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書きなぐったので載せとく
2025/04/08 02:34メローネの過去、スタンドについての過去話をふいに思いついて
あ、書こう…と思ってしまったので、書きなぐりました。載せときます。
夢ではなく、普通の小説です。
捏造でジェラートがおります。
過去が明かされていないので、各々持論があるかと思いますので、
見たい人だけどうぞ~。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お前のスタンド本当凄いよな、色んな意味で。何がどうなったらそんな能力になるんだ。」
いつだったか、ジェラートにそんなことを聞かれた気がする。
Racconti
「別にオレの能力だけが凄いワケじゃあないだろ。」
「それはそうだけどー……人一倍エグいなって。……今更か。」
「ああ、今更だな。」
「何か急に気になって、言ってみた。」
「アンタやソルベの能力だって同じようなモンだろ。プロシュートのだってそうだ…『変わってる』、違うか?」
ホルマジオのリトル・フィートやギアッチョのホワイト・アルバムなんかと違って、
凡そ人生に於ける何かしらの歪んだ経験から目覚めたであろう能力が「あまりにも顕著だ」と、暗に示唆してくるジェラートに
暫し沈黙を押し通した後、メローネはぼんやりとした表情で「あー…」と口を開いた。
「なんてことはない。オレの話なんて、普通の「よくある話」だ。」
「ヘェ……で、それはおれに語ってきかせてくれるの?」
「そうだな……まぁ、君が聞きたいというのなら。」
「じゃあ是非、聞きたい。」
「そうか……あまり面白味のある話ではないぞ?オレたちのような立場の人間なら、聞き慣れた悲劇というやつだ。」
「でも、どうせリゾットとかプロシュートやギアッチョには話してるんだろ?」
「あー…リゾットは知っているな。オレをこのチームに迎えてくれたくらいだし、話したよ。他は……いないな、ジェラートが2人目だ。」
「え、マジで?ギアッチョに話してないのは意外だな……よく組んで任務任されてるからてっきり仲良くてお互いの不幸な過去話もしてるのかと…。」
「聞かれていないからな。オレも聞こうと思ってないし。」
「ふーん…。」
それは、とある日の高校生が昼休みにするような会話のキャッチボールのような風景で…。
アジトのリビングフロアのソファに座って語らう2人。
事務作業用に使っていた「本物」のノートパソコンをパタンと閉じて、それを正面のローテーブルに置くと、
メローネはフーっと深い息を吐いてそのままソファの背もたれの上に頭部を預け、天井を仰いだ。
「弟がさ、いた。」
「え、初耳。」
「もう名前すら憶えてないが。」
「いや、それひどすぎ。」
「だって殆ど呼ばれたことが無かったんだから仕方ない。」
「誰に。」
「両親に。」
「ああ…。」
ジェラートの言う「ああ」には「ああ、そういうことね」という意味が含まれているのだと、言わずもがな分かるものだった。
出だしで話を遮るわけにもいくまいと、ジェラートが問いを噤めば、空気を察したメローネが続きを話し出す。
「能力が顕現したきっかけは弟が死んだからで、その矛先が向いたのが両親ということになるな。」
「いや、結論から言われても…。」
「む…確かにそうだな……そうなると…どこからだ。」
「最初からだろ、普通に考えて。」
「最初……最初か。」
メローネは身体を起こすと、フム…と顎に手を当てて探偵のように物思いに耽る仕草を見せる。
そんな彼を見つめ、彼の昔語りを内心楽しみにしながらも、メローネが話しやすいように
「あまり集中して聞いていないので、気楽に話してね」という雰囲気作りのため、
先程からチビチビと飲んでいたオレンジのベルガモット割に手を伸ばす。
「多分皆、オレの方言で分かってはいると思うが、オレはフィレンツェの生まれでね。母はトスカーナで水商売をしていた女だった。ディ・モールト、ありがちな設定だろ?」
「そだね。」
