第3話 地獄不思議発見
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「白鷺さん。夕食いきましょうか。」
お互いに仕事に一区切りがついて、ふと時計を見るといつもよりも少し遅めの時間。短針と長針が直角を描いている。
こんな時間になってしまっているのだから当たり前だが、食堂はいつもよりも食事をする獄卒が少ない。
「もう、ピークは過ぎましたからね。」
食事を終え、食堂を出て行く獄卒と挨拶をかわしながら席につく。鬼灯がテレビの前の席に腰を下ろし、私を手招きするので、仕方なく彼の隣に腰を下ろす。二人できたのに、別々に座るなんていう気まずくなるようなことはしないけれど、わざわざ隣に座るよう指示されるのはなんだか気に食わない。にも関わらず、鬼灯はテレビに夢中になっている。私もたまには友達と食事を共にしたいと思うのだが、官吏の仕事と現場の獄卒の仕事だと終わる時間がどうしても合わず、結局すれ違いになってしまうのが現実で、友達が最近一人ずつ仕事の所為で減っているのだか、どうすることもできないのである。なんとも世知辛いものだ。
「あっ、鬼灯君、白鷺ちゃん。お疲れ。相変わらず仲がイイねぇ。」
閻魔大王が、その巨体にはピッタリである巨大シーラカンス丼を手に声をかけてきた。
「お疲れ様です、閻魔様。そして、断じて仲などよくありません。」
「お疲れ様です。そして、断じて白鷺さんの言うことを信じてはいけません。」
私たちの相変わらずの返事に苦笑いを零しながら、閻魔は私たちの向かいに座ると、テレビを覗きこんだ。
「あ、これ現世の番組?」
「そうです。この番組、司会者の存在感が好きです。」
毎週この曜日の、この時間にやって番組を鬼灯は欠かさず観ている。毎週日本又は世界の不思議をクイズ形式で紹介していく番組は、今日はオーストラリア特集をしている。
確かにこの司会者が身近にいたらなんだか刺激的だ。
「………?あ?」
閻魔は首を傾げて何か思い出したように、声を上げる。
「……そういえば、君の仕事部屋に謎の人形があって、なんだろうと思ってたけど…あれクリスタルヒトシ君か!」
「一緒にモンゴルの民族衣装が当たりました。」
何気なく告げる鬼灯。モンゴルの民族衣装なんていつ使うんだと思ったが、鬼灯が身につけている想像をして途中で辞めた。
「そんな物ばかり集めるから部屋が片付かないのですよ?」
「片付かないのも一つの魅力ですよ。」
「ですよ。って言われても困ります。」
ようやくここで私も夕餉に手をつける。
「なんだか、夫婦みたいだね。」
そう言った閻魔にすかさず手元にあった水をかけて。
「ワシここ千年ぐらい仕事以外で海外なんて行ってないしなぁ。」
「私もです」
私は海外など行ったことがない。まだ現世にいた頃は鎖国の時代であり、幕府が貿易を独占し、海外渡航も禁止されていたので、海外に行くなんてもってのほか。今は天国を渡り歩くことはあるが、現世はあまり行ったことはない。昔は出張よりもこちらでの拷問のほうが主であったし、今も出張は専ら鬼灯の仕事だ。
そんな私をよそに彼らは思い思いに自分の脳内で理想の旅行を築き上げる。
「エアーズ・ロックに旗を立てて「チキンライス」って叫びたい。」
そう思いに馳せる閻魔の顔面に金棒が叩き込まれる。
「よしなさい!エアーズ・ロックを旗で突くなんて…地球のお腹が痛くなっちゃっても知りませんよ!」
「貴方、ちょいちょいお母さんみたいですね。」
確かにエアーズ・ロックは地球のおへそと呼ばれているが発想が僅かに幼稚である。
「地球に優しくなさい!」
「君がワシに優しくない!」
机を挟んで取っ組み合いをする二人に巻き込まれないように、ご飯を膝に抱えて食べる。
「でも、オーストラリアは私も行きたいです」
オーストラリアか。話には聞くがどんなところなんだろう、と文献で見ただけの浅い知識で想像する。
自然が綺麗で、広大で、きっと私がみたこともない動物が走り回っているんだろう。
「コアラめっちゃ抱っこしたい」
コアラと言う鬼灯とは似合わない動物が彼の口から出たことに驚いて、思わず飲んでいたお茶を吹き出す。その顔でコアラって。
「君どっちかっていうとタスマニアデビル手懐ける側だろ!?」
「失敬なっ!どちらかといえばワラビーとお話したい側ですよ!」
頭ん中シルバニアファミリーだな。動物の良さを語る鬼灯を見つめて首を傾げる。こんな怖い顔に抱っこされる動物の心情は知れない。
「そういや君、現世に出張した時、よく動物園行ってるよね…。あれ経費で落とすのやめてくれない?」
「実地調査です。」
動物園とは実際どのような場所なのだろうか、と首をかしげる。
「あれ?白鷺さんは動物園に行ったことはありませんか?」
「えぇ。」
「いいですよ、動物園。今度デートがてら、行きましょう。」
