第2話 シロ、日々勉強
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「君もしかして新入社員のシロちゃん?」
私たちが返事に困っていると、その隣で不思議そうに閻魔大王を見つめるシロに閻魔が声をかけた。誰もが一目みて愛してしまうその愛らしさに閻魔もはまったようだ。人懐っこい性格もまた乙である。
「あぁ、初対面でしたね。紹介しま…」
「カワイイ~~真っ白だねぇ!おいでおいで!」
鬼灯の声を遮って閻魔はシロとじゃれ始める。
「閻魔大王…きちんと挨拶を…」
「お手!おかわり!」
鬼灯の額に青筋が浮き始める。全く鬼灯の話を聞かない閻魔の行く先がわかって、私は目を両手で覆った。
「じゃあ、少し高度なやつ!イノキのモノマネ……」
ゴッ
案の定、閻魔大王は鬼灯からキツイお仕置きを食らってしまった。
「シロさん、この方が天下の閻魔大王ですよ。」
「よろしく、ワシが閻魔じゃ。そして彼はワシの腹心のはずです。」
「げっ…元気ですかっ…」
「今あんまり…」
部下であるはずの鬼灯に殴られて、部下と上司という言葉を自らの脳の中の辞典で引きながら落胆する閻魔大王がノソノソと起き上がってくる。
「白鷺ちゃん、なんで助けてくれなかったの?」
私に矛先を向けて閻魔大王はブツブツ文句言う。
「え…悪いのは大王じゃないですか。」
「最近、似てきたね、君達…」
今のタイミングで私に罪を着せようとするのは間違っていると言いたいところだが、八つ当たりをしたい気持ちもわからないでもないので、唾と一緒にその先の言葉も飲み込んでおく。
「いいですか。ポンコツでも大王ですからしっかり尽くすのですよ」
鬼灯は相変わらず自分の上司を「ポンコツ」と称して、シロに大王を紹介する。冷酷というよりもただ単に失礼だ、と苦笑いが溢れる。
「はいっ、しっかり尽くします、鬼灯様。よろしくお願いします閻魔さん!」
犬は力関係をあからさまに表現するとは、聞いていたが、彼の中で鬼灯よりも閻魔大王の方が遥かに下で、その間には越えられない壁が存在している。私は隠れてククッと笑いを漏らした。
いつかシロの中の私の地位も教えていただきたいものだ。
「白鷺様ぁぁぁぁ!」
そんな談話を交える私達の元へ獄卒が駆け寄ってきた。この場面を私は以前にも見たことがある気がする。嫌な気がして頭を抱える。
「はい?」
「あのっ、大釜が手が足りなくて困っているんです!手伝ってもらえませんか?って部長が言ってるんです!」
「えぇ?」
私は思わず声をあげてしまった。やっぱり私の嫌な気は確かであった。
あの頭が寂しい部長は、私の方が地位が高くなり、奴の上司になっても扱き使うのか。脳内でお気楽に高笑いする部長が躍り始めた。
「はぁ…わかりました。こっちの仕事も一息着きましたし。」
私が渋々腰を上げると獄卒はお礼を言いながら平謝りをしてくる。そんな嫌そうな顔してたかしら。
「というわけで、鬼灯様、閻魔様。行って参ります。」
「終わったら、直帰しても構いませんよ。」
「住み込みですけどね。」
結局閻魔殿に帰って来なければならない。シロにも挨拶をして、私は駆け足の彼の背を追っていった。
そして、大釜。久々に来たがここの熱気は懐かしく感じる。今でも気がつくとここに向かっているときがあるから、長年の経験や習慣は怖い。
「白鷺さーん。いらっしゃい」
当時の同期がまだそこにいた。
「今は白鷺様か」
「いいよ、堅苦しい」
一笑いするとその同期の後ろから見知らぬ男が顔をのぞかせた。目を輝かせて、会釈するので、私も躊躇いがちに会釈を返した。会ったことあったかしら、と首を傾げるも、現職では関わる人、出会う人が多くどうしても思い出せない。
「ほら、貴方が研修した時にいた子。」
その彼は再度満面の笑みで会釈をする。
「よろしくお願いします。」
その彼と軽く握手を交わした私に同期がヒソヒソと顔を近づけた。
「本当は白鷺さんと一緒に仕事がしたくて入ったんだって。けど、鬼灯様の方が一足早かったの。」
そう言って喉の奥でククッと笑った。確かあの後すぐに人事の仕事を鬼灯の後ろを付け回って手伝ったが、「今年は大釜志望が多い」と鬼灯が漏らしていた。その中から優秀な獄卒から順番に配属したので、その中の一人だろう。
「それで。鬼灯様とは、上手くいってるの?」
「私たちが付き合ってるって言い方ね。」
「えっ!?付き合ってないの?」
「付き合ってませんとも。」
私たちが付き合っているという噂が広まっていると言われて、頭を抱える。だからすれ違いざまに女性獄卒から睨まれることがあったのか。
そんな時、談笑する私の前に一人の男が引きずられてきた。いかにも悪そうな顔をしている。
「体はなまってない?」
「多少は…でも」
同期が何も言わずに相棒を手渡す。このしっくりくる木の棒は私の汗と涙が染み込んでいる。
「手加減はしない」