「だが生まれてから暫くは割とイイ生活ができていたんだ。意外かもしれないが。」
「いや、別に意外ではない。」
「そうか?まぁ、その理由としてはオレの父親がその地域の地主で、母がその愛人だったからだが。」
「成程。」
「だから、小学校にも暫く通わせてもらっていたし、母子2人で結構広めのアパートも借りさせてもらっていた。多分、このディ・モールト短い期間がオレの幸せのピークで、あとは落ちるだけだったな。」
「・・・。」
「2年生に進級する頃、本妻にオレとオレの母の存在がバレたことで、追い出される事になった…。」
「あらら…。」
「愛人との間に隠し子を生ませる時点でクズなんだが、最悪なことにこの父親は婿養子でね。本妻に三行半を叩きつけられて無一文で離婚されることを恐れて、オレの母に責任をなすりつけたわけだ!うーん、ディ・モールト、ドクズだ。」
「わっちゃー……そらドクズだわ…。」
「認知もしなかったのはこういう場合に備えてのことだったんだと、オレは大人になってから知ったのだった…。」
「何でモノローグ風なんだよ、面白いからいいけど。」
真顔で他人の話を小説にして読み聞かせているような雰囲気を醸し出すメローネに同じく真顔でツッコミを入れるジェラート。
一瞬だけ沈黙して、2人してブハッと軽く吹き出す。
「いいから続き、はよ。」
「はいはい、えーと……それでその父親は「俺は何も知らない、勝手にその女が子どもを産んで育てていた」、「自分はこの女に騙された」って母を切り捨てて、あまつさえ本妻からは慰謝料請求。それを止めないクズの父親…。まぁ、払えるワケもなくオレを連れてバックレることになった、と。」
「マジでクズだな…オメーのオヤジ…。」
「あっ、あー…!だがそれは父親①の話だ。これから②が登場するぞ。」
「マル2て…おまえ…。」
首を少し斜めにして、ジェラートの言葉を遮るようにして彼に向けて手を開いて伸ばすメローネ。
ほんとうに淡々と自伝を語る彼に、ジェラートは呆れを通り越して、そのメンタルの強さに感嘆すらしながらも続きを待つ…。
「ここからは正にテンプレ。一人で幼い子どもを育てる貧しい、底辺のシングルマザーの末路が待っていた。相変わらず夜の商売で日銭を稼ぐが暮らしは楽にならず、良い男が現れてもオレがいるから離れてく。」
「あー、マジか、聞きたくないなぁ…。」
「はは、だがまぁ事実言われた事は覚えているもんだからな……「アンタなんか生まなきゃよかった」とか、そういうの。もう要らないと思うくらい、たっぷりといただいていたよ。」
「・・・。」
「だがしかし、得てしてそういう女には「そういう」男が王子様として現れることが多いらしい。」
「おいおい、もうやめ…。」
「まぁ聞けって、ジェラート。ここからが本番なんだから。」
最初は全く乗り気の様子ではなかったハズが、途中から語ることに慣れてきたのか、
自分の話がまるで別の誰かの物語を語って聞かせているように思えて楽しくなってきたのか…。
メローネは若干口角を上げながら言葉を続ける…。
「確か年は母より一回りほど若かったか?二十歳そこらの男で、まぁ、ソイツがオレの2人目の父親になったというワケだ。」
「何て言うか……うん。」
「お察しどうも。まぁ、想像の通りなんじゃあないか?元々男に求められて避妊もしないようなアホ女だ。純粋無垢なお餓鬼様のオレがいる前で男とおっぱじめるなんて日常茶飯事だったし……学習能力なんて皆無なんだろうな、父親②との間にも子どもがデキちまった。それがオレの腹違いの弟になるワケだが…。」
「弟、さっき言ってたな。」
「ああ。だが、二十歳前後のガキが満足に二児の父親業なんてできるワケが無いだろ?当然煩わしくなる。」
「つまり。」
「そう、つまり虐待だ。ここにきてやっとだな。色々されたな……多分この辺りがオレが一番生きるの辛いって思ってた時期かもしれん。あと2つほど年が若ければ間違いなくここで死んでいたって感じだ……ああ、一応言っておくと、オレの母はオレに暴言は吐いたが暴力は加えなかった。まぁ、全くもって弁護はできないし、有難くもないんだが…。」
