誘惑しないでアカギさん!
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「また好き勝手身体を暴かれたくなかったら、ちゃんと答えて、苗字you。」
そう言って白髪の美青年が就寝前のベッドに上がって目の前で胡坐を掻いた。
誘惑しないでアカギさん!
temptation:03
夜半、これからゆっくり就寝するぞというタイミングで唐突に、文字通り姿を現した謎の白髪の美青年…。
ベッドに座る彼から離れるべく、じりじりと後ずさりするyouだったが、逃げおおせることは叶わず。
恐らくは彼女のそんな気配を察してか、すぐに腕を掴んで近くに座るように…とベッドの端に腰掛けさせた。
「な、な…何を答えろって……ていうか貴方、貴方一体何者なんですか?!」
「オレは夢魔、人間を堕落させるため地上に降り立つ悪魔、インキュバス。」
「嘘でしょ、美心ちゃん大正解とか……いや、ていうかこれ現実じゃないでしょ、やっぱり…。」
「現実じゃなかったらどんなにいいか、今は逆にオレがそう嘆願したい状況なんですけど。」
冗談ではないのかと半信半疑ながらも、昨夜といい今日といい、
不可解な出来事は正に今現実に起こっているので、やっぱり慌てふためく様子のyou…。
その反対に、あからさまに苛ついた様子で大きな溜息を吐くと、目の前の自称夢魔の青年は話の続きを始める…。
「とりあえずアンタに確認を取るためにもオレの話の詳細を語ると、だ…。」
「は、はぁ…。」
悪魔はかく語りき…。
インキュバスは本来、人間を堕落させるために地上に降り立った悪魔…というポジションなのだが、
実のところ、今までの彼は魔界で成績や寿命維持の糧を賭けての博奕に連戦連勝していたため、
動く必要がなく、地上に降り立ったのは今回が初めてだったとのこと…。
「え、じゃあ、何故また…必要が無いのに地上に…?」
「債権者がバックレた。」
「え。」
「同僚で、いつもオレからノルマを取り上げられてた素寒貧野郎が、オレへの借金(正確には金ではないが)を踏み倒して地上に逃げた。」
「・・・つまり、だからそれを追って…債権回収のために地上へ…?」
「そう。そこで初めてアンタに会った。」
また、初めて外界にやって来た際に空腹になり、初めて食事をすることにしたが、
やり方がまったく分からなかったため、近辺で食事をしようと行動を起こしている同業の者の魔力(のようなもの)を探知した結果、
昨夜のyouと、それを食らうべく夢の中に入ってきた同じ白髪の夢魔に行き当たったのだという。
「…で、アイツを真似て夢の中への潜り方を覚えたところで、あとはスマートに横取りをしたってワケだな。」
「それで昨日はあの方と喧嘩を…。」
「アイツ弱すぎて喧嘩にもならなかったけどね。」
「・・・。」
そう言って「腹パン一発だったし…」と、拳を作って自分の右腕を緩く振る青年…基、悪魔。
「ただ、オレの問題と本題はそれから。」
「?」
「今日はその債権者探しがてら、他の女を何人か食ったんだけど……それが酷いくらいマズくて食えたもんじゃなかった。」
「ど、どういう意味ですか???」
「アンタがオレ達の生態を詳しく知ってるか分からないけど……夢魔の活力は基本的に人間を堕落させた時に得ることができる心なんだよね。有体に言えば性行為。その最中に絶望したり快楽を得た感情みたいなモンが糧になるって感じかな。」
「せー……こう…い…。」
「そ。それが、全部……生臭かったり、獣臭かったり、嘔吐物みたいだったり、兎に角全てに於いて胸がムカついて吐きそうな匂いと味がするっていうか…。」
「(うぇっ…。)」
「どんなに美人でもスタイル良くても……味がアレじゃ…勃つモンも勃たねェって…。」
