『アカギ』 赤木しげる(青年)
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ねぇ 知ってた?
オレは随分前から
何度もアンタにそう告げてるって
愛していると言ってくれ
「アカギさん、今日の夕飯何にしましょうか…。」
「何でもいい。」
「んー…それ一番困るんですよ。」
「じゃぁ、ふぐさし。」
「スイマセン、河豚捌く免許持ってないです。」
「フフ…冗談だよ……。」
「カレーとかシチューじゃいつものアイディア~って感じだしなぁ…。」
「別にそれでもいいけど。」
「あ、ハンバーグ食べたいかも…。」
「いいんじゃない。」
「おまけに中にチーズとか入れたいかも…!」
「いいんじゃない。」
「よし、じゃあそれに決定で!」
夕飯のメニューに関して談義し、それが決定したところでyouが意気揚々と歩き出す。
彼女はそのテンションでアカギの数歩先を歩き出したのだが、
すぐに立ち止まってアカギが追いつくのを待った。
隣に並んだところで再び歩き出し、アカギに尋ねる…。
「アカギさん。」
「なに?」
「手を繋いでもいいですか?」
「好きにすれば。」
「わ、よかった……で…では…し…失礼します!」
自分から望んでおきながら、照れくさそうにしてアカギの手に自分の手を伸ばす…。
柔らかい感触にアカギがふっとyouを見れば、それは嬉しそうな顔で歩いているので、
思わず自分にもその笑みが移ってしまった。
「フフ…。」
「ん、どうしました?」
「いや…嬉しそうだなと思って。」
「う、嬉しいですよ?うん…とっても。」
「何がそんなに嬉しいんだか…オレなんかと一緒にいて。」
「うーん…恋は盲目と言いますか…。」
「よく言うわな。」
「そうそう…アカギさんがクール&ドライでつまらなくても、それでいいんです、好きだから…。」
「つまらないって……ヘェ…なかなか言うようになったね、youも。」
「あわわ、そ、そうじゃなくて、えーっと…!!」
あたふたと焦りだし、繕う言葉を探すyou。
アカギとしては些細なことなのだが、彼女にしてみれば嫌われたくないので必死なわけで…。
そして何とかアイディアを搾り出す…が。
「言葉の綾?言い間違い?ええと…スイマセンやっぱり上手く言い訳できません。」
「あらら…。」
「でっ、でも!でも私、アカギさんがとっても好きです!大好きですから!」
「そう……ありがとう。」
「!!」
一生懸命に愛情表現するyouが何だかいじらしくて、アカギはふっと微笑んでそう告げた。
それがあまりにも綺麗で嬉しかったyou…。
買い出しのスーパーへの行き道なのだが、民家の一角あたりなので誰も通っていないのがこれ幸い…と、
ワナワナ震えてアカギに飛びつくyou。
「うわあぁっ!あああ、アカギさんっ!」
「あらら。」
胸にぐりぐりと頭を押し付けることで、自分の表現できうる限りの感情をぶつけるyou。
それに対し、何の気無しにアカギは尋ねる。
「アンタ……そんなにオレのこと好きなんだ?」
「そりゃあもう!」
「どんくらい?」
「ヒマラヤ、エベレスト、マッターホルンくらい。」
「…もっと分かり易く。」
壮大なスケールである意味分かりやすく表現してみるも、却下されてyouは「うーん」…と悩む。
それ以上大きな「物体」を探すyouとは裏腹に、
アカギは「言葉」で告げて欲しいと、一つの質問をその場に落とした。
「すきなの?」
「好きです、というか大好き。」
「なんだ、大好きくらいか。」
「ええっ?!だ……大大大好き?」
「足りないんじゃない?もう万倍プッシュ。」
「ま、万倍?!」
そんな無茶苦茶な…と、困り顔で尚も悩むyou。
「えーと…えっと。」
「「愛してる」っては言ってくれないんだ?」
「ぁぃ…し、て…ええぇ!?」
アカギの言葉に驚いて顔を上げれば、男は至って真面目な顔つきで自分を見下ろしている。
自分をからかっているようにも、本心から言っているようにも思えるのが、
この男の困ったところであり、魅力でもある…。
