白のお狐しげるさん!
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「しげるさん、今日ご飯は?」
「いる。」
「これからどこか出掛けますか?」
「いかない。」
「……分かりました。」
どうもおかしい…。
人知れずそう思うyouだった。
白のお狐しげるさん!
其の拾伍
先日、アカギの言葉に心を動かされ、ようやく自分の気持に向き合ったyou。
その翌日から、どうにもアカギの様子がおかしい…。
こちらの生活に慣れてからというもの、ほぼほぼ毎日と言ってもいいくらい
youの仕事が終わった後、夜の繁華街に出掛けて行けば、やれ麻雀だの、ポーカーだの、
ギャンブルをメインに取り扱う場所へ赴いてはバカ勝ちして深夜に帰宅する…。
そんなことを繰り返して過ごしていたアカギ…。
それがパタリ…と、途絶えたのである。
十中八九、お互いの気持を確認し合った日がきっかけではあるのだが、
その結果何故か日ごろのルーティンを逸脱するという…。
理由を聞いていいものか、アカギの方からは何も言わないし、
特になにも言わず、変わった行動があるわけでもないため、それも逆に不気味なのである…。
リビングのテーブルで向かい合って食事をする際、理由を尋ねてみようかとも思ったが、なかなか言い出せず…。
食後、お茶を飲みながらTVや携帯を見たりする時も、言い出せず…。
その後の歯磨き!風呂!リラックスタイム!……でも言い出せず…。
結局そのまま、就寝の時間となってしまった…。
「(結局聞けず…)」
「明日休みだよね、you?」
「・・・。」
「you?」
「え?あ、はいはい何でしょう?」
「いや、明日休みだよね?って。」
「あ、そうです!ゆっくり起床でいい~やったー。」
「・・・。」
自分の思考に耽っていたところを引き戻され、半端に嬉しそうな反応をする彼女の違和感に気付かないアカギではなく…。
「どうしたの、何か気になる事でもあるの?」
「えっ?!いや………別に…。」
「・・・。」
「・・・。」
ベッドの上でじっと顔を見合わせたまま、沈黙する2人…。
堪えきれなくなったyouは、とうとう「すみません」と切り出した。
「気になる事、あります……あるんです。」
「なに?」
「さ、最近どうして出掛けないんですか?夜……外に…。」
「家にいちゃダメなの?」
「いや、ダメじゃないですよ全然……でも、急にぱったり行かなくなったから、何かあったのかと…。」
「何か…。」
「本当は外に出掛けたいのに、行けないとか……あるのかなって。」
「・・・。」
「む、無理して行かないようにしてるんじゃないかって心配で…。」
「無理はしてないけど……行かないようにしてる…は正解かもな。」
「どうして?」
「どうして…?……分からないのか?」
アカギが出掛けない理由を欠片も分かっていなさそうな反応をするyouに、
彼は呆れたような表情で尋ね返し、やれやれといった様子で話し始める。
「youがいつ応えてくれるかなって思ってさ。」
「え…。」
「今日かもしれないし、明日かもしれない……その日がいつ来るかなって。」
「・・・。」
「何か、そんなこと考えてたら出掛けらんなくなっちまった。」
「そ…。」
「ま、別に出掛けなきゃ出掛けないでもいいんだけど……。」
「退屈なんじゃ…ないですか?」
「何で?youと一緒にいれるんだし、退屈なんてしない…。」
「そ、そうですか…。」
要するに「キス以上の関係を受け入れてくれる日を心待ちにしているんですけど?」と、
とりあえず、それが出掛けない理由であると語ったアカギ。
しかし…。
その理由を聞き、彼女が思ったことはというと…。
「あのっ…!」
「?」
「もし……もしもの話ですけど…もしもですよ?」
「何?」
少し言い淀むように、ぐっと言葉を詰まらせたのち、
少し頬を赤らめながらも恐る恐るアカギを見上げてyouは問う…。
「もし……このまま毎日過ごしたら……しげるさん、出掛けないでずっと家にいてくれる…のかな…とか、思ってしまったり…。」
「……!」
「っ……もしもの話なんて意味ないですよね!気にしないでください!はい、はい!寝ましょう!」
「…ああ、もう……!」
「?」