「だな。」
「まぁ結局、父親②は自由と浪漫を求めて母とオレと弟を捨てて去って行った。」
「イイ風に言うな、どっちもクズじゃねーか。」
「全くもってその通りだな。」
確かに、メローネ本人が先程からしきりに言っているように、
自分たちが与する組織には、こういった生い立ちの子ども時代を過ごした者は少なくないだろう…。
だがしかし、ここで虐待をし続けていた父親が出ていったのであれば、
彼の義弟が暴行で命を奪われることは避けられたのでは?それとも不慮の事故などに見舞われたのか?とジェラートは考える…。
「いや待て、虐待する奴がいなくなったのに、どうして弟が死ぬんだよ。」
「ジェラート、自分本位にしか物事を考えられないクズの女が、子どもの所為で自分は幸せになれないんだって考えた時、どういう行動を取ると思う?」
「え……まさか……子どもを…殺…。」
「まぁ、中らずと雖も遠からず、だな。正解は…。」
「忘れるんだ」と、メローネは言った。
その、あまりにも感情を持たない顔と声に、ジェラートの目が一瞬だけ見開く…。
「毎日「子どもなんていなかった」って、ドアにカギを閉めて出掛けるんだ。時たま思い出した時にだけパンやインスタントの食事が出されるんだが……彼女が自分の自由な時間を得れば得る程、オレと義弟(おとうと)の食事の頻度は減っていく。それでとうとう、弟が動かなくなった時、良くも悪くも……オレは生き残るために使っていた思考を、初めて他の思考のために使う事ができたんだ。」
『何故、オレと弟という子どもは生まれてきたのか』
『何故、母という女はこういう生き方をするのか』
『何故、あの父親という男はオレと母を裏切ったのか』
『何故、あの父親という男は暴力を奮ったのか』
『何故、この幼い弟は死ななければならなかったのか』
「それを知って何になるってワケじゃあなかったが……兎に角「何故」を知りたかった。」
「それで、能力に目覚めたってワケか……じゃあ、初めての母体は…。」
「いや、違うんだな、それが。」
「マジ?」
「ああ、マジだ。」
ここにきて、恐らくそれがこの話一番の「意外」だ、とジェラートは驚く。
想定内の反応だと言って、メローネはふっと笑うと、事の真相を教え始める…。
「あのシニョーラにはとっても申し訳ないことをしたと思ってる、今でもね。」
「おいおいおい…!」
「弟が死んでしまって、その腐敗臭で隣家の人が連絡したらしくてね……アパートを貸してくれていた大家のシニョーラが確認で家に入ってきたんだが…。」
「待て、それは気の毒過ぎる…大家~…!」
「蝿だらけゴミだらけの部屋に、朽ちて蛆の湧いた子どもの死体……悲鳴を上げそうになったところで後ろから骨と皮だけの子どもに声を掛けられる…「シニョーラ、健康状態は良好ですか?」。腰を抜かして尚玄関へと向かおうとする彼女の逃げ場を手足の生えた奇怪なコンピューターが阻み、そして彼女は二度と部屋を出ることはなかった…。」
「情景描写だけでホラーすぎる…。」
だが事実だ、とメローネが言えば、ジェラートは顔色を若干悪くさせながら、問い掛けた。
「だけど、大家が母体になったならターゲットは?ベイビィは誰を……。」
「ベィビィが崩したのが母だよ。」
「!!」
「家に戻って来た母に、弟がああなってしまったこと告げて、ベイビィを紹介したんだ。」
「・・・。」
「その時は確か…「アンタなんか生まれてこなきゃよかったのに!」だったか…まぁ、似たようなお言葉を賜った。」
「ハァ…。」
「そもそもオレは生んでほしいなんて言ってないし、勝手に生んだのは自分じゃあないかって、初めて思ったね。まぁ思うだけで言わなかったが……でも、不意に思ったんだ。オレも弟も「生まれてこなければよかった」と思われていた存在だったなら、じゃあそもそも生む母体が存在しなければその連鎖って止まるな、って。」
正に「閃いた!」というポーズで人差し指をピンと立てるメローネ。