からかわれているなら、軽く「勿論愛してますよ!」とも言えなくもないが、
本心からその言葉を聞きたいと言われているのであれば、
それを心底惚れこんでいるこの男に、この場面でこんな場所で、正面向かって伝えるのが照れくさ過ぎる…。
そんな、脳内葛藤で顔を赤くして固まってしまったyouをアカギは不思議そうな顔で覗き込む。
暫く経った後で、微かに彼女の唇が動いた…。
「む…。」
「む?」
「無理です恥ずかし過ぎて……ッ!!」
「ふーん……そう……それは残念。」
「す、すみません…。」
「オレはよく言ってあげてるのに。」
「うそぉ?!」
サラリとかまされた爆弾発言に、思いっきり動揺するyou。
そんな彼女を余所に、アカギは飄々とした顔で答えた。
「嘘じゃない。」
「言われたことないですよ、そんなのっ!!」
「言ってるって。」
「うそーっ!」
「ホント。」
「いつ?!いつ言ってくれました?」
「分からないのか?」
「うう…重ね重ね申し訳ありません。でも記憶にないです…。」
「ああ、よく記憶飛ばすもんな、アンタ。」
「え。」
アカギの言葉に嫌な予感を覚え、ピタリと質問を止めたyou。
しかしながら、それはもう時既に遅し。
ニヤリと厭らしく笑ったアカギがyouの顎に軽く指を添えてその顔を上に向かせた。
「だから……いつも言ってるだろ?イク時……「愛してる」って。」
「~~~っ?!」
続けて「ああ、記憶飛んでるって事はイった後に言ってるのかも」などと愉悦の表情で追い打ちを掛けるアカギ…。
みるみるうちに赤く染まったyouの顔を満足そうに眺め、悪魔は言葉を続ける…。
「ねぇ、言ってみてよ。おれも聞きたい。」
「な…なにを…。」
「愛してるって。」
「はぁっ?!な、なんで…!」
「ああ、じゃぁ今からセッ…。」
「わぁあっ!!!」
どこぞの原住民のような声を上げて、公道では不適切にも程がある卑猥な言葉を阻止。
アカギはそんな彼女の反応が楽しいのか、くつくつと笑っている。
「ダメです!そんな言葉ここで吐いたら!」
「いいじゃない、誰もいないよ?youが「愛してる」って言ってくれないのが悪いんじゃない。」
「そうきたか…!」
「うん。だから、言ってみてよ。そしたら変な言葉、言わないからさ。」
「ああ、もう!!」
そう叫んで覚悟を決めたのか、すぅーっと一度、大きく深呼吸をして、
youはアカギとの間に隙間を作り、その少し離れた位置から彼を見上げた…。
「あ……アカギさんッ!」
「ん。」
「あ…あ…ぁ…。」
「がんばれ。」
「あい…し…っ…!!」
「ホラ、もう一息。」
「アイシールド21……めっちゃ面白いですよね。」
「なにそれ。」
youの意味不明な言葉に即行でツッコミを入れ、呆れたような溜息を吐く。
流石に「言う」と宣言して言えなかったのは申し訳ないとは思っているのか、
youはしょぼしょぼと俯き「すみません」の一言…。
未だに顔を赤らめて恥ずかしそうに俯く彼女の後頭部に手を伸ばし、
アカギはyouの顔を思いっきり引き寄せ、口付けた。
視界いっぱいに広がるアカギの顔に驚き、目を見開いたところで唇が離される。
そんな、激しく動揺しているyouにアカギは悪戯そうな笑顔で微笑んだ。
「愛してるよ、you。」
「…わ…わたしも……アカギさんのこと、あいしてます…。」
そう言わずにはいられなかった。
ここ道端なのに!
アカギ
(気が変わった。)
you
(え?え?!)
アカギ
(買い物は止めて家に帰る。)
you
(え?でもハンバーグ…。)
アカギ
(今日は我慢してよ。)
you
(別にいいですけど…じゃぁ、お惣菜でも買って帰りますか?)
アカギ
(オレは今すぐ帰りたいの。)
you
(え?!な、なぜ???ご飯は…買い物は…?)
アカギ
(アンタもいい加減ニブいな…。)
you
(ご…ごめんなさい?)
アカギ
(オレは今すぐ帰ってyouが食べたいって言ってるの。)
you
(?!!??!)
words from:yu-a
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