。」
しばらくゴロゴロしていたい。私はシロの鼻先から逃げるように寝返りをうった。
「おはようございます。」
鼻がぶつかりそうなくらい接近しているのは、見慣れた顔だった。声にならない悲鳴が口から零れる。
「……っ…!」
「そんなに驚かれなくても」
そりゃ、体が重いよ!大の大人の男が私に体重を乗せているのだから!知らないうちに、私の布団に潜り込み、側で添い寝をする鬼灯の姿に、いろいろな意味で恐怖を感じる。
「何やってるんですか⁉」
「…夜這い?」
「今昼間ですよ!」
「では、今度はちゃんと夜にさせて頂きます。」
「そういうことじゃないんですよ!」
ぴったりと私の体に、彼の体をくっつけて寄り添う鬼灯を布団から押し出そうと、足の裏で蹴り出すが彼の強力な肉体はビクともしない。
「セクハラですよ。」
「今日は、オフなので。」
「デジャヴなんですが」
これではゆっくり二度寝どころか、夢うつつな時間を有意義に過ごすことすらできない。私は渋々、布団から這い出た。
「あれ、白鷺様起きちゃうの?」
「あんな人がいるというのに、やすやすと休めますか。」
擦り寄ってくるシロの頭を撫でる。シロは満足気に目を細めると、くぅんと一声鳴いた。
「じゃ、また子守唄歌ってあげようか?」
「いえ、もうギザギザハートネタは飽きました。」
それにしても…と私は布団の中でもぞもぞと起きた上がる鬼灯に問いかけた。
「仕事は?」
「休憩を頂きました。シロさん達も休憩で…」
「みんなでご飯でも食べようかなって…誘いに来た!」
壁掛けの時計をちらりと見ると、お昼もとっくに過ぎている。十何時間も寝て過ごした事実に、少し罪悪感を抱く。時間を改めて認識すると私の腹の虫もうるさいほど騒ぎ出した。
「わかりました。行きましょう。」
「本当に⁉やったぁ!」
シロは尻尾を振ってくるくると回り始めた。それくらいで喜んでくれるなら、こちらも嬉しい。私は寝間着の前を丁寧直してから、床に足をつけた。床の冷たさが、布団の中で熱々に火照った体を冷やしていく。
「ふぅ…では、用意をするので一度外で待っていてもらえますか…っ!」
彼らを部屋から追い出そうとする私の言葉を遮るように、急に腕を引かれて再びベッドへと後ろ向きに倒れこんだ。そして手を引いた張本人が上手に抱きとめ、胡座をかいた彼の膝の上に無理矢理座らされた。
「ちょっと…鬼灯様!」
「私はまだ、貴方とこうしていたいんですが。」
鬼灯の膝の上に座った私を、後ろから強い力で抱き締める鬼灯。私の汗ばんだうなじに顔をうずめるとそこで深呼吸をするので、彼の暑い息が首筋にかかり、ぞわぞわと背中の毛が逆立つ。
「知りませんよ!離してください!」
「嫌です。」
「何こどもみたいなこと言ってるんですか!駄々こねないでください!」
必死に手足を大きく振って抵抗するが、残念ながらそれは無意味に過ぎなかった。
「はーなーしーてー!」
「何子供みたいに駄々こねてるんですか⁉」
「それはこっちの台詞なんですけど⁉」
しばらく頑張って抵抗していたが徹夜明けと寝起きと言うこともあって体力もなく疲れてしまい、結局鬼灯の膝の上で落ち着くこととなった。
「シロさん、あと10分ください」
「え…あ…はい」
シロも柿助もルリオも困惑する中、鬼灯は私を抱き上げると手際良く二人一緒に布団に潜り込んだ。
「むう…」
「そんなあからさまに嫌な顔しないでください。」
鬼灯は薄く目を閉じると、一度大きく深呼吸をした。彼の手によって再び布団の中に舞い戻ってしまった不満な私は、困惑するように顔を見合わせる3匹に目を向けて手招きをした。
「シロさんも柿助さんもルリオさんも、おいで。みんなで温まりましょう。」
「え⁉いいの⁉」
「どうぞ」
遠慮のないシロは、私の誘いにわーいと素直に声を上げ、足元から頭を入れて這ってくると私と鬼灯の間に身を置いた。
柿助とルリオも一度顔を見合わせたが柿助も同じように私と鬼灯の間に、ルリオはまるで卵を温めるかのように、布団越しに私の上に乗った。
「ぎゅーぎゅーだね」
「でも、たまにはこういうのも良いかもしれませんね。ね、鬼灯様」
布団の中で二人きりの甘い時間を過ごせなかった鬼灯は、しばらく不満そうに黙り込んでいたが、そのうち顔を上げて薄く口角を上げた。
「そうですね。良いものです。」
布団の温もり、既に寝息を立て始めたシロにつられて、虚ろに夢の世界と現実の世界を行き来する私の手を鬼灯はギュッと握ると、
「少しだけ、おやすみなさい。白鷺さん。」
お腹に響く、彼の心地よい声に誘われるように、ふっと私の意識が途切れる。今日は良い一日になるかもしれない。
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鬼灯に続き、2日間徹夜だった私は閻魔に一日休暇をもらい、お昼までぶっ通しで寝続けた。
「……ん」
寝過ぎたかもしれない。頭がガンガンする。
薄く目を開けると天井がいつも通り……ん?いつも…通りじゃ…ない⁉
目がはっきりと覚めると、目と鼻の先にわずかに湿った黒々とした物が突きつけられていた。
「クンクン」
「シ…シロさん?」
「あ、白鷺様起きた。おはよう、白鷺様」