「素行が悪くて、性格が極悪で、酒や煙草や薬に溺れて、自分本位にしか物事を考えられないクズみたいな女がイイ、そういう女性を見つけたら最高に嬉しくなる。オレのベイビィ・フェィスは強い子に育ち、世の中にクズな女からオレのようなクズが生まれるサイクルが断ち切られる。弟のように無意味に殺される子どもも生まれなくなる。最ッ高にサステナブルで社会貢献的じゃあないか。」
しかも今では能力が進化し、追加で世の中の…それこそ自分の父親のようなクズな連中を
ピンポイントで追い詰めて始末することも可能になった、と…。
ぱぁっと明るい表情で持論を語るメローネと、
それを見て全てに合点がいったような表情を浮かべるジェラート…。
ほぼほぼ空になったジュースのグラスを手に持って、その場から立ち上がる。
「成程ね……何か色々メローネのこと分かった気がするわ、おれ。」
「そうかい?オレの話はどうだった?」
「まぁ、確かに楽しくはなかったわな。」
「ははっ、そうだろうな。」
「まぁ何ていうか……メローネはやっぱ、嘘を吐くのが上手いなとは思った。」
「ディ・モールトひどいな……オレの話は嘘じゃあないぜ?」
「別に話したこと全部疑ってるワケじゃねーよ。」
「はて。」
ジェラートの言葉に小首を傾げる。
「弟の名前、本当は覚えてんだろ。」
「・・・。」
「時々はさ……諳んじてやりなよな。」
「…そうだな。」
そう言ってヒラヒラと手を振り、ジェラートはリビングを出て行った。
一人残された空間で、メローネは盛大な溜息をはぁ~~っと吐き出し、ソファにゴロンと横になる…。
「お前は何も知らない無垢で純粋なままその短い生を終えたから……きっと天国に行けたんだろうな。」
オレは手遅れだけれど……と目元に腕を置いて口角を上げた。
そういえばあの子はオレと違って癖毛で、ギアッチョ程じゃあないが、くるっくるの巻き毛だった。
それだけの要素でも、あの子を思えば、
いつも怒り散らしてギャンギャンと煩い同僚も可愛く思えて優しく接する事ができるかもしれないな、と…。
そんなことを考えて、誰にともなく笑うメローネだった。
Racconti
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*
あ、書こう…と思ってしまったので、書きなぐりました。載せときます。
夢ではなく、普通の小説です。
捏造でジェラートがおります。
過去が明かされていないので、各々持論があるかと思いますので、
見たい人だけどうぞ~。
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「お前のスタンド本当凄いよな、色んな意味で。何がどうなったらそんな能力になるんだ。」
いつだったか、ジェラートにそんなことを聞かれた気がする。
Racconti
「別にオレの能力だけが凄いワケじゃあないだろ。」
「それはそうだけどー……人一倍エグいなって。……今更か。」
「ああ、今更だな。」
「何か急に気になって、言ってみた。」
「アンタやソルベの能力だって同じようなモンだろ。プロシュートのだってそうだ…『変わってる』、違うか?」
ホルマジオのリトル・フィートやギアッチョのホワイト・アルバムなんかと違って、
凡そ人生に於ける何かしらの歪んだ経験から目覚めたであろう能力が「あまりにも顕著だ」と、暗に示唆してくるジェラートに
暫し沈黙を押し通した後、メローネはぼんやりとした表情で「あー…」と口を開いた。
「なんてことはない。オレの話なんて、普通の「よくある話」だ。」
「ヘェ……で、それはおれに語ってきかせてくれるの?」
「そうだな……まぁ、君が聞きたいというのなら。」
「じゃあ是非、聞きたい。」
「そうか……あまり面白味のある話ではないぞ?オレたちのような立場の人間なら、聞き慣れた悲劇というやつだ。」
「でも、どうせリゾットとかプロシュートやギアッチョには話してるんだろ?」
「あー…リゾットは知っているな。オレをこのチームに迎えてくれたくらいだし、話したよ。他は……いないな、ジェラートが2人目だ。」