棒を振りかざす。
「貴方の罪は?」
→
私たちが返事に困っていると、その隣で不思議そうに閻魔大王を見つめるシロに閻魔が声をかけた。誰もが一目みて愛してしまうその愛らしさに閻魔もはまったようだ。人懐っこい性格もまた乙である。
「あぁ、初対面でしたね。紹介しま…」
「カワイイ~~真っ白だねぇ!おいでおいで!」
鬼灯の声を遮って閻魔はシロとじゃれ始める。
「閻魔大王…きちんと挨拶を…」
「お手!おかわり!」
鬼灯の額に青筋が浮き始める。全く鬼灯の話を聞かない閻魔の行く先がわかって、私は目を両手で覆った。
「じゃあ、少し高度なやつ!イノキのモノマネ……」
ゴッ
案の定、閻魔大王は鬼灯からキツイお仕置きを食らってしまった。
「シロさん、この方が天下の閻魔大王ですよ。」
「よろしく、ワシが閻魔じゃ。そして彼はワシの腹心のはずです。」
「げっ…元気ですかっ…」
「今あんまり…」
部下であるはずの鬼灯に殴られて、部下と上司という言葉を自らの脳の中の辞典で引きながら落胆する閻魔大王がノソノソと起き上がってくる。
「白鷺ちゃん、なんで助けてくれなかったの?」
私に矛先を向けて閻魔大王はブツブツ文句言う。
「え…悪いのは大王じゃないですか。」
「最近、似てきたね、君達…」
今のタイミングで私に罪を着せようとするのは間違っていると言いたいところだが、八つ当たりをしたい気持ちもわからないでもないので、唾と一緒にその先の言葉も飲み込んでおく。
「いいですか。ポンコツでも大王ですからしっかり尽くすのですよ」
鬼灯は相変わらず自分の上司を「ポンコツ」と称して、シロに大王を紹介する。冷酷というよりもただ単に失礼だ、と苦笑いが溢れる。
「はいっ、しっかり尽くします、鬼灯様。よろしくお願いします閻魔さん!」
犬は力関係をあからさまに表現するとは、聞いていたが、彼の中で鬼灯よりも閻魔大王の方が遥かに下で、その間には越えられない壁が存在している。私は隠れてククッと笑いを漏らした。
いつかシロの中の私の地位も教えていただきたいものだ。
「白鷺様ぁぁぁぁ!」
そんな談話を交える私達の元へ獄卒が駆け寄ってきた。この場面を私は以前にも見たことがある気がする。嫌な気がして頭を抱える。
「はい?」
「あのっ、大釜が手が足りなくて困っているんです!手伝ってもらえませんか?って部長が言ってるんです!」
「えぇ?」
私は思わず声をあげてしまった。やっぱり私の嫌な気は確かであった。
あの頭が寂しい部長は、私の方が地位が高くなり、奴の上司になっても扱き使うのか。脳内でお気楽に高笑いする部長が躍り始めた。
「はぁ…わかりました。こっちの仕事も一息着きましたし。」
私が渋々腰を上げると獄卒はお礼を言いながら平謝りをしてくる。そんな嫌そうな顔してたかしら。
「というわけで、鬼灯様、閻魔様。行って参ります。」
「終わったら、直帰しても構いませんよ。」
「住み込みですけどね。」
結局閻魔殿に帰って来なければならない。シロにも挨拶をして、私は駆け足の彼の背を追っていった。
そして、大釜。久々に来たがここの熱気は懐かしく感じる。今でも気がつくとここに向かっているときがあるから、長年の経験や習慣は怖い。
「白鷺さーん。いらっしゃい」
当時の同期がまだそこにいた。
「今は白鷺様か」
「いいよ、堅苦しい」
一笑いするとその同期の後ろから見知らぬ男が顔をのぞかせた。目を輝かせて、会釈するので、私も躊躇いがちに会釈を返した。会ったことあったかしら、と首を傾げるも、現職では関わる人、出会う人が多くどうしても思い出せない。
「ほら、貴方が研修した時にいた子。」
その彼は再度満面の笑みで会釈をする。
「よろしくお願いします。」
その彼と軽く握手を交わした私に同期がヒソヒソと顔を近づけた。
「本当は白鷺さんと一緒に仕事がしたくて入ったんだって。けど、鬼灯様の方が一足早かったの。」
そう言って喉の奥でククッと笑った。確かあの後すぐに人事の仕事を鬼灯の後ろを付け回って手伝ったが、「今年は大釜志望が多い」と鬼灯が漏らしていた。その中から優秀な獄卒から順番に配属したので、その中の一人だろう。
「それで。鬼灯様とは、上手くいってるの?」
「私たちが付き合ってるって言い方ね。」
「えっ!?付き合ってないの?」
「付き合ってませんとも。」
私たちが付き合っているという噂が広まっていると言われて、頭を抱える。だからすれ違いざまに女性獄卒から睨まれることがあったのか。
そんな時、談笑する私の前に一人の男が引きずられてきた。いかにも悪そうな顔をしている。
「体はなまってない?」
「多少は…でも」
同期が何も言わずに相棒を手渡す。このしっくりくる木の棒は私の汗と涙が染み込んでいる。
「手加減はしない」
棒を振りかざす。
「貴方の罪は?」
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