瞬時にこの間の出来事が鬼灯と代わって私になったのだと悟った。
「おはよう…ございます」
「白鷺様は部屋綺麗だね。ちゃんと整理されてる。」
「隣の部屋とは大違いだな。」
柿助とルリオが、部屋を珍しそうに見渡すので少し恥ずかしくなった。普段、何気なく日々を過ごしているプライベートな部屋をじろじろと見られることが、これほどまでに恥ずかしいとは。
「それにしても…徹夜明けはこんなに体が重いのか…。頭痛い…。」
しばらくゴロゴロしていたい。私はシロの鼻先から逃げるように寝返りをうった。
「おはようございます。」
鼻がぶつかりそうなくらい接近しているのは、見慣れた顔だった。声にならない悲鳴が口から零れる。
「……っ…!」
「そんなに驚かれなくても」
そりゃ、体が重いよ!大の大人の男が私に体重を乗せているのだから!知らないうちに、私の布団に潜り込み、側で添い寝をする鬼灯の姿に、いろいろな意味で恐怖を感じる。
「何やってるんですか⁉」
「…夜這い?」
「今昼間ですよ!」
「では、今度はちゃんと夜にさせて頂きます。」
「そういうことじゃないんですよ!」
ぴったりと私の体に、彼の体をくっつけて寄り添う鬼灯を布団から押し出そうと、足の裏で蹴り出すが彼の強力な肉体はビクともしない。
「セクハラですよ。」
「今日は、オフなので。」
「デジャヴなんですが」
これではゆっくり二度寝どころか、夢うつつな時間を有意義に過ごすことすらできない。私は渋々、布団から這い出た。
「あれ、白鷺様起きちゃうの?」
「あんな人がいるというのに、やすやすと休めますか。」
擦り寄ってくるシロの頭を撫でる。シロは満足気に目を細めると、くぅんと一声鳴いた。
「じゃ、また子守唄歌ってあげようか?」
「いえ、もうギザギザハートネタは飽きました。」
それにしても…と私は布団の中でもぞもぞと起きた上がる鬼灯に問いかけた。
「仕事は?」
「休憩を頂きました。シロさん達も休憩で…」
「みんなでご飯でも食べようかなって…誘いに来た!」
壁掛けの時計をちらりと見ると、お昼もとっくに過ぎている。十何時間も寝て過ごした事実に、少し罪悪感を抱く。時間を改めて認識すると私の腹の虫もうるさいほど騒ぎ出した。
「わかりました。行きましょう。」
「本当に⁉やったぁ!」
シロは尻尾を振ってくるくると回り始めた。それくらいで喜んでくれるなら、こちらも嬉しい。私は寝間着の前を丁寧直してから、床に足をつけた。床の冷たさが、布団の中で熱々に火照った体を冷やしていく。
「ふぅ…では、用意をするので一度外で待っていてもらえますか…っ!」
彼らを部屋から追い出そうとする私の言葉を遮るように、急に腕を引かれて再びベッドへと後ろ向きに倒れこんだ。そして手を引いた張本人が上手に抱きとめ、胡座をかいた彼の膝の上に無理矢理座らされた。
「ちょっと…鬼灯様!」
「私はまだ、貴方とこうしていたいんですが。」
鬼灯の膝の上に座った私を、後ろから強い力で抱き締める鬼灯。私の汗ばんだうなじに顔をうずめるとそこで深呼吸をするので、彼の暑い息が首筋にかかり、ぞわぞわと背中の毛が逆立つ。
「知りませんよ!離してください!」
「嫌です。」
「何こどもみたいなこと言ってるんですか!駄々こねないでください!」
必死に手足を大きく振って抵抗するが、残念ながらそれは無意味に過ぎなかった。
「はーなーしーてー!」
「何子供みたいに駄々こねてるんですか⁉」
「それはこっちの台詞なんですけど⁉」
しばらく頑張って抵抗していたが徹夜明けと寝起きと言うこともあって体力もなく疲れてしまい、結局鬼灯の膝の上で落ち着くこととなった。
「シロさん、あと10分ください」
「え…あ…はい」
シロも柿助もルリオも困惑する中、鬼灯は私を抱き上げると手際良く二人一緒に布団に潜り込んだ。
「むう…」
「そんなあからさまに嫌な顔しないでください。」
鬼灯は薄く目を閉じると、一度大きく深呼吸をした。彼の手によって再び布団の中に舞い戻ってしまった不満な私は、困惑するように顔を見合わせる3匹に目を向けて手招きをした。
「シロさんも柿助さんもルリオさんも、おいで。みんなで温まりましょう。」
「え⁉いいの⁉」
「どうぞ」
遠慮のないシロは、私の誘いにわーいと素直に声を上げ、足元から頭を入れて這ってくると私と鬼灯の間に身を置いた。
柿助とルリオも一度顔を見合わせたが柿助も同じように私と鬼灯の間に、ルリオはまるで卵を温めるかのように、布団越しに私の上に乗った。
「ぎゅーぎゅーだね」
「でも、たまにはこういうのも良いかもしれませんね。ね、鬼灯様」
布団の中で二人きりの甘い時間を過ごせなかった鬼灯は、しばらく不満そうに黙り込んでいたが、そのうち顔を上げて薄く口角を上げた。
「そうですね。良いものです。」
布団の温もり、既に寝息を立て始めたシロにつられて、虚ろに夢の世界と現実の世界を行き来する私の手を鬼灯はギュッと握ると、
「少しだけ、おやすみなさい。白鷺さん。」
お腹に響く、彼の心地よい声に誘われるように、ふっと私の意識が途切れる。今日は良い一日になるかもしれない。
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