君子殉凶キミに恋する / トリップ
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こういうのを
「繋がる」
と言うんだろうか
冬の夢路
君子殉凶シリーズ番外編
「三成さーん…。」
「何だ。」
「・・・まだ寝ないんですか?お仕事終わってない?」
「溜まっているものは特には無い。だが、寝なくとも問題ない。」
「いや、問題ですよ。もう冬ですし…遅くまで起きてると風邪引いちゃいます。」
「私はそんなに軟弱にできてはいない!」
「すぐに風邪引くとは言ってないデショ!そのうちです、睡眠不足は体力を低下させますし。」
「それなら貴様こそ、態々私の処に来ずに早く寝ればいいだろう。」
「それはそうなんですけど……だって…。」
「何だ。」
急に言葉に詰まりだしたyouをジッと見つめると、
彼女はおずおずと…上目遣いで三成を見て言った。
「三成さんと一緒に寝たくて。」
「・・・そういう意味でか?」
「そういう意味ではないです。断じて。」
「なら帰れ。」
「ヒドイ!!わたしの価値って何!!?」
しな垂れて、よよよ…と泣き真似をするyouを絶対零度の瞳で見つめたまま無言を貫く三成。
相変わらず冗談が通じない、と…頬を少し膨らませ、
youはこの時代の文句を言い始める…。
「だって、寒いんですよー、こっちの世界の布団!」
「誰かに何枚か持って来させればいいだろう!」
「それより三成さんとくっついて寝たいんです!」
「却下する。」
「そこを何とか!!」
「ええい、喧しい!帰れ!」
「っ……いやっ!」
何故か、最後の拒否には真実味を帯びていて、
三成はじっとyouの俯く顔を覗きこむ。
「・・・。」
「・・・。」
「おい。」
「?」
「何があった。」
「え…。」
机に向いていた身体を動かし、少し、掠れた声を上げたyouの正面に三成は座りなおした。
「そこまで駄々をこねるのには、何か余程の理由があるんじゃないのか…。」
「それは…。」
「内容によっては検討してやらんこともない。」
「うう……だって…冬って……何か寒いし、物悲しいじゃないですか…嫌いじゃないですけど。」
「それがどうした。」
「だから……何かこう…センチメンタルな感じになっちゃうワケですよ!」
「何だそれは。」
「・・・寂しい、みたいな。」
「・・・。」
「こんな風に雪とか降ってると……特に。」
それにしても、そこまでムキになって共に居ることを望むだろうか…と思っていると、
唐突にyouがまとまりのない言葉を紡ぎだす…。
「真っ白な雪原の中、わたしだけ、一人立ってたの。」
「・・・。」
「誰もいなくて……まるで、初めてこの世界に来た時のような…。」
「・・・。」
「そんな気になったの。」
「・・・。」
「誰かにいてほしいけど、誰もいなくて……。」
「・・・。」
「必死で色んな人の名前を呼ぶけど……誰も答えてくれなくて。」
「・・・。」
「そのうち手が悴んできて…声も出なくなって……雪の上に倒れちゃうんです。」
それは何の話しか、全くもって理解はできなかったが
それでも何故か止めてはいけない気がして、三成はただ黙して続きを待つ。
「上から雪が降り積もって…ずっと、長い間……で、わたしは雪に埋もれちゃうの。」
「・・・。」
「真っ白で、綺麗だなって…思った時に……三成さんの顔が浮かんで。」
「・・・。」
「名前を呼ぼうとしたら、目が覚めたんです。」
「夢の話か。」
「はい、さっき寝ようと思って速攻この夢だったんで……眠れなくなっちゃって。」
「そうか…。」
「三成さんに会ったら安心できそうな気がして……来ちゃいました。」
「・・・迷惑な話だ。」
「うう……すみませ…」
「お陰で手を出しづらくなった。」
「むぃ…?」
三成は立ち上がり、youを通り過ぎる。
