第5話 いかにして彼らの確執は生まれたか
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箒と塵取り、そして救急箱を手に戻ってくると鬼灯の後ろに目立つ巨漢が立っていた。
「閻魔大王。お疲れ様です。」
いつの間に来たのだろうと私が駆け寄ると、閻魔は汗が滲む顔をふにゃりとゆがませた。
「どうしまし…」
そこで言葉が喉の奥に流れた。どうしてボールペンが大理石に刺さっている。私も背中に冷たい汗が流れる。どれほどの速さでボールペンを投げたら、硬い大理石に突き刺さるのだろうと計算をしようと思ったが、物理学は専門外なので考えるのを辞めた。
「お気になさらないでください。」
鬼灯に促されて私は柱の前にしゃがみこむと、鬼灯の砕いた柱の破片をかき集め始めた。
「なんの話をなさっていたのですか?」
「鬼灯君が白澤君が嫌いって話」
ようやく体の硬直が解け、動けるようになった閻魔が袖で額を拭って答えた。
「何かキッカケとか訳でも?」
確かにどうして私に会うなと言うぐらい彼を嫌っているのか理解出来ない。確かに次々に女の子に手を出す男性は正直いけ好かないが、そこまで嫌うほどでもない。
「うーん、あれはもう…千年ぐらい前だっけなぁ…」
閻魔が遠くを見つめる。鬼灯は不服そうだ。
私は破片を集めた塵取りを持ち上げた。
「傷見せてくださいね。」
「すぐに治ります。」
「大人しくなさい。」
閻魔が言うにはこうだ。
昔「和漢親善競技大会」今でいう日本と漢の間でのオリンピックみたいな大会があり、中国代表は「乳白色組」、日本代表は「赤黒色組」に分かれていた。なぜ、紅白ではないかは今は言及しないでおこう。
二人はその審判だった。二人とも代表選手の域を超えており、特別枠として審判の立ち位置に就いたという。不公平がないようにお互いの国から審判を出し、武道や知恵比べや妖怪による術対決などを競技として行っていた。二人は全競技の総合裁判として出ており、長期間一緒に仕事をすることとなった。
それまでにも二人は何度か会ったことがあったが、長期の仕事は初だった。しかし、当時の女性陣は競技観戦目的というよりも「鬼灯派VS白澤派」でフィーバーしてたとか。
「まぁ、そうなるでしょうね。」
男達が呆れた顔して女たちの黄色い声援を送る姿を見ているのがよくわかる。私もこんなに容姿端麗な審判がいたら、心が揺らぐもの。
「ほら、手出してください」
閻魔が桃太郎に1000年前のオリンピックを説明している間に私は鬼灯の手当てを行う。
「なんとも、ないですよ。」
ほら、と出した手の甲が赤く腫れている。
「なんともない訳ないでしょ。」
「唾をつけていれば治りますよ。と言う訳で舐め…」
「ませんから」
腫れて熱の篭る甲に湿布を貼る。大体、大理石にボールペンを刺すとか、柱を粉砕するとか常識的に考えられない。鬼神には常識は通じない。だから選手から外されるんですよ、と言いかけて口をつぐんだ。
閻魔の長話を、興味津々で目を輝かせて聞く桃太郎は昔のヤンチャな面影はなく、ただ純粋に知りたいものは知りたい、子供のような目をしていた。聖徳太子VS諸葛孔明は確かに気になる。
しかしやはり長話だけでは私達の根本的な問題、「鬼灯と白澤の仲」の本題に入らない。痺れを切らせて、
「で、お二人に何があったんですか?」
と私が声をかけると、閻魔はついに二人の悪仲の原点が明らかにした。
「しばらくは、剥がさないでくださいよ。」
「今すぐとっていいですか?」
「話聞いてました?貴方は子どもか。」
→
「閻魔大王。お疲れ様です。」
いつの間に来たのだろうと私が駆け寄ると、閻魔は汗が滲む顔をふにゃりとゆがませた。
「どうしまし…」
そこで言葉が喉の奥に流れた。どうしてボールペンが大理石に刺さっている。私も背中に冷たい汗が流れる。どれほどの速さでボールペンを投げたら、硬い大理石に突き刺さるのだろうと計算をしようと思ったが、物理学は専門外なので考えるのを辞めた。
「お気になさらないでください。」
鬼灯に促されて私は柱の前にしゃがみこむと、鬼灯の砕いた柱の破片をかき集め始めた。
「なんの話をなさっていたのですか?」
「鬼灯君が白澤君が嫌いって話」
ようやく体の硬直が解け、動けるようになった閻魔が袖で額を拭って答えた。
「何かキッカケとか訳でも?」
確かにどうして私に会うなと言うぐらい彼を嫌っているのか理解出来ない。確かに次々に女の子に手を出す男性は正直いけ好かないが、そこまで嫌うほどでもない。
「うーん、あれはもう…千年ぐらい前だっけなぁ…」
閻魔が遠くを見つめる。鬼灯は不服そうだ。
私は破片を集めた塵取りを持ち上げた。
「傷見せてくださいね。」
「すぐに治ります。」
「大人しくなさい。」
閻魔が言うにはこうだ。
昔「和漢親善競技大会」今でいう日本と漢の間でのオリンピックみたいな大会があり、中国代表は「乳白色組」、日本代表は「赤黒色組」に分かれていた。なぜ、紅白ではないかは今は言及しないでおこう。
二人はその審判だった。二人とも代表選手の域を超えており、特別枠として審判の立ち位置に就いたという。不公平がないようにお互いの国から審判を出し、武道や知恵比べや妖怪による術対決などを競技として行っていた。二人は全競技の総合裁判として出ており、長期間一緒に仕事をすることとなった。
それまでにも二人は何度か会ったことがあったが、長期の仕事は初だった。しかし、当時の女性陣は競技観戦目的というよりも「鬼灯派VS白澤派」でフィーバーしてたとか。
「まぁ、そうなるでしょうね。」
男達が呆れた顔して女たちの黄色い声援を送る姿を見ているのがよくわかる。私もこんなに容姿端麗な審判がいたら、心が揺らぐもの。
「ほら、手出してください」
閻魔が桃太郎に1000年前のオリンピックを説明している間に私は鬼灯の手当てを行う。
「なんとも、ないですよ。」
ほら、と出した手の甲が赤く腫れている。
「なんともない訳ないでしょ。」
「唾をつけていれば治りますよ。と言う訳で舐め…」
「ませんから」
腫れて熱の篭る甲に湿布を貼る。大体、大理石にボールペンを刺すとか、柱を粉砕するとか常識的に考えられない。鬼神には常識は通じない。だから選手から外されるんですよ、と言いかけて口をつぐんだ。
閻魔の長話を、興味津々で目を輝かせて聞く桃太郎は昔のヤンチャな面影はなく、ただ純粋に知りたいものは知りたい、子供のような目をしていた。聖徳太子VS諸葛孔明は確かに気になる。
しかしやはり長話だけでは私達の根本的な問題、「鬼灯と白澤の仲」の本題に入らない。痺れを切らせて、
「で、お二人に何があったんですか?」
と私が声をかけると、閻魔はついに二人の悪仲の原点が明らかにした。
「しばらくは、剥がさないでくださいよ。」
「今すぐとっていいですか?」
「話聞いてました?貴方は子どもか。」
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