そう吐き捨てるように呟くと、彼は額に手を当てて盛大に項垂れる…。
自分の食事が全て嘔吐しそうなものばかり…というのはキツいものがあるなと思い、思わず同情しそうになったが、
そもそも生きる為とはいえ悪魔だろうが何だろうが、
許可も合意も無く無理矢理身体を奪うというのは犯罪であるワケで…。
youはブンブンと首を横に振って、自分の甘い考えを振り払う…。
「だから何でアンタだけが美味しく食えた理由が分からなくて……確かめるためにもう一度ここに来た。」
「全容が分かった今、絶対貴方に身体は委ねませんからね!!」
「クク……ケチな事を……昨日あんなに愛し合った仲じゃない。」
「本意じゃないです!!夢の中とはいえ、あんな…あんな!!」
「夢の中…?ああ、あの男がいたり、アンタと問答したのは夢の中だけど、食事は実際の身体でヤったんだぜ?」
「今なんて?」
「セックスは実際にシた。」
「?!!?」
目の前の男の言葉に、カタカタと震え、今にも泡でも吹いて倒れそうになるyou…。
そしてハッと、昨日目覚めて下着が大量の体液で濡れていた事実を思い出す。
自分の体液だとばかり思っていたそれは、まさか…よもや…と…。
蒼い顔をして絶句する…。
「食事って…夢の中で性交じゃなくて…?え…実際…。」
「夢は夢だから……現実に於いての性行為じゃないと意味がない……あとは…まぁ、兎に角快楽や絶望の感情が夢魔の生気になるから、前戯やキスとかでも、そういうの感じてればって感じかな…。」
「そん、な…。」
「ま、結果的にあんなに快楽に浸るんだから、夢でも現実でも同じ事……人間なんてそんなモンでしょ。」
「うっ……!」
目の前で薄い笑みを浮かべて嘲るようにそう言い放った男…。
いくら夢の中で甘い睦言をお互いに交わし合ったかを覚えていても、実際に身体を暴かれていたと知り、
もうyouには目の前の男がただの性犯罪者にしか見えなくなる…。
沸き上がってきた吐き気を堪え切れず、彼女はベッドを飛び出してトイレで嘔吐した…。
胃の中のものを全て吐き出した後、次に溢れてきたのは涙…。
トイレットペーパーで口を拭い、また新しくペーパーを巻き取ると、次々と溢れてくる涙を拭う…。
「あーあ…とりあえずキスでもして味を確かめたかったのに、吐かれたら困るじゃない…。」
「っ…!」
駆け込んだトイレまで遣って来た男が、しゃがみ込んで泣くyouを見下ろして言う…。
「て……って…。」
「え?」
「出て行ってください!警察呼びますよ!!」
「オレ人外だから呼んでも意味無いし、まだ、出て行くつもりはないよ。」
「なんっ…?!!」
「言ったでしょ、確かめるために来たんだって……まだ何も分かってないんだから、このまま出て行くなんてことはできないね。」
「それは貴方の都合でしょ!わたしは……わたしはっ…うぅっ……何で、こんな…酷い…。」
「あらら、そんなに泣かないでよ……ね、you?」
「!!」
先程までの温度の低い声色とは打って変わって、昨夜の夢の中での遣り取りのように
甘く、優しげな話し方と声で名前を呼ぶと、男はしゃがみ込むyouを支えるようにして立たせてトイレから出させた…。
そのまま、廊下に出ると彼女と向かい合って、綺麗な笑みを浮かべる…。
「冷たい言い方して悪かったね……それに、何の説明もせずに昨日、身体を奪った事も…。」
「・・・!」
「でも、それが夢魔の生きる術だから、それはどうしようも変えられないんだよね。」
「それは…。」
「本来なら、同じ相手のところに現れることなんてほぼほぼ無いから、こうして色々説明して怖がらせることも無いんだよ……ただ、今回に於いては状況が状況なだけ、協力をお願いしないといけなくてさ…此処に来た。」
「・・・。」
「頼むよ、苗字you…。」