既に女中が用意してくれている布団にゆっくりとした動作で入っていく三成。
「三成さん…?」
「入れ。」
「え。」
「何もせん。」
「え、と……いいの…?」
「来るなら早く来い、私の気が変わらん内に。」
「う、うん!」
ぱぁっと顔を明るく輝かせ、youは三成の布団の中に入り込む。
布団はそんなに広くはないため、身体がどうしても密着するのだが…。
「ひぁっ!?つ、冷たいですよ三成さん!!何かわたしより遥かに低体温!!」
「煩い!耳元でギャーギャー騒ぐな!叩きだすぞ!」
「す、すみません…。」
「貴様……中々温(ぬく)いな。」
「だから三成さんが冷た過ぎるんですって。」
「そうなのか?」
「そうですよ。」
そういえば、自分以外の体温にはあまり触れた事がないと…ふと気づく。
幼い頃は秀吉がその大きな手で自分の頭を撫でてくれたことがあった…。
その頃は城下に出た時に半兵衛や大谷に手を引かれて歩いた。
いつからか自分は成長し、秀吉や半兵衛の手に触れる機会も無くなった。
病の悪化した大谷は誰にも肌を晒さないし、触れさせることもしない。
「(私に触れる手は…今はもう、youだけ、か…。)」
ぼんやりと、そんなことを考えていると、布団の中で夜着を引かれた。
「三成さん。」
「何だ。」
「どうせなら抱き枕にしちゃってくださいよ。」
「な…っ?」
「その方がわたしもあったかいですし…。」
「・・・。」
「くっついちゃいますね。」
「っ……おい!//」
三成の胸に猫のように擦り寄り、身体を密着させるyou…。
突然のアクションに大きく驚いたものの、
外との温度差をダイレクトに感じると、それは中々有難い暖かさ。
声だけは渋々といった風に、しかし体は素直に彼女の身体を強く抱きしめる。
「全く……これでいいのか。」
「あー……あったかい…しーあーわーせー…//」
「・・・。」
「三成さん。」
「・・何だ。」
「おやすみなさい。」
「・・・ああ。」
そう言って、2人同時に目を閉じた…。
・
・
・
・
「・・・ここは?大阪じゃないなぁ、佐和山城か。」
そう、一人呟くyou。
そして気付く、今の状況…。
「(あれ、わたし浮いてる?)」
キョロキョロと辺りを見渡していると、
城の廊下を歩く三成の姿を捉えたので、近づいてみることにした。
「あ、三成さんだー!三成さーーーん!!」
目の前を浮いて回り、大きく呼び掛けるが無反応。
首を傾げ、もう一度名前を呼びながら彼の着物を引っ張ろうと手を伸ばしたのだが…。
伸ばした手はするりと三成の肩をすり抜けた。
「何?触れないし、無反応だし…わたしの声も聞こえてない?」
所謂、幽体離脱のような状態で夢を傍観しているのだろう…。
やんわりと、その事実を受け入れることにした。
と、そこへ…。
「ぇ……うえっ!」
「ん?」
「ちちうえ!」
廊下をパタパタと走って遣って来る子ども…。
目を向ければ、それはまるで三成を子どもに戻したような小さな男の子。
youは目を大きく見開き…そして絶叫する…。
「んぎゃぁああ!小さい三成さんがおるぅうう!かわいい!!めっちゃかわいい!!//」
空中で転げ回り、可愛いかわいいと悶えていると、三成の諌めるような言葉が耳に届いた。
「騒々しいぞ……廊下を走るなといつも言っているはずだ。」
「も…申し訳ございません……。」
「全く…中身が丸々アイツに似通っているなど……私はお前の先行きが不安でたまらん。」
「私はおかあ…母上に似ているのは嬉しいです!」
「…それで、何用だ。」
「私は悔しいのです!」
「・・・感想だけ述べられても、困る。」
「姉上にまた負かされました。」
「またか…。」
「ううー!」
「まぁ、アレは驚くほど剣の筋が良い…お前の年齢で勝てぬのも致し方なかろう。」
やれやれといった風に息を吐き三成がその場に立ち止まる。
話の続きを聞いてくれることを理解したのか、
