白のお狐しげるさん!
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「ところで、飯はまだ?」
「え、食べるんですか?」
素朴な疑問を返せば、
若干纏う雰囲気が冷たくなったのは気のせい…
ではないだろう…
白のお狐しげるさん!
其の肆
「す、すみま…も、申し訳ございません……霊獣様も世俗の食事とか召し上がるのかな~とか、ね、思ったりしたもので…。」
「別に食べなくても死にはしないけど、食べたい。」
「稲荷系がいいですかね…?」
「は?他のも食わせてよ。」
「あ、はい…。」
稲荷も勿論いいけどさ…と呟く白狐……基、赤木しげる。
食費のことや食べなくてもいいのに?という疑問など、色々思うところはあるが、
命の恩人(現在進行形)に向かって「食費節約のために我慢してくださいよ」など言えるはずもなく…。
「わ…分かりました……確かにそろそろ夕飯時ですしね……何か作ります。あの、食べれないものとか…あるんですか?」
「分からないな……だからとりあえず何でも食ってみたい。」
「ふむ……了解です。」
本日は朝(若干昼に差し掛かるくらい)から神社へ赴き、何やかんやあって彼と共に家に戻ってくることとなり、
色々な問答の末、今に至ったため食材の買い物も行けていないわけで…。
とりあえず今家にある食材で食事を提供することになってしまった…。
その結果…。
「ただのうどんですみません……あんまり食材が無かったもので……。」
「立派じゃん、ありがとう。」
冷凍の麺と卵やネギ、蒲鉾など、とりあえず冷蔵庫で使えそうなものがあったためシンプルに饂飩を出す事にしたyou。
プラスで昨日の残りのおかずを皿によそって提供。
「しげるさんのお口に合いますかどうか…。」
「いただきます。」
日本古来からの霊獣ということもあるのか、いただきますの所作や箸の持ち方はとんでもなく美しい。
勿論、自分の分も用意しているのだが、まずは彼の感想を聞いてからと思い、
youは食事に手を付けずにアカギの反応を待つ…。
見事に麺を啜り、咀嚼して嚥下。
「うまい。」
「え、本当?」
「本当だよ。」
「初めての味ですか?」
「うん。ヒトの味覚ってこんな感じなんだな…。」
「お供え物とかは味しないんですか?」
「ああいうのは気持ちっていうか……供えてくれた気遣いで力を貰ってる感じだから。」
「なるほど…。」
「だから、食事って初めてだけど、美味いよ。ありがとう。」
「それは…うん、しげるさんのお口に合ってよかったです!」
「初手でど〇兵衛とか出されたら流石に暴れようかと思ってた。」
「(っぶねーーーー!!!出さなくてよかったぁあ!!)」
食材が無かったため、一瞬…ほんの一瞬だけ即席麺の提供はどうだろうかと考えが過ったyou…。
何とか最低限の材料は集められそうだったため、饂飩を作るに至ったのだが、そうしてよかったと心から安堵したのであった…。
(しかし何故か即席麺とそのお手軽さを知り得ていたのかは謎であるが…。)
「そういえば、しげるさん。」
「ん?」
「神社、本当に不在にしちゃって大丈夫なんですか……何かこう、霊獣が不在でこの間みたいに悪い人達が集まったりする場所に、どんどんなっていったりするんじゃ…。」
「逆に、暫くはああいうの、立ち寄らないんじゃない?」
「え、なんで?」
「だって、自分が起こした殺人現場だぜ?行けば捕まるリスクがあるから、行かないだろうし、関わってる奴らにも足が付くから行かないように言ってると思うよ。」
「・・・。」
「ああいう奴らだし、ニュースにもなってなくて警察にもバレてないなら、儲けモンとばかりに黙っとくでしょ。」
「しげるさん、何か事件でもかつて起こされたことあります?」
