白のお狐しげるさん!
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「お、五体無事で帰宅したのか。」
それは仕事からの帰宅後
元の姿に戻ったアカギの開口一発
白のお狐しげるさん!
其の捌
「戻って早々不穏な台詞吐くのやめてください。」
「だって本気でそう思ったからさ。」
「しげるくんは本当に良い子ですよ?彼よりしげるさんの方が酷いと思います…。」
「はぁ?なんで。」
少しだけ頬を膨らませて正面からアカギをジト目で睨むyou。
アカギもアカギで、彼女の言葉に納得がいかないようで、受けて立つとばかりに真顔で彼女を見下ろす。
「だって、雨が降ってからしげるくんに変幻したんですよね?しかも雀荘なんかの前で!見た目が明らか未成年なのに、TPOがなってないっていうか!酷いですよ…!」
「あー……うん、それはうん……ちょっと理由があって…。」
「あ、歯切れ悪い…。」
「別に雀荘じゃなくたって良かったけど、手頃にイレギュラーな場所が無かったから。」
「よく分からないですけど、イレギュラーな場所は手頃に無いと思います…。」
「そうなんだよ。だから雀荘しかなかった。」
「??」
「世話になってるアンタに、金銭的に負荷掛けるワケにはいかなかったからさ…。」
「な、何の話ですか…?」
全く的を得ないアカギとの問答を繰り返し、いよいよワケが分からない…と頭に疑問符がいくつも浮かんだyou。
彼はそんな彼女を見て、クク…と微かに笑うと、徐に懐から若干の厚みのある封筒を取り出して手渡した。
「な、なんですかこれ…。」
「しげるくんが稼いでくれたお金だよ。」
「はっ?!!」
「確認してないから、どのくらいあるのか分かんないけど。」
「そ、それってさっきしげるくんが言ってた「お小遣い」…?」
「ああ、そういう風に説明したんだ?」
「し、しげるさん意識の共有はできないって…。」
「ああ、できてないよ。だけど、ガキでもジジイでもオレはオレ。切り替わっても大体の状況とそれからの目的は察しが付くはず。」
「っ…つまり、しげるさんは…しげるくんの姿で雀荘でお金を稼がせた…?」
「今のオレの姿じゃ大人に警戒されちまうだろ?第一麻雀なんて打てないのに土砂降りで雀荘行くなんて狂気の沙汰じゃん。その点ガキの姿なら持て成されて、うまく立ち回れば麻雀も覚えて、更に幸運が重なれば金も手に入るって算段だ。」
「!!」
そんなに上手いこと事が運ぶものか?!と思うものの、この男(というか霊獣)に於いては別格である…。
それは変幻で姿を変えても変わらないのだろう…。
現金を手にしていると判明した瞬間、少年の姿の自分の立ち回り方は大人のアカギの中でパーフェクトだったと認定され、今の説明を行うに至ったのだ。
「でも、本当…なんで雀荘…。」
「大人が入店できるパチンコとか他の博奕じゃ元金要るだろ?youからの金はそんなモンに使いたくなかったしさ。」
「だ、だから…手頃にイレギュラーな場所……しげるくんの姿で雀荘って、そういう事だったんですか。」
「そ。」
「でも、どうして…。」
「欲しいものがあってさ。」
「ほ、欲しいもの…?」
「うん、それ。」
「?」
ピッとアカギが指さしたのはyouが手に持つ携帯電話だった。
「それ……って…え、携帯電話…?」
「うん。散策してたら皆それ使ってるみたいだったからさ……それが売ってある店で色々話を聞いてみたよ。凄いね今の人類。地球の裏側のヤツとでも話ができるんだ?しかも色々ツールが備わってたり、追加で入れることができたり…携帯1つで大体何でもでるんだって教えてもらった。」
「す、すごい好奇心…。」
おまけに知識欲が凄い…と、兎に角その行動力の高さに驚くyou。
「でも値段を確認したら本体も結構高額みたいで、別途毎回通信料掛かるっていうから…。」
「それでお金が必要で…しげるくんにギャンブルさせたんですか?」
「まぁ、結果的にそうなったね。上手いっててビックリ。」
「こちらはそれ聞いて更にビックリですよ!!」
「まぁとりあえず、youに負担掛けないためにオレとしげるが共同で稼いだって思ってよ。」
「う、うう……けど…。」
「購入の代金くらいになるといいけど…確認してくれる?」
「い、いいんですか…?拝見しても…。」
「うん。」
最新機種の携帯でなくても、新品で購入するとなれば数万円は必要…。
しげるの言った「お小遣いをもらった」という言葉から察すると、多く見積もっても1、2万円がいいところ…。
しかしなぜ、この封筒はこんなにも厚みがあるのか…。
色々と疑問を抱きながら、カサッと封筒の中のお札を3分の1程外に出すと…。
「なっ、なっ……何ですかこれ?!どういうこと?!一万円札がな、何枚?!!!」
「クク……しげるくんは結構な小遣いもらったみたいだな。」
「どういうことですか?!」
「さぁ……そこは意識の共有ができないからね……しげるくんに聞いてみない事には。」
「た、確かにしげるくんは負け越してるおじさん達を勝たせることができたから、ご褒美でお小遣いもらえたとは言ってましたが…。」
「ヘェ……結構な高レートで博奕してたのかもね。」
「おっ……お返ししてこなきゃ!!おおおおおじさん、なななななんごーさんとやすおかさんって言ってました!!!」
「謝礼でもらったってんなら、返すのも野暮ってモンじゃない?気にせずもらっときなよ。」
「そんな……あ、あの!しげるくんに代われますか?ナンゴウさんとヤスオカさんの連絡先とか、聞かないと……会う約束して、とっ、とりあえず菓子折りを…!!」
「代わりません。」
「しげるさんっ!」
「そう、それなんだよ。オレはそういう時の為に携帯がほしいんだよね。」
「??」
「オレが変幻してる時に、何か誰かとやり取りしたりしたら、完全じゃないにしてもある程度履歴なんかが残るし、敢えて残せるツールだろ?」
「た…確かに…。」
例えば自分が変幻する場合に、今回のように「雀荘で金を稼げ」や何処へ行け、誰と何しろ…という目的を変幻後の自分に伝えることができるし、
逆に変幻後の自分が誰かと連絡を取り合った履歴などは(敢えて消さない限りは)ある程度残るため、元の姿に戻った後にその足跡が辿れる…とアカギは言う。
「まぁ、シゲルクンが素直に履歴を残してくれるかは怪しいけど…。」
「すごい疑う…。」
「自分で言うのも何だけど……オレだから……しかもあんまり理性的に動かないオレ。」
「それは何と言うか……いや、ノーコメントで…。」
察し……と口を噤むyou。
「あ、で……この金で携帯買えそう?買えるよね?」
「買えますし、かなり先までの利用料になりますよ。」
「よかった、じゃあyouが休みの時に買いに行っていい?」
「事情が事情なので、明日の仕事終わった後にでもショップに寄って契約しましょうか。しげるさん名義ないからわたしが契約しないとだし…。」
「お、助かる。」
「でも…本当にこのお金…。」
「大丈夫ダイジョーブ、何か問題起きてもオレが何とかする。」
そのように何の根拠もないのに「問題ない」と…飄々と言ってのけるアカギに、はぁ…と小さく溜息を吐いたyou。
それ以上ツッコミを入れても、お金を使わないよう注意しても無駄だろうと思ってのことだった…。
何言っても無駄だって
そろそろ分かってきた
words from:yu-a
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