白のお狐しげるさん!
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「狭い。」
家にやって来るなり
開口一発文句が飛び出した
白のお狐しげるさん!
其の参
「えっと…じゃあ、神社にご帰還されるということで…。」
「ふざけてるの?帰るワケないでしょ……折角自由を満喫できる機会なのに…。」
「今!今!心の声!口に出てましたよ?!」
「あ、そぉ?」
ビシっと指を差して白狐の発言を指摘するyouだったが、当の本人は全く悪びれず、馬耳東風…。
神社では、自分の力を常に注いでおかないと命が危ないし、傍にいた方が自分への負荷が軽減されるためと言っていたが、
先程のボソリと呟いた言葉を聞いて、この眼前の態度を見る限り、そちらの目的の方が彼にとって重要なのでは…と訝(いぶか)しんでしまう…。
「あの…つかぬ事をお伺いするんですが……貴方様は何をどうするおつもりでここに…。」
「何って……youを生かすためだってば。」
「それは、はい…ありがたくも理解してますけど…。」
しかし一応は、自分を生かすことに重きを於いてくれているのが分かって少し安堵してしまうyouであった。
「だって、わたしには見えてますけど、皆には見えないんですよね??そしたら、外に出てもって感じですし……それこそこんな狭い家に来て……家にずっといるおつもりなんですか?」
「何だ、そんなこと気にしてたの?」
「そんなことって…。」
「オレを誰だと思ってるんだ……凡夫にごっそり力持ってかれても、このくらいは容易いんだぜ?」
「凡夫って……っ?!ごほっ?!!」
突如、ボフン!と白狐の周囲に煙が上がり、至近距離にいたyouはそれを吸い込んで、咄嗟に目を瞑って盛大に咽る。
暫くして視界がクリアになった頃、最後に一度だけゴホッと咳払いし、瞑っていた目を開いたのだが…。
そこに立っていたのは今までのケモ耳を携えた特殊な袴姿の白狐ではなく…。
ふさふさした耳も、尻尾もない、シャツにスラックスという…凡そ一般的な成人男性の姿の彼であった。
「び…白狐さ……まー?」
「どう、完璧に人間でしょ。そう見えるよう変幻してるから、you以外にも見えるし、会話もできる……はず、一度もやったことないけど。」
「でも髪は白いんですね。」
「それも変えれるけど……面倒だったから………黒くした方がいいと思うか?」
「面倒なら、しなくていいのでは?少し目立ちますが、昔ならいざ知らず、今は色んな髪色の方いますから。」
「そ?じゃあこのままにしておく。」
「・・・。」
「なに?」
「いや…………かっこいいですね、って。思って。」
「…ふーん……youは人間の姿のオレの方が好みなんだ?」
「そ、そういうワケでは……霊獣の姿も神秘的で素敵でしたよ……イケメンなのにふわふわの耳と尻尾というたまらんギャップの殺傷能力もありましたし…。」
「耳と尻尾に殺傷能力は備わってないんだけど。」
「いいんです…どうか分からないままでいてください…。」
「?」
しかし、人間の姿になる前に一度触らせていただきたかった……恐れ多くて言えないけど……などと、一人心の中で呟くyouなのであった…。
何故か目の前で一人目を閉じて深い後悔のような溜息を吐く彼女の姿に多少の疑問は湧いたものの、
どうせ尋ねるまでもない内容を頭で考え、昇華しているのだろうと考え、彼は黙して見つめるだけに留めることにした。
そんなこんなで、彼が自由を満喫できる環境を作り出せることが判明したのだが、
それには今一つ足りないものがある、と白狐は口を開く。
「後は……名前が必要だな。」
「名前…?」
「白狐って名前は相称みたいなモンだし、個体名なんてもってないからさ……それに「白狐」なんて…イヤだろ、流石に…。」
「まぁ……個人名ではないとのことですしね…。」
「別に何だっていいんだが……さて…。」
ふと、彼が視線を下に下ろすと、テーブルの上に置かれた広告や雑誌が視界に入る…。
「赤木・・・。」
「え?」
「・・・しげる。」
「?」
「アカギ……赤木しげるでいい。」
「で、いいって……え、もしかしてこれですか?」
突然自分の名前は「赤木しげる」と告げた白狐。
何故の理由を探して彼の視線を辿れば、youもテーブルの上のチラシや雑誌に載っている様々な名前に気が付いた。
彼はその中の名前を拝借して、己が名前にするという…。
「そ、そんな感じで決めちゃっていいんですか?!」
「いいじゃない、そんな感じで。結構気に入ったんだけど、赤木しげる。この赤木圭一郎って俳優、カッコいいしさ。しげるも、収まりが良くない?」
「しげる、しげる……あ、これか……萩原しげる……ハニーフェイスなのに麻雀強いんですよね、この人……結構好き。」
「そういうことだから、オレの事は今日から「赤木しげる」でよろしく。」
「赤木様……そ、それともしげる様ですかね…?」
「普段人間が生活するのにそんな呼び方しないだろ……そんな呼ばせ方させてるって周りに思われたら後々面倒だからやめて。」
「そ、それはそうなんですけど……よろしいんですか?」
「いいよ、別に。他の奴はどうか知らないけど、オレはそんなに畏怖や敬意とか気にしない質なんでね。そんなの気にしてたら昨日の奴らなんてとっくの昔に呪ってるか力使って出禁にしてる。」
「そ、そうですか……。」
気にしないとはいえ、気にしないながらもやろうと思えばこんなことができるよ…という解説も併せてついてきたため、
素直に「じゃあ遠慮なく!赤木(もしくはしげる)、これからよろしく!」などと言えなくなるyouであった…。
(元より呼び捨てにするつもりもないのだが…。)
「じゃ、じゃあ……アカギ…さん…かな……しげるさん…?」
「youは……しげるさん、でいこうか。」
「しげるさん。」
「なに?」
「な、何でもないですよ!」
「フフ……いいね、名前……何だかくすぐったい気もするけど、気に入ったよ。」
「よ、よかったですね…?」
「うん。これからよろしく、you。」
「え、と……はい、よろしくお願いします…。」
「ほら、早速足りない。」
「うう、よろしくお願いします……しげるさん…。」
差し出された手を恥ずかしそうに握れば、至極愉快そうな表情でぎゅっと強めに握り返される。
今となってはもう遅いのだが、彼の手を取って、今しがた決まった真名を呼んでしまったことで、
初めて、自分があらゆる方面で彼という存在から逃げることができなくなったのを否が応でも悟ってしまうyouなのだった…。
愛すべき名となる
その瞬間に立ち会っただけの日
words from:yu-a
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