少年はぎゅっと胸の前で小さな拳を握り、キッと三成を見上げて言った…。
「私は悔しゅうございます!ゆえに父上!どうか私が姉上より強くなれるように稽古をつけてくださいませ!」
「その心意気だけは賞賛に値するが……目指すのであれば姉など通過点に過ぎぬと、そのくらい申せ。」
「姉上が…通過点…。」
「そうだ。ゆくゆくは貴様も、私と同じように秀吉様にお仕えし、その剣を振るうのだ…この私を超えるくらいに強くならねばならん。」
「父上を、超える?!む、無理です!そのような…!」
「無理ではない。」
「ど……努力はいたします!」
「フン…まぁよい。」
少年の答えは、三成にとって中の上くらいの正解だったらしい…。
特に否定することもなく、少年の稽古に付き合ってあげることにしたようだった。
「(いや、予想はしていたが、三成さんって子どもにも厳しいなぁ…。)」
これまたフリーダムに、空中で横になり、頬杖をついて2人の遣り取りを傍観するyou。
「…でも、俺の屍を越えてゆけなんて、カッコイイ父親だわぁ!」
屍を越えろとまでは言っていない。と、その場に大谷がいれば即ツッコんだであろう。
だがしかし、ここは夢の中で傍観側では自分以外のキャストは出てこない様子であるため、
youはただ黙して三成と少年を見つめる…。
が、しかし。
「ん?ちょっと待て!普通に今までスルーしてたけど、子どもって子どもよ?!
三成さんの子よ?!誰!誰なのわたしの三成さんを勝手に寝取った泥棒猫はぁああ!!
子どもまで作りおってからに!しかも姉もおるだとぅ!!許さん!」
起き上がり…というのも変な表現だが、宙に浮いたまま地団駄を踏んでいると、
恐らくはその「姉」であろう少女が廊下の曲がり角から現れた。
「父上。」
「何だ…お前まで…。」
二人揃って何用だと…少しばかり呆れたような表情を浮かべる三成。
「(ん…何かどっかで見た顔だな。)」
youはyouで自分の記憶を辿る…。
そうこうしているうちに話しは進んでいくわけで…。
少女は三成の正面に立ち、これまた先程の少年と同じく、じっとその瞳を見つめて言葉を放つ。
「ちょっとお時間よろしいでしょうか。」
「だから、用件は何だと聞いている。」
「お母さ……いえ、母上が。」
「何っ…?」
「椿の花を取ろうとして、木から下りれなくなったのです。」
「放っておけ。」
きっぱりと言い切った声の温度に、いつもの三成を感じるyouであった…。
そんな中、その台詞を聞くや否や少年が猛反対の意を示す。
「だめです父上!共に母上のところへ参りましょう!」
「知らん。自業自得だ。捨て置け。」
「父上!」
怒りを含んだ声色で三成を見上げる少年…。
「(うわー…マヌケな奥さんだな。あ、チビ三成さんが膨れっ面で怒ってる!かぁわいい//)」
へにゃりと口元を締まりなく緩ませるyou。
それとは相反して、少年は眉をひそませて喚く。
「父上の馬鹿!もうよいです!母上は私がお助けします!行きましょう姉上!」
「私はあとで参ります。」
「姉上までそんな悠長な!むーーー!!もういいです!」
「・・・。」
「お助けして、母上の中で私が一番頼りになる男だと証明してみせます!」
そう言うと、少年は怒りながらその場を立ち去る。
「父上。」
「どうした。」
「実はお母さん……いえ、母上は…。」
「・・・。」
少年の姉と、三成の会話も気になるところではあったが、それより気になる事がある。
悩んだ末、夢の中でならそうショックは大きくないだろうと…youは三成の嫁を見に行くことにした。
・
・
・
・
「・・・ここは?佐和山の城か。」
youと同じようにそう呟いたのは三成。
「何故…私は空を浮いている?」
これまた同じ台詞なのだが、傍にyouは居ない。
よく見れば自分の全身はうっすらと透けている。
まるで自分の御霊だけが天に昇り、地上を見ているようだと…そんなことを考えた刹那…。
