Children in Time
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合格発表の翌日。ニカが起床すると、ガーデンネットワークの個人メールに、新着を報せるマークが点滅していた。ゼルからだった。
『ニカ、体調は大丈夫か?
早速だけど、オレは今日から初任務だ。
しばらく会えなくなるけど、昨日言ったこと、忘れねぇから。
必ず報告すっから、期待しててくれよな!』
ただ文章を読んだだけでも、張り切るゼルの姿が目に浮かぶようだ。
「就任したばかりなのに、もう任務か……凄いなぁ」
「ちょっ……ニカ!!?」
端末に向かうニカの後ろで悲鳴があがり、続けてドスン、という鈍い音が響く。
振り返ると、ルームメイトのケリーが床に尻餅をついていた。どうやらベッドから落下したらしい。
しかしさすがはSeeD候補生、寝起きといえど、咄嗟に受け身をとっている。
「わっ……おはようケリー、大丈夫?」
普段は寝相の良いはずのルームメイトを心配し、ニカは身を屈めた。ケリーはガバッと身を起こすと、その腕に縋り付く。
「おはようって……何のんきなこと言ってるの! 試験中に倒れたって聞いて……しかも熱でずっと魘されてるし……ホント、心配したんだから!」
「ごめん……ありがとう。もう、何ともないから」
どうやら、想像以上に心配をかけてしまっていたらしい。
申し訳なく思いながら、寝ぐせの付いた髪を優しく撫でつける。ケリーはまだ眉を釣り上げて怒りをアピールしていたが、少し安心したように身体の力を抜いた。
「あのねケリー、さっそくなんだけど、ちょっと出掛けてくるね」
「なっ……どこ行く気!? まさかもう訓練とか言わないでしょうね!?」
「カドワキ先生のところ。今回のこと、報告も兼ねてお礼にいかないと」
「なぁんだ……うん、それが良いよ。先生も心配してたから」
少々過保護気味ではあるものの、試験のことには特に触れず、普段と同じように話してくれる友人を嬉しく思う。
流石に病み上がりで訓練はないと軽く笑って、ニカは部屋を後にした。
「カドワキ先生、失礼します」
午前の保健室に、まだ生徒の姿はない。
保健医であるカドワキが、椅子に座ったままくるりと振り向く。その奥で、春風を浴びた白いカーテンがふわりと揺れた。
「ニカ! 体調はもう大丈夫なのかい?」
「はい、ありがとうございました。その……色々、すみませんでした」
借りていた備品を返しながら眉を下げるニカに、彼女は微笑んでみせる。
「なに、謝ることはないよ。無事に帰って来てくれたんだ、それだけで充分さ」
病気の生徒の面倒を見るのは私の仕事だしね、と言って肩を揺らすカドワキを見て、ニカはふと甘えてしまいたいような気持ちになる。
デスクのすぐ手前にある椅子に自分も腰を下ろすと、膝に両手を置き、頬がふっくらと上がった優しい顔を見上げた。
「先生。私……試験、だめでした」
「そうかい。でも、よく頑張ったよ。……もう少し、落ち込んでるかと心配してたんだけどね」
「えっ?」
「思ったより、すっきりした顔、してるから。何かあったのかい?」
「ええ……でも、吹っ切れたってわけじゃないんです。これからどうなるのか、どうすればいいのか……全然分からなくて。正直不安です」
何か明確な課題や目標や見えているのかと言えば、そうではない。けれど、とニカは顔を上げる。
「でも、このままじゃダメなんです。今回の試験で、今まで見て見ぬふりをし続けてきたこと、色々気付かされました。自分自身とちゃんと向き合う良い機会だと思うんです。今やらなきゃ……きっと、いつまで経っても変われないと思うから」
カドワキはニカの意思を推し測るかのように黙って聞いていたが、やがて結んでいた口許を緩め、なぜか降参だとばかりに両の手を軽く上げて見せた。
「……本当はね、あんたが来たら『無茶し過ぎだよ!』って、ちょっぴり叱ってやるつもりだったんだ」
「ええっ?」
「ええっ、じゃないよ。あんな状態で戦場に行くなんて正気じゃないって、自分でも分かってるだろ? まったく……」
真っ当な意見に返す言葉もなく、ニカはうっと声を詰まらせる。
「……だけどね、思ったんだよ。無茶できるってことは、ひょっとしたら、素晴らしいことでもあるのかもしれないってね。だって、それだけ必死になれる物があるってことだろ?」
「必死に、なれるもの……」
「今は何をすべきか分からないかもしれない。だけど、どんな状況でも、道は必ずあるはずだよ。一見価値の見出せないようなものの中にも、ヒントが隠れているかもしれない。遠回りしたっていい、やれることは何でもやってみな」
それでまた無茶して倒れたら、手厚く看病してあげるから。そう言って笑う姿を見ているだけで、この保険医の、厚い手のひらに背中を押されたような気持ちになる。
「はい……先生。やれるだけ、やってみます」
生徒たちの母親代わりのような彼女の黒い瞳を見つめ、ニカはしっかりと頷いた。
(……とは言ったものの)