「喧嘩売ってる?」
やたらと世俗(しかも裏事情)に詳しそうな様子のアカギ…。
白狐の姿ではなく、成人男性の姿であるため、より一層そんな雰囲気が醸し出されているのだ…。
結果的にyouはブンブンと首を横に振り、精一杯否定の意を示す…。
「まぁ、しげるさんが大丈夫というんでしたら…いいんですけど…。」
「ちゃんと気にしながら、神社に寄るよ。そん時はyouも付いてきて。」
「勿論です。」
そんな話をしながら夕飯を終え、その日の夜の帳が下りた頃…。
「しげるさん、そろそろお風呂……って入るんですか?」
「うん、入る。何でも試すよ。」
「そうですか……じゃ、入ってきてください。着替えは自分で何とかなるんですよね?」
「入るって、具体的に何してくればいいんだ?」
「そこからかー……。」
「you、一緒に入って教えてよ。」
「いいい嫌ですよ!!!絶対無理ッツ!!」
「何で。」
「何でって……なんでって!!分かるでしょ!!」
「分からないから聞いてんだけど。」
「わ、わたし女だし、しげるさん男だし!」
「それが何?」
「大人だし!」
「はぁ?なら、子どもならいいのか?」
「そういう事じゃなくて……家族でもないし、恋人でもないし…!」
「命の恩人と僕(しもべ)?」
「僕じゃないッ!!」
「あー……でもアンタもうオレに嫁入りしたような立場なんだし、ほぼ家族で恋人じゃん。諦めて一緒入ってよ。」
「雑!重要なポジションなのに扱いが雑過ぎます!!」
「あんまり煩いと着てる服引ん剥くよ。」
「……ご冗談を……。」
「本気だってば。」
目が真剣(と書いてマジと読む)なので、恐らく本気でやりかねない…。
しかし流石に色々と無理がある…そう、無理があるということにハッと気付き、活路を見出すyou。
人差し指をぴっと立て「そっ、そうです!」と叫ぶ。
「大人2人で入るには流石に狭いので!物理的に無理があるので!はい!」
「あくまで逃げようっていうんだ?」
「に…逃げるというか……。」
「大人じゃなければいいんだな?」
「はい?……っゲホッ!!」
唐突な本日二度目の煙幕…。
再び至近距離でその煙を浴び、何度か咳き込んだ後、手でパタパタと煙を払うと次第に視界が開けていき…。
そこに立っていたアカギを見て、youは口を開けたまま立ち尽くす…。
「これなら問題ないってことでしょ。」
「しっ、しっ……しげ…しげるさ、ん…?!」
「そうだよ。」
「??!!」
彼女が驚嘆した理由としては、アカギの姿が先程とは全く違っていたから。
今目の前にいる彼は先程の成人男性の姿ではなく、youよりも少し背の低い少年の姿…。
髪色などは変わらないが、僅かに声も高く目も少しばかり大きくて、どこかに幼子のあどけなさの残るような綺麗な男の子である。
「いいよね、you?」
「や、でもこっ、これはこれでまずいような…。」
「これも嫌がるなら、元の姿で無理矢理一緒に入るよ。」
「わ、わかった分かった!分かりました!入ります!!」
やると言ったらやる男であることは理解済みのため、youは半泣きになりながらも状況を受け入れるしかなかった…。
しかしながら、いざ入ってみれば、シャンプーやボディソープの使い方やシャワーの使い方など、興味津々で尋ねてくる瞳はキラキラして可愛いもので、
説明して実際使ってみた際に、2人で泡を飛ばし合ったりして盛り上がり、意外にも幼く変幻した少年の姿のしげるとの入浴は楽しいものとなった。
そうして先にyouが風呂から上がり、少し後に出てきたしげるにふかふかのバスタオルを渡して身体を拭かせた後、
それを腰に巻くと、最後にドライヤーの用途と使い方を説明がてら、髪を乾かすところまでを完了させていった。
「はい、髪も乾いたね!これで一通り入浴の流れが分かったかと思うんだけど…。」
