『アカギ』 赤木しげる(青年)
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※27~40代くらいのアカギさんのイメージです。
「……こんな高いビル、初めて来た…。」
イルミネーションを真下に見下ろし、垂直に、夜闇を昇っていくエレベーター。
その透明な造りの箱の中でyouが呟くように言った。
Angel Night
~天使のいる場所~
凍りついたように青暗く見えるビルの谷間を行き交う車のヘッドライト。
それは地上から遥か高い位置から見ると、まるで光の河が流れるよう。
「きれーーい……。」
「気に入ったか?」
「うん、すごく…!」
「そりゃよかった。」
ふっと微笑んでアカギはyouの頭を撫でた。
youは一歩左へ移動し、アカギの胸へぽすっ…と頭を収める。
「ふふ…嬉しい、アカギさんとこんな素敵な場所でご飯デート。」
「……本当に嬉しそうだな…。」
「そりゃぁ……あ!アカギさん!デザートも頼んでいいですか?」
「フフ……好きにしたら?」
「わ!やった!ありがとうございます!」
終始嬉しそうにニヤけっぱなしのyouを見て、
アカギは何か面白いことを思いついたらしい。
少し屈んで、youの耳元に己が唇を当てて囁いた。
「その代わり食後の……オレのデザートはアンタだから、それ、忘れないで。」
「!!」
「オレもデザート、楽しみにしとく。」
「えっと………やっぱデザートいらない。」
「あらら、残念。」
苦笑…とまではいかないが、くつくつと笑いながら
アカギはyouの腹前で自分の両手を繋ぎ、彼女を両腕の中にすっぽりと収めてしまった。
そのまま上を向いたyouの額にアカギの唇が降りてくる。
「アカギさん、あのね。」
「ん?」
「だいすき、ですよ。」
「今更。」
視線を合わせて微笑んだと同時に、到着のベルが鳴って背後のドアが開いた。
アカギはドアが閉まらないように「開」のボタンを押し、先にyouをフロアに出させた。
続けてエレベーターを降りたアカギにyouがおずおずと尋ねてきた。
「でも、本当にいいの…?こんな高級ビルのディナーとか、相当高いんじゃ…。」
「それも今更……ま、金ならある、心配するな。」
「え、でもそれは…。」
「昨日の悪徳政治家との勝負で毟れるだけ毟った……所謂、泡銭ってやつだけどな。」
涼しい顔をしてサラっと悪魔の所業を報告するアカギ。
そんな彼と相反して、youはちょっと、いや、かなり困った顔をして意見をした。
「つまり……何か…ちょっとダーティなお金、なんですね!」
「金に綺麗も汚いもあるモンか。」
ズッパリと言い切られて、ズルズルと店に連行されるyou…。
それから店員に案内され、地上何百メートルという高さの夜景が見える席へと案内された。
早速窓から地上を眺め、感嘆するyou。
「ぎゃー!凄い!落ちたら死ぬよね!!」
「あぁ、死ぬな。」
「でもきれーーーい!」
youの初手の台詞はデート中の反応としては如何なものだろうか…と思うところではあるのだが、
純粋に型に嵌った煌びやかな台詞よりはずっといい…。そこもまたアカギの気に入るところでもあった。
夜景に見惚れている様子のyouを暫くじっと見ていると、
その視線に気付いた彼女が反応し、話しかけてきた。
「ん?アカギさん……私、変な顔してました?」
「いや……あぁ、そうかもな。」
「!!?」
「ここからお金バラ撒いたら凄いかも、とか考えてたからかな?」
などと一人でブツブツと呟くyouを見て、思わず目が点になるアカギ。
「今の表情でそんなこと考えてたのか?」
「うん「でも撒くより拾う方がいいなぁ」とか思ったり……。」
「ハハ…。」
「えぇ!そんなに変な顔だったんだ!?」
「いや、違う……ホント、アンタって……変わってるね。」
「・・・・。」
「そもそもバラ撒くような金も持ってないのによく考えるよね、そんな事。」