ニカは読んでいた厚手の本を、ばたん、と閉じた。静まり返った部屋にその音は思いのほか大きく響いて、向かいの席でノートにかじりついていた生徒が顔を上げ、気まずくなったニカは小さな会釈を返す。
あれから数日。何かこの状況を変えるきっかけになるものはないかと、毎日のように図書室に通っている。
体調はすっかり回復し、毎朝のジョギングも再開した。友人たちが開いてくれるという「ニカ試験お疲れ&来年みんなで頑張ろうの会」も楽しみだ。けれどどこか心が晴れず、焦りに似た感情がいつも付きまとっている。
手に取ったときは興味をそそられていたはずの本も、思うように頭に入ってこなかった。
本を読むことを諦めたニカの足は、自然と訓練施設へ向かった。
それからゼルに教わった体術の復習も兼ねて、かれこれ一時間近く戦い続けている。銃を使わずとも、下等モンスターならばさほど苦労せずに倒せるようにはなっていた。
そのせいだろうか、ニカの戦いはいつにもなく粗暴なものだった。
戦術も理論もどこかへ捨て置いて、ただ湧き立つ衝動のままにモンスターを蹴散らしていく。
この行いが訓練としての意味を成さないことに、ニカはとっくに気付いていた。
これは───。
(ただの、憂さ晴らしだ)
比較的肉質の柔らかい腹部へ、ひねりを加えた蹴りを放つ。続いて、背筋のバネと遠心力をフルに活用した一撃。バランスを崩してぐらりと傾いだところへ、間髪入れずに拳を叩き込む。骨組織を持たないグラットからは、ぐしゃりとひしゃげた感触だけが伝わってきた。
それを拳で受け止めながら、ニカはふとあの晩のことを思い出していた。
自らの膝の上で両の手を広げ、それを見つめていたゼル。あの時彼は、何を思っていたのだろう。彼はいつも、あたたかな温度を持った手を骨をも砕く凶器に変えて、どんな気持ちで戦うのだろう。
最後の敵を仕留め、一息ついたニカは愛用の銃を取り出す。
恐ろしい武器だ、と思う。コントロールするのにはそれ相応の訓練を要するが、引き金を引くこと自体は子供にでも出来る。弾が当たりさえすれば、命を奪うことはいとも容易い。
例えば、ゼルのようにこの身ひとつで戦えたなら。与える痛みも奪う痛みもダイレクトに感じられたなら、自分を見失わずにいられるのだろうか。
───だったらいっそ、この銃を捨ててしまおうか?
そんな考えが過った瞬間、得も言われぬ恐ろしさが体の底からせり上がってきた。
ニカにとって銃はもはや単なる殺しの道具ではなかった。己を己たらしめるもの、自らの存在意義。ひとたびそれを手放してしまえば、からっぽの、虚ろな存在に成り果ててしまう……そんな気さえした。
そもそも、勉強に行き詰まったからといってこんな場所に来ているのだ。この武器……いや、戦いそのものが、自分とは簡単に切り離せるものではないのだと思い知らされる。
戦いに対する不安と、それでも戦いに身を置かずにはいられないという矛盾。相反する感情の狭間で、ニカは自分自身を持て余していた。
共用のシャワーで汗を流し、訓練施設を後にする。
廊下に出ると、曲がり角からどこか気落ちした様子の女子生徒がとぼとぼと歩いてくるのが見えた。
確か、先輩だったような気がする。なんとなく見覚えのあるその姿をぼんやりと眺めていると、彼女がふと顔を上げた。
「あ!」
目があった瞬間、獲物を見つけたとばかりに猛ダッシュで近付いてくる。なんという瞬発力だろう。危険を察知した時にはもう、両の手をしっかりと握りこまれていた。
「ねえ、キミ! 実行委員とか興味ない!?」
「え、あ、実行委員、ですか……?」
女子生徒の気迫に圧倒され、どぎまぎしながらも、なんとか言葉を紡ぐ。
「うんそう、学園祭の! みんなに声かけてるんだけど、面倒だからってなかなか人集まんなくて~。みんな学園祭やりたくないのかなぁ……ハァ……」
人が集まらないのはあなたのテンションのせいでは、とは口が裂けても言えない。ボヤく彼女を気の毒に思いながらも、断ろうと口を開く。
「あの、私……」
「ね、一度見においでよ! 見学だけでも良いから、ホント! それに乗じて仕事してって、とか言わないからさ~。ね! ね! ね!!!」
ニカの声は全く届かなかったようだ。掴んだ手をぶんぶんと振りながら、一歩、二歩と近付いてくる。笑顔ではあるが、若干目も血走っているようだ。
鬼気迫る表情を間近に受けて、ニカは思わず後退る。断るための言葉は、もうどこかへ飛んでいってしまった。
「実行委員の活動は毎日17時から! って言ってもヒマな時適当に集まってる感じ~。校庭に来てくれれば、誰かしらいると思うから! じゃっ、よろしくー!」
返事がないことを了承と受け取ったのだろうか。先ほどと打って変わって晴れやかな表情を浮かべ、軽くスキップしながら去っていく。
あっという間に遠く小さくなった背中を見つめながら、ニカはカドワキの言葉を思い出していた。
(やれることは何でも……か)
以前の自分だったら面倒に巻き込まれてしまったと頭を抱えている頃だろうが、不思議と煩わしい気持ちにはならなかった。