「え、マジで?ギアッチョに話してないのは意外だな……よく組んで任務任されてるからてっきり仲良くてお互いの不幸な過去話もしてるのかと…。」
「聞かれていないからな。オレも聞こうと思ってないし。」
「ふーん…。」
それは、とある日の高校生が昼休みにするような会話のキャッチボールのような風景で…。
アジトのリビングフロアのソファに座って語らう2人。
事務作業用に使っていた「本物」のノートパソコンをパタンと閉じて、それを正面のローテーブルに置くと、
メローネはフーっと深い息を吐いてそのままソファの背もたれの上に頭部を預け、天井を仰いだ。
「弟がさ、いた。」
「え、初耳。」
「もう名前すら憶えてないが。」
「いや、それひどすぎ。」
「だって殆ど呼ばれたことが無かったんだから仕方ない。」
「誰に。」
「両親に。」
「ああ…。」
ジェラートの言う「ああ」には「ああ、そういうことね」という意味が含まれているのだと、言わずもがな分かるものだった。
出だしで話を遮るわけにもいくまいと、ジェラートが問いを噤めば、空気を察したメローネが続きを話し出す。
「能力が顕現したきっかけは弟が死んだからで、その矛先が向いたのが両親ということになるな。」
「いや、結論から言われても…。」
「む…確かにそうだな……そうなると…どこからだ。」
「最初からだろ、普通に考えて。」
「最初……最初か。」
メローネは身体を起こすと、フム…と顎に手を当てて探偵のように物思いに耽る仕草を見せる。
そんな彼を見つめ、彼の昔語りを内心楽しみにしながらも、メローネが話しやすいように
「あまり集中して聞いていないので、気楽に話してね」という雰囲気作りのため、
先程からチビチビと飲んでいたオレンジのベルガモット割に手を伸ばす。
「多分皆、オレの方言で分かってはいると思うが、オレはフィレンツェの生まれでね。母はトスカーナで水商売をしていた女だった。ディ・モールト、ありがちな設定だろ?」
「そだね。」
「だが生まれてから暫くは割とイイ生活ができていたんだ。意外かもしれないが。」
「いや、別に意外ではない。」
「そうか?まぁ、その理由としてはオレの父親がその地域の地主で、母がその愛人だったからだが。」
「成程。」
「だから、小学校にも暫く通わせてもらっていたし、母子2人で結構広めのアパートも借りさせてもらっていた。多分、このディ・モールト短い期間がオレの幸せのピークで、あとは落ちるだけだったな。」
「・・・。」
「2年生に進級する頃、本妻にオレとオレの母の存在がバレたことで、追い出される事になった…。」
「あらら…。」
「愛人との間に隠し子を生ませる時点でクズなんだが、最悪なことにこの父親は婿養子でね。本妻に三行半を叩きつけられて無一文で離婚されることを恐れて、オレの母に責任をなすりつけたわけだ!うーん、ディ・モールト、ドクズだ。」
「わっちゃー……そらドクズだわ…。」
「認知もしなかったのはこういう場合に備えてのことだったんだと、オレは大人になってから知ったのだった…。」
「何でモノローグ風なんだよ、面白いからいいけど。」
真顔で他人の話を小説にして読み聞かせているような雰囲気を醸し出すメローネに同じく真顔でツッコミを入れるジェラート。
一瞬だけ沈黙して、2人してブハッと軽く吹き出す。
「いいから続き、はよ。」
「はいはい、えーと……それでその父親は「俺は何も知らない、勝手にその女が子どもを産んで育てていた」、「自分はこの女に騙された」って母を切り捨てて、あまつさえ本妻からは慰謝料請求。それを止めないクズの父親…。まぁ、払えるワケもなくオレを連れてバックレることになった、と。」
「マジでクズだな…オメーのオヤジ…。」
「あっ、あー…!だがそれは父親①の話だ。これから②が登場するぞ。」
「マル2て…おまえ…。」
首を少し斜めにして、ジェラートの言葉を遮るようにして彼に向けて手を開いて伸ばすメローネ。
ほんとうに淡々と自伝を語る彼に、ジェラートは呆れを通り越して、そのメンタルの強さに感嘆すらしながらも続きを待つ…。
