誘惑しないでアカギさん!
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「すごいゆめ、みた…。」
朝起きて邂逅一発の台詞だった
誘惑しないでアカギさん!
temptation:02
昨夜は相当疲弊していたのか、仕事から帰ってきてそのまま…。
食事も風呂も着替えも歯磨きさえもすることなく、真っ先にベッドに倒れたのは記憶している…。
本当は数時間程眠ったら夜中にでも起きて食事やその他諸々就寝へのルーティンを済ませて、
ゆっくり風呂に浸かった後に温かい飲み物でも飲んで、再度しっかり床に就こうと思っていたのだ…。
だがしかし、そんな計画は虚しく…。
結局そのまま寝入ってしまったようで、朝起きれば昨日の服のままで布団で目覚めてしまったわけだ。
しかも、何故か珍しく昨日見た夢はしっかり記憶しており、
それがまたyouの気分を朝から害する要因の1つとなっていた。
はぁ~っと盛大な溜息を吐いて、昨日の夢を思い出す…。
突然自分の前に現れた白髪の美男子…。
自分で言うのも何だが、本来自分にはそこそこに長い期間、恋人などおらず、
それ故にハッキリ言ってそういう行為も欲求も希薄で、しかも得手ではないはずである…。
にもかかわらず、何故か自分と夢の中の彼は恋仲で、お互いに相当深く愛していると認識しており、
昨夜は自分の羞恥心を掻き消す程に無我夢中で何度も求めあって、愛し合った…。
「何なのわたし……そんなに欲求不満だったの…?」
快晴の休日には似つかわしくない気分と溜息が、今一度部屋に蔓延した…。
「まぁでも…夢は夢、絶世の美青年と貴重な体験ができたと考えよう!今日は休みだし…美心ちゃんと買い物の約束してるし、気持ち切り替えて楽しもう!」
ペチペチと自分で自分の両頬を叩いて、ベッドから起き上がった瞬間…。
自分の下腹部にぐちゃりとした何ともぬめりのある違和感を感じて、
思わず「うっ!」という言葉が口を突いて出たyou…。
今はそんなタイミングではないはずだが、もしかすると生理だろうか…と、
慌てて起き上がり、トイレへと駆けこんだのだが…。
「・・・?」
はて…全くそういった現象は起こっていないようで、
不思議そうに首を傾げたのだが…。
「も…もしかして……昨日見た夢の所為…?」
まさかとは思うが、それ以外考えられず…。
youは自分の溢れた愛液が下着を濡らしていたのだと…。
情けないやら、恥ずかしいやらで泣きそうになりつつも、何とかトイレを出て、
一日の初めに風呂に入るという選択肢を取ることにするのだった…。
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風呂から上がった後、着替えて朝食を摂り、きちんと歯磨きをして出掛ける準備を整えたyou。
待ち合わせの時間の5分ほど前に到着し、携帯を弄っていると
待ち合わせ時間ちょうどになって親友の坂崎美心が手を振って駆け寄ってきた。
「youちゃーーん!お・ま・た・せッ!なんだぞ!」
「おはよう、美心ちゃん!」
「早く来てたんだ?待たせてごめんね!」
「わたしもさっき来たとこだし、今時間ピッタリだから全然問題なーし!」
「うふふ、良かったっ!じゃあ早速行こう!美心、見たいお店いっぱいあるんだ!」
「了解!」
明るく、人懐っこい性格の彼女は誰とでも仲良くなれるスキルを持っており、
オマケに料理やお菓子作り、持ち物や洋服などの女子力も人一倍高い。
そんなわけで、youはこの坂崎美心がとても大好きだった。
中でも最たる理由として、彼女はどんな事があっても人を馬鹿にすることが無いのだ…。
なので「信頼」という部分に於いて、今回youは彼女を頼ろうと思った…。
それはお昼を摂って、ウィンドウショッピングにも少し疲れた頃合い…。
少しお茶をしようということで小休憩に入ったカフェで、youは昨夜の出来事を美心に相談することにした…。
「それで…まぁ、結局は夢の話ではあるんだけど…そのイケメンとアハーンな感じになって、それがあまりにも印象的で…、今日朝起きたらもう…ありえないくらい下着濡れてて……本当…何て言うか…最悪…わたしそんなに欲求不満だったのかな……仕事のストレスそんなに溜まってたのかな…ベテランさんいなくなって、新人とわたしだけで…これから仕事大丈夫かな、やってけるかなって…。」
「youちゃん……そんなに苦しんでたの……ごめんね、美心全然気が付かなくて…!」
「はは…自分でも苦しんでるの分かってなかったくらいだから…。」
「あんまり辛いなら、職を辞するのも視野に入れておくんだぞっ!無理は絶対良くない!」
「うん……でももうちょっと頑張ってみるよ…。」
「ちょっとでも苦しかったら、すぐ美心に連絡すること、いいね?」
「ありがとう、美心ちゃん……あーあ、どうせなら美心ちゃんに膝枕してもらったり、撫でてもらうようなほのぼの癒される夢が良かったなぁ…。」
そしたらきっと仕事の疲れなんて吹き飛んだのに…とyouは笑うが、
美心はそんな彼女の希望は置いておいて…と、キラリと目を光らせて尋ねてきた…。
「それはそうと……夢に出てきたイケメンって知り合い?」
「いや全然。白髪の美青年。」
「白髪?!凄い属性持ちだね……youちゃんの性癖かな…。」