「出張がてらなら、同行いたします。」
→
お互いに仕事に一区切りがついて、ふと時計を見るといつもよりも少し遅めの時間。短針と長針が直角を描いている。
こんな時間になってしまっているのだから当たり前だが、食堂はいつもよりも食事をする獄卒が少ない。
「もう、ピークは過ぎましたからね。」
食事を終え、食堂を出て行く獄卒と挨拶をかわしながら席につく。鬼灯がテレビの前の席に腰を下ろし、私を手招きするので、仕方なく彼の隣に腰を下ろす。二人できたのに、別々に座るなんていう気まずくなるようなことはしないけれど、わざわざ隣に座るよう指示されるのはなんだか気に食わない。にも関わらず、鬼灯はテレビに夢中になっている。私もたまには友達と食事を共にしたいと思うのだが、官吏の仕事と現場の獄卒の仕事だと終わる時間がどうしても合わず、結局すれ違いになってしまうのが現実で、友達が最近一人ずつ仕事の所為で減っているのだか、どうすることもできないのである。なんとも世知辛いものだ。
「あっ、鬼灯君、白鷺ちゃん。お疲れ。相変わらず仲がイイねぇ。」
閻魔大王が、その巨体にはピッタリである巨大シーラカンス丼を手に声をかけてきた。
「お疲れ様です、閻魔様。そして、断じて仲などよくありません。」
「お疲れ様です。そして、断じて白鷺さんの言うことを信じてはいけません。」
私たちの相変わらずの返事に苦笑いを零しながら、閻魔は私たちの向かいに座ると、テレビを覗きこんだ。
「あ、これ現世の番組?」
「そうです。この番組、司会者の存在感が好きです。」
毎週この曜日の、この時間にやって番組を鬼灯は欠かさず観ている。毎週日本又は世界の不思議をクイズ形式で紹介していく番組は、今日はオーストラリア特集をしている。
確かにこの司会者が身近にいたらなんだか刺激的だ。
「………?あ?」
閻魔は首を傾げて何か思い出したように、声を上げる。
「……そういえば、君の仕事部屋に謎の人形があって、なんだろうと思ってたけど…あれクリスタルヒトシ君か!」
「一緒にモンゴルの民族衣装が当たりました。」
何気なく告げる鬼灯。モンゴルの民族衣装なんていつ使うんだと思ったが、鬼灯が身につけている想像をして途中で辞めた。
「そんな物ばかり集めるから部屋が片付かないのですよ?」
「片付かないのも一つの魅力ですよ。」
「ですよ。って言われても困ります。」
ようやくここで私も夕餉に手をつける。
「なんだか、夫婦みたいだね。」
そう言った閻魔にすかさず手元にあった水をかけて。
「ワシここ千年ぐらい仕事以外で海外なんて行ってないしなぁ。」
「私もです」
私は海外など行ったことがない。まだ現世にいた頃は鎖国の時代であり、幕府が貿易を独占し、海外渡航も禁止されていたので、海外に行くなんてもってのほか。今は天国を渡り歩くことはあるが、現世はあまり行ったことはない。昔は出張よりもこちらでの拷問のほうが主であったし、今も出張は専ら鬼灯の仕事だ。
そんな私をよそに彼らは思い思いに自分の脳内で理想の旅行を築き上げる。
「エアーズ・ロックに旗を立てて「チキンライス」って叫びたい。」
そう思いに馳せる閻魔の顔面に金棒が叩き込まれる。
「よしなさい!エアーズ・ロックを旗で突くなんて…地球のお腹が痛くなっちゃっても知りませんよ!」
「貴方、ちょいちょいお母さんみたいですね。」
確かにエアーズ・ロックは地球のおへそと呼ばれているが発想が僅かに幼稚である。
「地球に優しくなさい!」
「君がワシに優しくない!」
机を挟んで取っ組み合いをする二人に巻き込まれないように、ご飯を膝に抱えて食べる。
「でも、オーストラリアは私も行きたいです」
オーストラリアか。話には聞くがどんなところなんだろう、と文献で見ただけの浅い知識で想像する。
自然が綺麗で、広大で、きっと私がみたこともない動物が走り回っているんだろう。
「コアラめっちゃ抱っこしたい」
コアラと言う鬼灯とは似合わない動物が彼の口から出たことに驚いて、思わず飲んでいたお茶を吹き出す。その顔でコアラって。
「君どっちかっていうとタスマニアデビル手懐ける側だろ!?」
「失敬なっ!どちらかといえばワラビーとお話したい側ですよ!」
頭ん中シルバニアファミリーだな。動物の良さを語る鬼灯を見つめて首を傾げる。こんな怖い顔に抱っこされる動物の心情は知れない。
「そういや君、現世に出張した時、よく動物園行ってるよね…。あれ経費で落とすのやめてくれない?」
「実地調査です。」
動物園とは実際どのような場所なのだろうか、と首をかしげる。
「あれ?白鷺さんは動物園に行ったことはありませんか?」
「えぇ。」
「いいですよ、動物園。今度デートがてら、行きましょう。」
「出張がてらなら、同行いたします。」
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