元気のいい、聞き知った声がその場に響いた。
「お母さんに任せて!」
「やはり危ないです。」
腰に手を当て、もう片方の親指を立てて、満面の笑みを浮かべるのはまぎれもなくyou。
しかしながら、少し自分の知っている彼女とは雰囲気が違う気がする。
「…you…と、誰だあの娘は?」
首を傾げる三成。
自分の声も届いていなければ、姿も見えていないようだと確信を抱いた三成は
より2人の会話を近くで聞こうと、傍に寄った。
「あの白い椿よね?大丈夫、木登りは何度かやったことがあるんだから!」
「でも、危ない。」
「でも、欲しいんでしょう?お母さんも素敵だと思うし、近くで見てみたいわ。」
「だけど…。」
「分かる分かる、あの白椿、お父様とxxxみたいだって…思ったんでしょ?」
「・・・っ!」
「娘よ!……俺に任せろぃ!」
「・・・。」
youの最後に見せた、どこか間違った気合の言葉を聞き、
冷めた目で見つめる少女の雰囲気は自分の醸し出すそれに似ている、と思う三成。
それにしても、少女の名前が分からない。
確かにちゃんとyouが名を呼び、それは自分の耳に入ってきたはずなのに、
たった、ほんのさっきの話なのに、思い出せない。
しかしながら、少女の名が分からないという事は別段重要ではないだろうと…。
三成は木を登り始めたyouに視線を向けた…。
「おお……おお!……やだ、結構イケるじゃない…すごい、わたし凄い!」
「お母さん・・・すごい。」
「見てみてー!余裕ー!」
ぱっと元気そうな笑みを浮かべ、高い場所から少女を見下ろすyou。
その笑顔に安心したのか、ホッと少女が息を吐いた。
「もうちょっと……っ…と、ど…い…たーーーっ!」
「!」
「xxxーー!白椿ゲットしたよー!」
「感謝します、お母さん…。」
「待っててね、今降り……れん。」
「え?」
突如放たれた予想外の言葉に固まる少女と三成。
渦中のyouはというと、幹にしがみ付きながら懸命に足を下の幹に下ろそうとしているのだが届いて居ない。
「うぉおう?!わたし、ココまでどうやって登ってきたんだ?!どうやって降りればいい?!!」
「お、お母さん…?」
「いやいやいや、登れて降りれんということはないはず!ここにこう…足を掛けて降り………れん。」
「・・・・。」
「ちょーーーーっとーーー!怖い!何か怖くて降りれませんーーッツ!!」
「・・・・。」
はぁ、と溜息を吐いてその場をスタスタと去っていく少女。
三成は呆れて深い溜息を吐く。
そして…去っていく少女を慌てて引き止めるyou。
「ちょ、ちょっと娘よ!ま、待ってくれーぃ!!」
「父上を呼んで参ります。」
「えっ、いや、それは困る!それはマズい!」
「何故ですか?」
「そもそも絶対「放っておけ」って言う。来てくれない!万一来てくれても「無様な姿を晒すな!」とか言って怒られる!尻を叩かれる!多分!」
「でも、ずっと其処に居るわけにはいかないでしょう……お風邪を引かれます。」
「いや…そうなんだけど…。」
「では、行って参ります。」
「行かないでぇええ!!」
今にも泣き出しそうなyou。
三成は空中で傍観しながら、顔面に思いっきり手を押し当てた…。
「(な……情けないッツ!!)」
はぁぁ~…と、改めて溜息を吐いていると、
youがボソボソと一人言を呟き始めた。
「あああ、どうしよう…絶対白い目で見られる…馬鹿だの阿呆だの罵られる……あの子達の前で…うう、わたし、母親なのに。」
「な…っ!」
今までスルーしておいて今更気付くのもなんだが、思い返せば確かに先ほどから少女がyouに「お母さん」と呼んでいたと…。
その事実に気付き、サーっと顔を蒼くさせた後、徐々に赤い…憤怒の色を滲ませた。
「貴ッ様ぁああ!!この私を裏切り、あまつさえ子どもまで生まれていただとぉおお!!?