「ここからは正にテンプレ。一人で幼い子どもを育てる貧しい、底辺のシングルマザーの末路が待っていた。相変わらず夜の商売で日銭を稼ぐが暮らしは楽にならず、良い男が現れてもオレがいるから離れてく。」
「あー、マジか、聞きたくないなぁ…。」
「はは、だがまぁ事実言われた事は覚えているもんだからな……「アンタなんか生まなきゃよかった」とか、そういうの。もう要らないと思うくらい、たっぷりといただいていたよ。」
「・・・。」
「だがしかし、得てしてそういう女には「そういう」男が王子様として現れることが多いらしい。」
「おいおい、もうやめ…。」
「まぁ聞けって、ジェラート。ここからが本番なんだから。」
最初は全く乗り気の様子ではなかったハズが、途中から語ることに慣れてきたのか、
自分の話がまるで別の誰かの物語を語って聞かせているように思えて楽しくなってきたのか…。
メローネは若干口角を上げながら言葉を続ける…。
「確か年は母より一回りほど若かったか?二十歳そこらの男で、まぁ、ソイツがオレの2人目の父親になったというワケだ。」
「何て言うか……うん。」
「お察しどうも。まぁ、想像の通りなんじゃあないか?元々男に求められて避妊もしないようなアホ女だ。純粋無垢なお餓鬼様のオレがいる前で男とおっぱじめるなんて日常茶飯事だったし……学習能力なんて皆無なんだろうな、父親②との間にも子どもがデキちまった。それがオレの腹違いの弟になるワケだが…。」
「弟、さっき言ってたな。」
「ああ。だが、二十歳前後のガキが満足に二児の父親業なんてできるワケが無いだろ?当然煩わしくなる。」
「つまり。」
「そう、つまり虐待だ。ここにきてやっとだな。色々されたな……多分この辺りがオレが一番生きるの辛いって思ってた時期かもしれん。あと2つほど年が若ければ間違いなくここで死んでいたって感じだ……ああ、一応言っておくと、オレの母はオレに暴言は吐いたが暴力は加えなかった。まぁ、全くもって弁護はできないし、有難くもないんだが…。」
「だな。」
「まぁ結局、父親②は自由と浪漫を求めて母とオレと弟を捨てて去って行った。」
「イイ風に言うな、どっちもクズじゃねーか。」
「全くもってその通りだな。」
確かに、メローネ本人が先程からしきりに言っているように、
自分たちが与する組織には、こういった生い立ちの子ども時代を過ごした者は少なくないだろう…。
だがしかし、ここで虐待をし続けていた父親が出ていったのであれば、
彼の義弟が暴行で命を奪われることは避けられたのでは?それとも不慮の事故などに見舞われたのか?とジェラートは考える…。
「いや待て、虐待する奴がいなくなったのに、どうして弟が死ぬんだよ。」
「ジェラート、自分本位にしか物事を考えられないクズの女が、子どもの所為で自分は幸せになれないんだって考えた時、どういう行動を取ると思う?」
「え……まさか……子どもを…殺…。」
「まぁ、中らずと雖も遠からず、だな。正解は…。」
「忘れるんだ」と、メローネは言った。
その、あまりにも感情を持たない顔と声に、ジェラートの目が一瞬だけ見開く…。
「毎日「子どもなんていなかった」って、ドアにカギを閉めて出掛けるんだ。時たま思い出した時にだけパンやインスタントの食事が出されるんだが……彼女が自分の自由な時間を得れば得る程、オレと義弟(おとうと)の食事の頻度は減っていく。それでとうとう、弟が動かなくなった時、良くも悪くも……オレは生き残るために使っていた思考を、初めて他の思考のために使う事ができたんだ。」
『何故、オレと弟という子どもは生まれてきたのか』
『何故、母という女はこういう生き方をするのか』
『何故、あの父親という男はオレと母を裏切ったのか』
『何故、あの父親という男は暴力を奮ったのか』
『何故、この幼い弟は死ななければならなかったのか』
「それを知って何になるってワケじゃあなかったが……兎に角「何故」を知りたかった。」
「それで、能力に目覚めたってワケか……じゃあ、初めての母体は…。」
「いや、違うんだな、それが。」
「マジ?」
「ああ、マジだ。」
ここにきて、恐らくそれがこの話一番の「意外」だ、とジェラートは驚く。