「うん、分かった。」
「あとはパジャマとか、スウェットとパンツとか……寝間着に着替えたら歯磨きして寝るだけだよ。」
「フフ…。」
「どうしたの、しげるくん?」
「この姿のオレには随分優しいんだね、you。呼び方も言葉遣いも随分ラフじゃない。」
「ハッ!言われてみれば……ご、ごめ、申し訳ございません!」
「いいよ、寧ろそのままがいい……その距離感が今のオレには好ましい。」
「はぁ…?」
「ああ、嫌だな……変わりたくない…。」
「しげるくん?」
「オレ風邪なんて引かないし、このまま裸で寝ちゃだめ?」
「だめです。情操教育上良くない…。」
「(子どもじゃないんだけど、まぁいいか)……仕方ないか…「アレ」が一番精神力力強いから戻るしかないか……分かったよ。」
ちぇっ…と、小さく口を尖らせて拗ねた様子が可愛くて思わずほっこり笑顔になったのも束の間、
煙を上げてアカギが変幻を行ったため、あっという間にyouの眉間に皴が寄り、笑顔が崩れる…。
「げほっ…!」
「・・・。」
「あ、しげるさんだ…。」
「これは……マズイな…。」
シャツにスウェット姿の成人男性の姿に戻ったアカギを見て、今までの彼に戻ったと分かりyouが名前を呼ぶも、
彼はその呼びかけに反応せず、ただじっと自分の手を見つめて何かを思案している様子…。
どうしたのかと、名前が首を傾げていると、アカギが急に「おい」と声を掛けてきた。
「はいっ?!」
「今、オレ……アンタに何かしたか?」
「ちょっと何言ってるか分からないです…。」
「姿を変えてた時だよ、何か変なことしなかったか?」
「変な事…???」
「してないならいい……クソ…こんなところにまで弊害が出るなんて…。」
「どうしたんですか?何かあったんですか?」
「ああ、大ありだ。」
「ええっ?!」
youの驚きに対し、顔に手を当てて参った…と言葉で言わずも伝わるポーズをとるアカギ…。
暫しの沈黙ののち、彼は口を開いた…。
「今、オレは変幻して自分の姿を変えたんだが…。」
「はい。」
「変幻していた時の記憶が無い。」
「はいっ?!!」
「姿を変えていた時のオレが何をしていたのか、誰とどんな話をしていたのか、この姿に戻った際に情報が引き継がれていない。」
「普通は引き継がれるんですか?」
「ああ。それに若干変幻した姿に性格が依ることはあっても、今までちゃんと意識は統括できていた。」
「それは……やっぱり…。」
「十中八九お前に力貸してる所為だろうな。」
「ああああ、やっぱりぃい…。」
霊獣としてのスキルというか…元々可能だったものができなくなったという、
更なる弊害が発覚し、youは申し訳なさで平謝り…。
「とりあえず、どんな様子だったかだけでも教えてもらえるか?」
「えっと……やっぱり今のしげるさんとはちょっと違ったと思います。何となくかもしれませんが、言動や行動もちょっとだけですけど幼い…かな?あんまり顕著ではなかったですが。」
「それだけ?大丈夫?五体無事?貞操は?」
「ちょっと何言ってるか分からないですパート2。」
おいおいおい、幼い時分の貴方様は人の貞操奪ったり、気に入らなかった相手の五体爆散でもさせるんか?!と…。
盛大な声のボリュームでツッコミを入れたかったが、矢張り命の恩人というポジションで、
神の御使いという格はどうあっても超えられるものではなく……結局言葉を飲み込むyou。
「とりあえず何か…泡が新鮮で楽しかったみたいで、2人で遊んだりしてました…。」
「アンタも大概じゃない?」
いい年した大人が風呂場ではしゃぐな…という御尤もな指摘に、youはぐうの音も出せずにしょげるのであった…。
「それ以外は別に……普通な感じで…あ、でも……しげるさんの姿に戻るのはちょっと渋ってました。」