「み、美心ちゃん?!」
「最初から「あ、この人恋人だ」って感じだったの?」
「ううん、最初は「誰?」って感じだったんだけど……向こうが「恋人だったでしょ」って言ってきた。」
「へーそうなんだ?」
「そう…口にだして言ってみたら思い出すかもって言われて…実際そう言ってみたら本当に恋人で、愛してたかも…って思えて…。」
「名前は?」
「知らない……というか聞き取れなかった…かな?「あ…ギ…し ーる」みたいな感じだったような…うろ覚え。」
「本当に細かく覚えてるんだね……。」
「そうなんだよ……だから夢とはいえ、現実味があって怖いし気持ち悪くって…。」
「男子で言うところの夢精だもんねぇ…。」
「い、言わないで……本当にそんな感じだったかもなんだよ……尋常じゃなかった…。」
これでもかというくらい情けない顔をして、両手で顔を覆って俯くyou…。
そんな彼女を向かい側から見つめながら、手に持ったミルクティーをコクリと一口流し込むと、
美心は「何かそれって…」と思い出したように呟いた。
「悪魔の話みたいだね。」
「へっ?」
美心の言葉に素っ頓狂な声を上げるyou。
そんな彼女に、美心は「だって…」と言葉を続ける。
「超絶イケメンの姿で夢の中に現れて、甘い言葉を囁いて身体を暴く……まるで西洋の悪魔「インキュバス」みたいだなって。」
「そんなおとぎ話みたいな…。」
「うっふっふ…美心もそう思う……乙女脳で漫画とか小説の読みすぎだからかな。」
「美心ちゃんそういうの好きそう…。」
「めちゃめちゃ好き~。でもどっちかと言うとイケメン俺様系悪魔より、ドジっ子系悪魔が好きかな。」
「は、はぁ…。」
「俺様系がスマートに真名引き出して言葉巧みに獲物を食べちゃうのに対して、何やっても上手くいかなくて、ターゲットに逆に叱られたりしちゃうドジっ子犬系の方がタイプなんだよね~!」
「い、今何て?」
「え?ドジっ子犬系の方がタイプ。」
「そうじゃなくて、俺様系が何するって?!」
「え……ええと…「マートに真名引き出して言葉巧みに獲物を食べちゃう」??」
「嘘でしょ……まさかだよね…そんな…。」
「え、も…もしかして……昨日、夢でそういうことあったの?」
「あ……あった……「貴方の恋人」って言わされたり「愛し合ってた」とか……極めつけに名前呼んで…命令されたら……断れなくて…それで…。」
しかしまさか、いくら何でもそれはファンタジーが過ぎるぞ、と…。
改めて思い返し、youは首をブンブンと振って美心に笑いかける。
「まさかだよね、そんなこと……ごめんね美心ちゃん、こんな荒唐無稽な話しちゃって、反省…。」
「う、うん……まさかね…流石にこの現実社会では美心も半信半疑…で、でもさ……対策するに越したことは無いと思うから…。」
「対策…って…?」
「つ、月並みだけど……銀のロザリオとか?アクセサリーとして身に着けておく分は全然問題ないし……念のため暫く身に着けておいたらどうかな?」
「何かベタな感じするけど……何も無いよりマシかも…。」
「持ってる?」
「いや、持ってない…。」
「今日、買って帰ってみたらどうかな?」
「あ、でも新しいアクセサリー欲しかったし…そうしようかな……十字架モチーフかぁ……たまにはいいかも。」
「何か、思いがけず目的ができたね、後半の買い物はアクセサリーだ!」
「そうだね、そう思うとちょっと元気出る!」
お互いに「そんな非現実的なことはありえない」と笑いながらも、
少しだけ怖いなと思ってしまうのが人間の性というものなのである…。
かくして2人はカフェを後にして、主にアクセサリーを探すため再び街へと繰り出すのであった。
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その夜…。
夕飯後、美心と別れて自宅に戻ったyou。
2連休ということで、明日もゆっくりできそうだ…と、ゆっくり風呂に浸かって一日歩き回った脚をマッサージ。
風呂から上がって歯を磨いたり、肌の手入れをしたりして、自室へと向かう…。
日の終わりに美心と選んだ純銀の十字架のアクセサリーを身に着け、布団を捲った…。
その時…。
「ありえないんだけど!……アンタはあんなに美味かったのに、何で他のはあんなに不味いわけ?!」
「(絶句)」
「ちょっと、呆けてないでちゃんと返事してよ。」
「な…。」
窓なのか、天井なのか、一体どこから現れたのか全く分からないが、
突如として聞こえた耳に覚えのある声に振り向けば、昨夜正にこのベッドの上で組んず解れつ目合った白髪の美青年がいるではないか…。
しかも何故か今度は怒っている様子で、ズンズンと自分の方へと向かってくる…。
「ななななな何で貴方がここに?!!!夢…そうか、これ夢!!まだ寝てない気がしたけど、夢なのね!!」
「今は夢じゃない。ここは現実。」
「な……。」
「あ?」
「何でぇえええええ!!!」
男に正面に立たれ、youはペチペチと軽く頬を叩かれる。
ありえない!!と、いう絶叫が就寝前の狭い部屋に響き渡った…。
そして身の危険を感じる!
words from:yu-a
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