第3話 地獄不思議発見
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「では、5日程留守にしますがよろしくお願いしますね。」
大きなトランクケースに、耳まですっぽりと入る帽子を深々とかぶり、薄いシャツとダボダボのズボンを履いて鬼灯が礼儀正しく頭を下げる。いつもの着物でないだけで、こんなにも雰囲気が変わるのだと思いながら、いつもより少し彼の存在を身近に感じた。
「ゆっくりしてきてください。」
これから5日間は鬼灯がいない中での勤務となる。重要書類は彼でないと処理できないので、それ以外の仕事は私と閻魔の二人で片付けることとなった。きっとこの5日間で彼の存在がどれほど大きいものであるのかを痛感するのであろうと、気合を入れるために今日は帯をいつもよりもきつく巻いた。
「閻魔大王の裁判は、私と一緒のつもりで、緊張しないように。あと、毎日ちゃんと金魚草にお水をお願いしますね。あと…」
「部屋の手入れに、閻魔大王の面倒、でしょ?何度も聞きました。」
鬼灯は満足そうにうなずく。トランクケースが僅かに左右に揺れているのは、彼が早く出発したくてうずうずしている証拠だ。
「お気になさらず、いってらっしゃいませ。」
彼がこれまでウキウキしているのは初めて見たかもしれない。これから、オーストラリアという日本よりも何倍もの面積を誇る土地にいって、日本にない文化に出会い、その土地にしかない料理を食べ、知らない人たちと一緒に過ごし、今までにない経験をするのだろう。
そう思うと私も不思議とウキウキしてしまい、いつもよりも優しい口調で彼を送り出すこととなった。
「なんだか新婚みたいですね。いってきますのチューはありますか?」
「ありませんから、さっさといってこい。」
そう簡単に彼を送り出すことはできないのだと苦笑いが漏れる。いつも通りの彼の様子にどこかホッとする。安全に帰ってきて欲しい、怪我や病気がないようにとどこかで願う自分がいる。
「お気をつけて。」
今にも出発する彼の背に告げる。
「そうだ。帰ってきたら、噂の許嫁様の話聞かせて頂きますから」
そういって彼は閻魔庁を出て行った。安全を祈ると言ったが前言撤回しよう。途中で飛行機が墜落するか、ひょんなことで記憶がなくなるかしないかな。とにかく、頑張ってこの5日程で彼の尋問をくぐりぬける力を鍛え上げなければ。
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大きなトランクケースに、耳まですっぽりと入る帽子を深々とかぶり、薄いシャツとダボダボのズボンを履いて鬼灯が礼儀正しく頭を下げる。いつもの着物でないだけで、こんなにも雰囲気が変わるのだと思いながら、いつもより少し彼の存在を身近に感じた。
「ゆっくりしてきてください。」
これから5日間は鬼灯がいない中での勤務となる。重要書類は彼でないと処理できないので、それ以外の仕事は私と閻魔の二人で片付けることとなった。きっとこの5日間で彼の存在がどれほど大きいものであるのかを痛感するのであろうと、気合を入れるために今日は帯をいつもよりもきつく巻いた。
「閻魔大王の裁判は、私と一緒のつもりで、緊張しないように。あと、毎日ちゃんと金魚草にお水をお願いしますね。あと…」
「部屋の手入れに、閻魔大王の面倒、でしょ?何度も聞きました。」
鬼灯は満足そうにうなずく。トランクケースが僅かに左右に揺れているのは、彼が早く出発したくてうずうずしている証拠だ。
「お気になさらず、いってらっしゃいませ。」
彼がこれまでウキウキしているのは初めて見たかもしれない。これから、オーストラリアという日本よりも何倍もの面積を誇る土地にいって、日本にない文化に出会い、その土地にしかない料理を食べ、知らない人たちと一緒に過ごし、今までにない経験をするのだろう。
そう思うと私も不思議とウキウキしてしまい、いつもよりも優しい口調で彼を送り出すこととなった。
「なんだか新婚みたいですね。いってきますのチューはありますか?」
「ありませんから、さっさといってこい。」
そう簡単に彼を送り出すことはできないのだと苦笑いが漏れる。いつも通りの彼の様子にどこかホッとする。安全に帰ってきて欲しい、怪我や病気がないようにとどこかで願う自分がいる。
「お気をつけて。」
今にも出発する彼の背に告げる。
「そうだ。帰ってきたら、噂の許嫁様の話聞かせて頂きますから」
そういって彼は閻魔庁を出て行った。安全を祈ると言ったが前言撤回しよう。途中で飛行機が墜落するか、ひょんなことで記憶がなくなるかしないかな。とにかく、頑張ってこの5日程で彼の尋問をくぐりぬける力を鍛え上げなければ。
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