甘ったるい声で名前を呼ばれると、心臓を鷲掴みされたような気分になる…。
この男の言うことを何でも二つ返事で聞き入れてしまいそうになるのだ…。
恐らくは美心やこの男自身が言っていた「真名を把握された」ことによる影響なのかもしれない、とyouは思う…。
ただ、そうならないのはこの男が手加減をしているからなのか、はたまた他に原因があるのか…。
そしてブンブンと首を横に振って、全力で拒否の意を示すと、
一歩…男が身体を近付けて、youを壁際に追い詰める…。
「大丈夫だよ、you……怯えなくていい…。」
「…っ…!!」
「だって昨日……凄く気持ち良かったでしょ?」
「っ、ぁ……ぅっ…!!」
壁に腕を付かれ、壁と男の間に閉じ込められたyou…。
耳元に唇を寄せられ、至近距離で優しく囁かれる…。
同時に厭らしい手つきで太腿を撫でられ、ビクビクと身体を震わせた。
「人間のレイプと違って、ちゃんとyouはオレのこと愛せるし、気持ち良くなれるから…苦しくないし、怖くないよ。」
「ゃ…ゃだ…。」
「ほら、昨日みたいに言ってみてよ「恋人だ」って、「愛してる」って。」
「い、いや…っ!」
「!!!」
男が太腿を触る手を動かし、youの胸元に手を伸ばした瞬間、
バチッ!っと静電気のような何かの反発力が働き、youは全力で拒絶の言葉を吐き出せた。
凄まじい違和感を感じ、怪訝な顔を浮かべると、先程の穏やかな雰囲気は何処へ捨てたのか、
再びあの低く威圧感のある声でもって、youをジロリと睨んだ…。
「何……今の…。」
「??」
「オレ、言ったよね…夢魔は性行為の最中に人間が絶望したり快楽を得た感情みたいなモンが糧になるって…。甘く蕩かして優しくして快楽を感じさせてやろうって思ってたのに……そっちがその気なら無理矢理犯して絶望させてやったっていいんだぜ…?」
「!!!」
「ていうか……それより、真名把握してるのに効きが悪いし、触れないなんてこと、ありえない………アンタ何、持ってる?」
「な、何って…何も…。」
「昨日の今日で身体に聖痕でも刻んできたワケじゃないよな?」
「聖痕……あ、もしかしてこれ…?」
それなら思い当たるものがある…と、youは今日美心と出掛けた際に購入した純銀の十字架のネックレスを胸元から取り出す…。
「っ!!!」
「わ!」
バッと、一瞬のうちにyouとの間に距離を取ると、1メートル程離れた場所から彼女にそれを仕舞うよう文句を言い
放った。
「グロいモン付けてるなオイ……小賢しい真似を……!」
「え、これって効果あるんですか…。」
「あるか無いかで言ったら、正直あるね…。」
「本当に正直!!」
「だけど、その程度の代物であれば1回全力を出せばどうとでもなる……。」
「くっ…!」
「ただ…。」
「た、ただ…?」
「芳醇に力を溜めてればの話…。」
「…と、言いますと…?」
「外界に出てきて満足に食事できてないオレだと、ちとキツイ…。」
「本当にすごく正直…。」
「ということでソレ外してくれない?」
「絶対ぜったい外しません!!!」
「チッ…。」
シャーッ!と、猫が威嚇するように全身で拒絶を示すyou…。
面倒臭いことになったな…と、白髪をガシガシと掻いて彼女に声を掛けようとしたのだが、
それは急に降って湧いた朗々とした声によって遮られた…。
「あーっ、いたいた!AKGSGRさん!!」
「「?!」」
声のする方を向くと、そこにはオールバックで髪を後ろに括って束にした髪型の
スーツを身に纏った長身の青年が「どうも」と片手を挙げて立っていた…。
何か新しい人来たんですけど!!?
words from:yu-a
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