許さん!相手の男共々残滅する!確か父を呼んでくると言っていたな…
…私が態々出向くまでもない!さぁ、来い!斬滅してやる…!!」
何故か夢の中にまで 愛刀を持ってきていた三成…。
神速技で抜刀し、誰にともなく刃を向けた…。
・
・
・
・
「あぁ…三成さんの奥さん…一体どんな人なんだろう……確か史実ではこうげついん?って人だったけど、ここは何かデタラメな戦国時代だしなぁ…。」
「残滅する……絶対残滅する……斬首だ…斬首して切り刻む……十六寸にまで切り刻む…。」
「めっちゃ怖い台詞聞こえたーーーッツ!!」
「ん?」
「あ!」
「…you、か?」
「三成さん!」
少年の後を追って遣って来たyou…。
視界に話しの通じる三成を前にして驚きの声を上げた。
「わ!やっと傍観者側に知人発見です。」
「ワケの分からんことを言うな。」
「にはは……で、こんなトコで何をしてたんですか?」
「はっ……っ、そうだ貴様ッツ!私を裏切り、内密に私以外の男と逢瀬を重ねていただけでなく、子まで孕むとはどういう事だ!!」
「ええええ?!!ななな何それ!?何ですかそれ!?」
「釈明は考え付いたか…?だが、命乞いは許さないッツ!!!」
「ぎゃぁあああ!!」
何故こんなことに?!と、嘆く暇なく向けられた鋭い刃。
空中で尻餅を付き、刀の前でブンブンと両手を振る。
「みみみ三成さ…っすスト、すとっぷぅああ!?」
「ん?」
涙だけでなく鼻水も出る勢いになったところで、突如響いた少年の声…。
「お母さんっ!」
「あ、xxx…。」
「今助けに参りますっ!」
「だ、だめよ!貴方まで降りられなくなるから、絶対だめ!それならお母さん頑張って自分で降りるから!」
「しかし!!」
「大丈夫!ほら、いくよ……えーと…こう?」
「お母さん!足が着いていません!もう少し下です!」
「いや、これ以上無理……落つる。」
「おか…!」
早速諦めの言葉を発したところで、少年の後ろからもう一人の三成が現れる。
「何をしている、馬鹿娘。」
「み、三成さん!!」
木の上のyouがその名を呼び、改めて驚く三成とyou。
「さっきから思ってたケドわ、たし…だよね?あれって…。」
「私、だと…?」
よく理解できないうちに、空中で自分たちの遣り取りを傍観することとなった三成とyou。
何にせよ、これは夢なのだからと納得することにした。
そんな中続く夢の中の自分たちの会話…。
「いや…その……なんと言いますか……木から降りられません。」
「見れば分かる。」
「登るのは意外と容易く出来たんですけど……いざ降りるとなった時に高さに気づいて怖気づいてしまって、足場も分からないっていうか…。」
「もういい、黙ってそこで待っていろ。」
「え、でも…。」
「これ以上無様な姿を晒すな。」
「・・・はひ。」
言うが早いか、三成は羽織を少年に「持っていろ」と、手渡してするすると椿の木を登っていった。
あっという間にyouがいる場所まで登りきり、怒った顔で彼女を睨む。
「み、みつなりさん…。」
「・・・。」
「い、いらっしゃ~い。」
「下に降りたら覚えていろ、2人の前で尻を百叩いてやる。」
「ひぃいい!やっぱり!お願いおねがい!それだけはやめて!!母親としての威厳とプライドが!」
「安心しろ、そんなもの最初から、芥子粒程もありはせん。」
「・・・・。」
しょぼーんと俯いた姿はデフォルトのyouの表情。
傍観しながら三成はよく夢に投影できていると人知れず頷いた。
そして更に続く会話。
「それより貴様…まだ2人に「お母さん」などと言わせているのか。」
「言わせてるっていうか……それで慣れちゃってるみたいで。あ、でもちゃんと三成さんのことは父上って呼びなさいって…。」
「分かっている。悪いとは言っていない。」