SeeDを目指すのに必要のない事を除外してきた今までとは違う。こうなったら、とことん巻き込まれてみるのも悪くない、かもしれない。
校庭には、数人だが実行委員らしき生徒が集まっていた。その中で周りに指示を出している男子生徒に声を掛けようと近付く。
「すみませ……」
「キミ、こないだの! 来てくれたんだね! いやぁ~助かるよ。なんせ人手が足りなくて……今、実行委員長も任務で留守だしさぁ」
口を開いた瞬間、ニカの言葉は元気の良すぎる声にかき消された。声のほうに目を向けると、先日廊下で出会った女子生徒が飛ぶようにやってくるのが見えた。
彼女はニカの返答を待つことなく、その腕を掴みぐいぐいと引っ張っていく。
「こっちこっち! 早速で悪いんだけど、手伝って貰えるかな? そこのステージなんだけど……」
仕事してってとは言わない、というのは何だったのだろう。
とにかく人手が増えたことが嬉しかったのか、彼女は説明もそこそこに、軽い足取りで自分の持ち場へと戻っていった。
何か自分にもできそうな仕事はないかと辺りを見回すと、作りかけのステージのすぐ側に、見覚えのある姿を見つけた。
「ニルス、お疲れ様」
「おお、ニカか! 久し振りだな」
「実行委員、やってたんだね」
「ん……まあ、半ば強引にやらされてるみたいなもんだけどな」
苦笑いを向ける様子を見る限り、ニルスもあの先輩に無理矢理引きずられて実行委員になったのかもしれない。
照明用の配線を繋ぐのを手伝うべく、ニカも傍らに腰を下ろす。そういえば、彼と話すのはあの試験以来だった。
「試験の時は、ごめんね。私が無理したせいで、みんなにまで迷惑かけた。本当に……ごめんなさい」
「謝らないでくれよ。俺たちだって、ニカがいなかったら正直危なかった。あんな状態でよくやったよ。体調はもういいのか?」
「ありがとう……もう、すっかり元気だよ」
「そうか、良かった……そういやオットー、ガーデンやめるんだってな。自分には向いてないからって。実家に戻って、家業、継ぐんだってさ」
「オットーが? そっか、寂しくなるね……」
納得のいく反面、勿体ないとも思う。あんなに怯えて、緊張していてもなお、オットーは自分の役割を全うした。隙を見てG.F.を喚び、残った敵を退けたのも彼だ。
それでも、仕方のないことなのだろう。彼の心が、戦うことを許さなかったのだ。
「なあ、ニカはこれからどうするんだ? またSeeD、目指すのか?」
「まだ、ちゃんとした答えは出せてないの。今は正直、戦うことに少し迷いがある。なんとかしたいとは思うんだけど……気持ちだけが焦っちゃって」
「そうか……まあ、軍事とは関係のない仕事に就くのもひとつの選択肢だとは思うけどな。特にニカは女子だし、普通の女の子らしい生き方っていうのも、アリなんじゃないか?」
「うん……」
ニルスからしたら、ごく一般的な考えを言っただけなのだろう。けれど……胸に起こった小さな違和感を上手く説明できずに口ごもる。
「……ねえ、ニルスはどうするの?」
「俺か? まあ……似たような感じだよ」
ニルスは作業の手を止め、手元のケーブルへと視線を落とした。
「今回の試験、正直いけると思ってたんだ。それだけの努力はしてきたつもりだった。だけどあの時、自分の無力さを実感したよ。完全な判断力不足……チームに迷惑かけたのは俺のほうだ。ニカの言葉に、きちんと耳を傾けていれば……」
「仕方ないよ。状況がどう転ぶかなんて、あの時点では誰にも分からなかったんだから」
現に、ニカも自信があったというわけではない。迂回したところで、あれ以上に良い結末が待っていたとも限らない。
ニルスも分かってはいるのだろう。それでも思う所があるのか、曖昧な笑みを浮かべる。
と、彼はおや、というように首を傾げた。視線はニカを通り越し、その背後へと注がれている。
「ん……? なあ、なんだか人が集まってるみたいだけど、何かあったのかな」
振り向くと、ガラス張りの壁の向こう、食堂の一角に、わらわらと人集りのできている場所がある。
皆食い入るように一点を見つめており、遠目にはよく見えないももの、何やら緊張感漂う雰囲気だ。
「本当だ、なんだろう……?」
準備を続ける生徒たちを気にかけながらも、ニカの興味はすっかり食堂へと移っていた。
「ただの野次馬って感じでもなさそうだよな……行ってみるか? ちょっとくらい抜けても大丈夫だろう」
人集りの中心にあるのは、一台のテレビだった。普段は生徒達のにぎやかな声に紛れてぽつんと点いているだけのそれに、今はたくさんの目が注がれている。
普段は忙しなく働いているおばちゃんまでもが、カウンターから身を乗り出し、画面を食い入るように見つめていた。
ニカとニルスも生徒達の後ろに並び、肩と肩との隙間から顔を出す。
テレビに映っていたのは、興奮を抑えきれないといった様子の男性アナウンサーだった。
『……これはオンラインではありません! 電波による放送です! 実に17年ぶりに再開された電波による放送なのです!』
(電波による放送……?)