youの放った「もしも」の話に、頭を抱えながら布団に顔を埋めるアカギ。
彼のよく分からない反応に、先程まで焦っていた気持ちが吹き飛んだのか、
不思議そうな顔を浮かべてyouはアカギの旋毛をじっと見つめる…。
時間にして約1分程だろうか……。
もぞ…と、再び布団から顔を上げてアカギが横眼でジロリとyouを睨むので、youはビクッと肩を揺らした。
「youはオレを殺す気?」
「いや殺意など微塵も!?」
「ただでさえ欲求不満で性欲爆発しそうなのに、なんで急にそんな事言うのアンタ……もしかしてオレに襲われたいの。」
「?!」
「ずっとお預けしろって、死ねって言ってるモンだし、出掛けないでって嫉妬するの可愛いし、オレに傍にいてほしいって言ってくれるのは嬉しいし…。」
「あ…。」
確かに、後者2つの嫉妬と懇願だけを彼女としては伝えたつもりだったのだが、
アカギとしてはずっと前者を待っていたのに、その部分は継続してくださいと伝えたのだと、言われて気付いたyou。
「ごめんなさい……深く考えてなかった……。」
「そろそろ無理矢理襲われても仕方がないって覚悟くらいしといてよね……。」
「うう…。」
「オレも……そうしたくないから、待ってるってこと……分かるよな?」
「しげるさん…。」
「分かるよな?」
「は……はい…。」
ここまできたら、もう自棄というより、彼女に自覚を持ってほしいが故、この時のアカギの圧は凄まじかった。
「もうちょっとだけ待つ。」
「しげるさん……ありがとうございます。」
「早くしないと……また夜な夜な出掛けちまうぞ?」
「そ、それは…!」
「安岡さんとか…たまにオレのことキャバに連れてこうとするんだから…。」
「うう……。」
「いいの?付き合いで行っちまうよ、オレ。」
「う……ダメ…。」
「気持ちも態度も素直なんだから……後は身体に素直になるだけだ……そんなに難しくないと思うんだけど?」
「難しいの!もう…。」
「じゃあ練習しよう……今日はyouからキスしてよ。」
「!!」
「ん。」
トン…と人差し指で自分の唇を軽く叩き、ぱたりと目を閉じて恋人(彼いわく嫁)からのキス待ち顔を向けるアカギ…。
本人に見られていないとはいえ、目の前の綺麗な顔に戸惑い、顔を真っ赤に染めるyouだったが、
とうとう観念したのか、おそるおそる彼の両肩に手を掛け、そっと口付けた…。
が、しかし…。
軽くキスするつもりが、唇が触れた瞬間、アカギに身体を押し倒されてしまう。
その際に驚いて口を開いてしまい、その後は御察しの通り…というやつだ…。
「ふぁ…っ!」
「は・・・。」
ようやく顔が離されたものの、再び顔を近付けてくるアカギ。
youはぐったりしながらも、ちゃんとした意識がまだあるうちに、全力で制止の対応を取る…。
「ストッ……!何でし、舌までっ…?!」
「だって、普通のじゃ身体が反応しないだろ?」
「かっ、からだって…っ!」
「そんなに動揺してたら、明日から持たないよ?」
「あ、明日から!!?」
「毎日。」
「ま、毎日…?」
「練習。」
「キスの…ですか?」
「違う、その先のことするための特訓。」
「その先……その先…ですか…。」
「何、具体的に言ってほしいの?」
「いいです、言わなくていいです!」
「セックスしたいの、オレはyouと。」
「言わなくていいってば!」
「ふーん……いや、そういう反応なら、これも修行の一環ってヤツなんじゃない?」
「なぜ…なぜ!」
「youがオレのこと受け入れてくれるまで、キスするし、エッチしたいって言う。」
「っ……凄く悪質ですよ!」
「じゃあ、you置いて安岡さんと夜の店…。」
「あーもう!酷い!無限ループずるい!!」
「練習してよ。」
「すればいいんでしょ、すれば!!」
「ん、良い子。」
ようやく享受……否、言質が取れたことに対し、
大変嬉しそうにyouの額に軽いキスを落とすアカギ…。
そういう可愛いスキンシップは望むところなのになぁ…と、
それでも顔を赤くしながら溜め息を吐くyouなのであった…。
大人の付き合いっていうか
夫婦なんだから
受け入れてよ!
words from:yu-a
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