「確かに…。」
「夜景が宝石みたいだの最高の眺めだの、普通女ってそんな事しか言わないと思ってた。アンタは面白くていいね。」
「わたし、普通じゃないと?……ううーん、宇宙人的なポジションで少し傷付くというか…。」
「いいじゃない、傍にいたいって想われてるって、素直に受け取っといてよ。」
「まぁ、そういう言い方をされるのは……とっても悪くないですね。」
思いがけないアカギの台詞が嬉しく、ふふ、と照れて俯くyou。
普段そういった愛や恋だのの愛情表現だとかから無縁のアカギが言ったのだ。
更に確信めいた言葉が欲しくて、youはおずおずと尋ねてみた。
「一緒にいて楽しいから……好き…ってことでいい?」
「そういうことになるのかもね。」
「かもってことは……好きではない?」
「・・・。」
「・・・。」
「アンタがオレのことどんな男と思ってるか分かんないけどさ…。」
「?」
「好きでもない女とキスとかそれ以上のこととか…しないんだけど。アンタもそうじゃないの?」
アカギがそう反応すると、youが顔を綻ばせて礼を告げた。
「そっ……そう、です………あの、ありがとうございます。」
「ありがとう?……なにが?」
「アカギさんにちゃんと「好き」、なんて言われたの初めてかも…と思って。」
「そうだっけ…。」
「はい、多分。」
うんうん、と頷くyou。
そんな彼女を見て、「そういえば」と思ったアカギ。
自分に対しての具体的な「好き」を聞いてみたくなり、興味本位だが、尋ねてみることにした。
「アンタは……youはオレの何処がそんなに好きなワケ?」
「アカギさんの好きなトコ?」
「そう。」
「えっと!」
パァっと目を輝かせてアカギを見つめるyou。
すぐに答えが返ってくるとは思わなかったので、アカギは少し驚いたが、そのまま黙して話を聞き入った。
「あのね!最初に……好きになったのはね……声!」
「声…。」
「それから、広い背中……と、真っ直ぐに整えられた指先…。」
「そう……。」
「あとねぇ……時々黙りがちになる癖もミステリアスで素敵!」
「(単に喋らないだけじゃ…。)」
「私の心も心音も何もかも、全部アカギさんのとこにいっちゃうくらい好き!」
「ヘェ……そりゃ凄いな……つまり、オレが大好きなんだ?」
「勿論、大好きですよ!」
「あの……失礼いたします…ご、ご注文は…。」
「!!!!」
盛大に告白したところで、タイミング良く…いや、悪く、後ろから店員が注文を取りに来た……。
恥ずかしさで顔を上げられないyou…。
後ろから店員が来ているのを承知でyouにそう言わせたアカギだけが口元に手を当てて、ククク…と、楽しそうに笑っていた。
とりあえず適当に食べたいものを頼んで、店員には早々にその場を去ってもらった。
そして、俯いていたyouが当然の如く赤い顔で膨れ顔をして顔を上げた。
「あ~か~ぎ~さ~ん?」
「ククク……ごちそうさま。」
「まだ何も食べてないっ!!」
「ハハ、そうきたか。オレをこんなに笑わせられるのもお前くらいだよ、喜んどけ。」
「ッ~~!!目が笑ってないじゃないですか!小馬鹿にしてる!!納得いかない!デザート!デザート2つに増やしますっ!」
「ハイハイ、そりゃ構いませんけどね……その分オレに尽くす回数も増えるってコトだぞ?」
「そんなの納得いかない~~ッツ!!」
オレの隣=天使のいる場所。
死んでも言えないケドな。
(アカギさん……もう食べれない。)
(無理して食うな、残しとけ。)
(うん、あ!デザートきたーー!!)
(……もう食えないんじゃなかったのか?)
(甘いものは別腹というではないですか!!)
(まぁ……王道なオチだな。)
(?)
※『Angel Night~天使のいる場所~』の歌詞に基づいてます。
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