想定内の反応だと言って、メローネはふっと笑うと、事の真相を教え始める…。
「あのシニョーラにはとっても申し訳ないことをしたと思ってる、今でもね。」
「おいおいおい…!」
「弟が死んでしまって、その腐敗臭で隣家の人が連絡したらしくてね……アパートを貸してくれていた大家のシニョーラが確認で家に入ってきたんだが…。」
「待て、それは気の毒過ぎる…大家~…!」
「蝿だらけゴミだらけの部屋に、朽ちて蛆の湧いた子どもの死体……悲鳴を上げそうになったところで後ろから骨と皮だけの子どもに声を掛けられる…「シニョーラ、健康状態は良好ですか?」。腰を抜かして尚玄関へと向かおうとする彼女の逃げ場を手足の生えた奇怪なコンピューターが阻み、そして彼女は二度と部屋を出ることはなかった…。」
「情景描写だけでホラーすぎる…。」
だが事実だ、とメローネが言えば、ジェラートは顔色を若干悪くさせながら、問い掛けた。
「だけど、大家が母体になったならターゲットは?ベイビィは誰を……。」
「ベィビィが崩したのが母だよ。」
「!!」
「家に戻って来た母に、弟がああなってしまったこと告げて、ベイビィを紹介したんだ。」
「・・・。」
「その時は確か…「アンタなんか生まれてこなきゃよかったのに!」だったか…まぁ、似たようなお言葉を賜った。」
「ハァ…。」
「そもそもオレは生んでほしいなんて言ってないし、勝手に生んだのは自分じゃあないかって、初めて思ったね。まぁ思うだけで言わなかったが……でも、不意に思ったんだ。オレも弟も「生まれてこなければよかった」と思われていた存在だったなら、じゃあそもそも生む母体が存在しなければその連鎖って止まるな、って。」
正に「閃いた!」というポーズで人差し指をピンと立てるメローネ。
「素行が悪くて、性格が極悪で、酒や煙草や薬に溺れて、自分本位にしか物事を考えられないクズみたいな女がイイ、そういう女性を見つけたら最高に嬉しくなる。オレのベイビィ・フェィスは強い子に育ち、世の中にクズな女からオレのようなクズが生まれるサイクルが断ち切られる。弟のように無意味に殺される子どもも生まれなくなる。最ッ高にサステナブルで社会貢献的じゃあないか。」
しかも今では能力が進化し、追加で世の中の…それこそ自分の父親のようなクズな連中を
ピンポイントで追い詰めて始末することも可能になった、と…。
ぱぁっと明るい表情で持論を語るメローネと、
それを見て全てに合点がいったような表情を浮かべるジェラート…。
ほぼほぼ空になったジュースのグラスを手に持って、その場から立ち上がる。
「成程ね……何か色々メローネのこと分かった気がするわ、おれ。」
「そうかい?オレの話はどうだった?」
「まぁ、確かに楽しくはなかったわな。」
「ははっ、そうだろうな。」
「まぁ何ていうか……メローネはやっぱ、嘘を吐くのが上手いなとは思った。」
「ディ・モールトひどいな……オレの話は嘘じゃあないぜ?」
「別に話したこと全部疑ってるワケじゃねーよ。」
「はて。」
ジェラートの言葉に小首を傾げる。
「弟の名前、本当は覚えてんだろ。」
「・・・。」
「時々はさ……諳んじてやりなよな。」
「…そうだな。」
そう言ってヒラヒラと手を振り、ジェラートはリビングを出て行った。
一人残された空間で、メローネは盛大な溜息をはぁ~~っと吐き出し、ソファにゴロンと横になる…。
「お前は何も知らない無垢で純粋なままその短い生を終えたから……きっと天国に行けたんだろうな。」
オレは手遅れだけれど……と目元に腕を置いて口角を上げた。
そういえばあの子はオレと違って癖毛で、ギアッチョ程じゃあないが、くるっくるの巻き毛だった。
それだけの要素でも、あの子を思えば、
いつも怒り散らしてギャンギャンと煩い同僚も可愛く思えて優しく接する事ができるかもしれないな、と…。
そんなことを考えて、誰にともなく笑うメローネだった。
Racconti
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*