───電波塔。
すぐさまドールでのことが思い起こされる。軍があんな建物に何の用があったのか、疑問だった。
これが目的だったのだろうか。だとしたら、ガルバディアにとってよほど重要なことを放送するに違いない。むしろ、そうでなければとんだ迷惑だ。
アナウンサーが挨拶を終え、代わりに現れたのは、独裁者として悪名高いガルバディア大統領、デリングの姿だった。
『この電波を受け取っている世界の国民諸君。私、ガルバディア終身大統領ビンザー・デリングはここに提案する。世界中のすべての争いを終わらせる用意が我々にある』
まさかここにきて、声高に和平を宣言するわけでもあるまい。さしずめ、何かガルバディアにとって有利になるような切り札の用意が出来た、といったところだろうか。
『……しかし、遺憾ながら、我々ガルバディアと各国の間には解決を必要とする幾つかのささいな問題があることも事実。 私はこの問題を解決するための対話を各国指導者とするつもりだ。その対話に私の代理として参加する大使を各国指導者および国民諸君に紹介したい』
デリングは勿体つけるように深く息をつくと、明瞭な声で告げた。『彼女は魔女』と。
「魔女って、あの魔女か……?」
誰かが呟く。魔女と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、かつて世界を混乱に陥れたエスタの魔女、アデルだ。ガーデン生の中にも、アデルが引き起こしたとされる戦争による孤児は少なくない。
皆同じことを考えているのか、どの生徒も不安気な面持ちだ。
いよいよ魔女が登場するかと思われた矢先、画面の中に白いコートを着た人物が飛び込んできた。
彼は取り押さえようと群がる兵士たちを次々に蹴散らし、大統領を後ろから羽交い締めにした。その首元にあてがったのは、ガンブレードの白い刃。
「おいおい、あれって……!」
サイファー・アルマシー。バラム・ガーデンで知らない者はないだろう。風紀委員長にして、ガーデン一の問題児。
見知った顔の登場に、テレビに見入っていた生徒たちもいよいよざわつき始める。
『むやみに近付かないで! 彼を刺激するだけなのが分からないの!?』
「トゥリープ様……!」
続けて現れたのは、またしても良く知っている人物だった。今しがたの乱闘で倒れ砂嵐混じりになったテレビカメラに、実物と違わぬ美貌が映し出されている。
ほとんど悲鳴のような声で叫んだのは、おそらく彼女のファンクラブの会員だろう。
『ティンバー班、見てる? ここに来てちょうだい! 許可は得ています! 手を貸して!』
どうやらティンバーには、すでにSeeDが待機しているらしい。
(まさか、ゼル達じゃ……)
果たして新米SeeDが、こんな所に派遣されるだろうか? だが、可能性がないとは言い切れない。なにせ、試験の翌日にはもう任務に就かせるくらいなのだ。
「サイファーが懲罰室を抜け出したらしい」……そんな噂を耳にしたのはいつだった? そして、その後を追うようにキスティスがガーデンを発ったのは。
ニカの胸に、嫌な予感が広がっていく。
魔女を、この目で見たわけではない。けれど大統領の言葉が本当なら……確実に世界は変わる。そうなれば、当然このガーデンも無関係ではいられないだろう。
それどころか、サイファーがガーデンの生徒だと分かれば、ガルバディアが直接攻撃を仕掛けてくるかもしれない。
砂嵐はますます濃くなり、ついに何も映さなくなる。それを眺めながら、ニカは己の拳を強く握りしめた。