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▷ Ver. Braska
「キルヒェ、君がベッドを使ってくれ」
「いえ……そういうわけには」
「君はガードとして前衛で戦っているんだ。体調を崩して、怪我でもされたら旅に差し支える」
「でも……」
「いいね?」
「………」
「キルヒェ、脱いだものはちゃんと畳んでおきなさい。シワになってしまうよ」
「………」
「そろそろ食事の時間だよ、キルヒェ。グアドの郷土料理はどんな味だろう、楽しみだな」
「そう……ですね」
「ところで、君はちゃんと食べているのかい? まだ育ち盛りなのだから、しっかり栄養を摂らないと保たないよ」
「………」
「(お母さんみたい……)」
その夜。キルヒェとブラスカの部屋には穏やかな静寂が満ちていた。正直なところ、彼と一緒の部屋割りが一番平穏に過ごせるだろうとキルヒェは確信していたのだ。
しかし、そろそろ眠りに就くという頃になって、隣の部屋から何やら話し声が聞こえてきた。
『ぐごー……がごー……』
『おいジェクト、そのいびきはどうにかならんのか! 騒々しいぞ!』
『あいてっ! 何すんだよ!』
『しかも勝手にベッドを占領して……譲ると言った覚えはないのだがな』
『オレのがデカいし歳とってんだからいいんだよっ! 若けーんだからソファで寝ろソファで!』
「……夜中に、騒がしいね」
「……そうですね」
「このままでは他の客に迷惑だ。仕方ない、少しお灸を据えてこよう」
その後、隣室でどんなやり取りが行われたかは分からない。だが翌日、屈強なガードの男たちが二回りほど小さくなっているように見えた。
「(ブラスカさんって、自分じゃなくて人のために怒る人なんだな……)」
「(でも、なるべく怒らせないように気を付けよう……)」