「だろうな……そこは割と毎回だから…まぁ、それが今回、意識統括できないから厄介になるな。」
「でも、話しやすかったな……わたしも気付いたら軽口叩いちゃうし、名前も「しげるくん」なんて呼んじゃってました。」
「アイツが許容してるんなら問題は無いが……あんまり油断はしないで。あの姿のオレは見たまんまガキみたく善悪の判断もガバガバだし、色んな点にブレーキ掛けないで突っ走る事が多い。普段は意識統括できるから、気持ちの抑制とかできるけど、完全に意識分離されたら、それはもうただの個体だから…。」
「変幻しちゃうと、完全にその姿に依った性格になってしまう……ある意味で多重人格みたいな感じですね。」
「極端に言えばな…。」
「でも本当にいい子でしたよ…わたしとしてはずっとしげるくんのままでも……ハッ!!」
「つまり貞操奪われて五体飛散していいってコトか。」
「しげるさんがいいなー!ずっとしげるさんにいてほしいなーッ!!!」
無言の圧力ならぬ、ストレートに言葉の脅しでもってyouに迫るアカギ…。
冷や汗をダラダラと垂らしながら、彼をフォローする言葉を探すが、語彙力が死んだような持ち上げ方しかできず、更に焦ることになるのだった…。
「アンタの命を救ったのはオレなのに…。」
「いやでも、しげるくんも同一なんでしょう?」
「そうだけど違うだろ…。」
「(もしかしなくても拗ねてる…。)」
今まで上から目線で、割と不遜な態度のアカギだったが、
何故かここにきて自分自身に嫉妬するという訳の分からない状況…。
しかし、それが不思議と可愛く思えて、思わずクスっと笑ってしまうyouであった。
「そも、何でオレはダメで「アイツ」ならいいんだ?」
「ダメというわけでは…。」
「でも、あっちの方がいいんだろ?」
「だって……緊張するじゃないですか…。」
「は?」
「しげるくんは見た目も言動も年下に思えるけど……しげるさんは違いますもん…。」
「見た目と言動が…?」
コクンと大きく頷き、ようやくはっきりと「しげるくん」の方が良い理由を伝え始めるyou。
それは別にしげるくんの方が好きで、今のアカギが嫌だからではない、と彼女は言う。
「しげるさん、声素敵だし、背高いし、顔整ってるし、手大きいし、何か距離近いし……神々しいとか、怖いのも勿論あるけど、それ以上にドキドキして緊張します……特に、人間の姿だと…。」
「つまり……?」
「…色んな意味で怖いです。」
「あ、そう、つまり好きになりそうで怖いってワケね。」
「何でそうなるかな!」
「でも強ち間違ってないでしょ。」
「!!」
そう言うとアカギはグイと、youの腕を自分の方へと引き寄せる。
油断していてバランスを崩したyouは、そのままポスっと見事にアカギの腕の中に納まった。
「はわわ…。」
「いいじゃない、好きになっちゃえば?オレは別に構わないよ。」
「?!!」
「だって、オレは既にアンタのこと嫁みたいに思ってるしさ。家族で、恋人。」
「色々と!色々とすっ飛ばしすぎなので!!そういうのは順を追ってじゃないと…っ!」
「そ?まぁ、確かにそれはオレの見解ではあるけど……でも…。」
「う…?」
「順を追ったって、アンタの気持ちの行きつく先は決まってる気がするんだけどね。」
「絶対ぜったいっ、きっ、気のせいですッツ!!」
「クク…まぁ、せいぜい頑張ってよ。」
「!!!」
抱き寄せた身体は至近距離にあるため、アカギはからかうように口角を上げてすぐ、youの額に唇を落とす。
そうしてパッと手と、身体を離すと風呂場からリビングの方へ「クク…」と笑いながら戻っていくのだった。
やっぱり
しげるくんが
いいんですけどー!
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*