「あ、よかった。」
「確か、自分の世界の「お母さん」のようになりたくて…とか言っていたか…。」
「ええ……でも、まだまだちゃんとそうなれてるかは…分かりませんけど。」
「そこは……問題ないだろう。」
「え?」
三成の言葉に目を点にしたyou。
ふっと軽く笑みを浮かべ、三成はその理由を話してやることにする。
「xxxが私を、呼びに来た。」
「はい…。」
「お前が木から降りられなくなったと。」
「うう…。」
「私が放っておけと冗談で言えば、我が息子は本気にして一人でお前を助けに行った。」
「ふふ、駆けつけてくれましたね。嬉しかったです。」
「xxxは……。」
「xxxは?」
嬉しい言葉を待つ笑顔のyouだったが、
三成の口から出たのは予想とは裏腹のもの。
「自分の所為だと泣いていた。」
「えぇ?!!!」
「自分が白椿が欲しいと言ったから、お前が木から降りれなくなったと。」
「そんな…。」
「お前が木から落ちたらどうしようと言って、泣き出した。」
「xxx…。」
「普段剣術稽古で怪我しても泣かないxxxがお前の為には泣くのだ……。」
「・・・ん。」
「お前は、お前自身が思う以上に2人から好かれている。」
「はいっ!」
「そろそろ降りるか。」
足場を固定し、youに自分の背に負ぶさるようにと言う三成。
怖いと首を振るも、両手が使えないと2人して落ちるのだと告げれば
意を決したように彼の両肩に手を置き、隙間無く密着する体勢を取った。
「ああ、そういえば、アイツが…お前を助けて、自分が一番頼りになる男だと証明してみせると言っていた。」
「まぁ!」
「まぁ、それは譲らんがな。」
「ですね。」
「you…。」
「はい?」
「世継というのは、何人生まれようといいものだ。」
「うん、xxxもxxxもとても可愛いです、2人とも大好きよ。」
「・・・そろそろ三人目が欲しいと思わんか。」
「・・・あー…そういうこと。」
地面に降りて、子どもたちが集まってくる前に…と、三成は木の上で不敵に笑った。
「答えを聞かせろ、you。」
「お任せいたしますよ、殿。」
「……そういうことなら尻百叩きは勘弁してやる。」
「わー、よかった!」
「フン。」
「ふふっ。」
そこからはあっという間…。
登ってきた時と同じように、三成はyouをおぶったままで難なく地面へと降り立った。
子ども達が駆け寄ってきたところで、youと三成に急に、変化が生じる…。
宙に浮いていた身体が空に引き寄せられ、2人して天に落ちていった…。
・
・
・
・
「・・・。」
「・・・。」
がばり、と……今度はちゃんと地に足を付けた状態で「起き上がる」。
天井は低く、木製。
目の前には襖。
そして横に目を向ければ…。
「おはようございます、三成さん。」
「ああ…と、言いたいところだが、まだ夜は明けていないようだな。」
提灯の明かりはまだ立派に役割を果たしており、未だ夜明けには至ってないことを意味していた。
「変な夢、見ました…。」
「・・・どんな夢だ。」
「何?未来予想図…的な?」
「ほう、それはどんな指南書だ?」
「いや、そうじゃなくて……未来の、夢?みたいな?」
「先の世の…?」
「ああ、うん……そう…かな。」
「・・・・。」
頬をぽりぽりと掻きながら、明後日な方向を見つめるyou。
すると、続きの出なさそうな彼女の代わりに三成が口を開く。
「それに私は出てきたか…?」
「え?!いや……うん……出た…ばっちり。2人も。」
「私の……夢にも、youが二人出た。」
「え!マジ?何かリンクしちゃってますね、愛ですね…!」
パッと明るい表情を浮かべ、youは三成を振り向く。
自分は、ただでさえ三成の夢を見ることが嬉しいのだと笑えば、
彼は何故か急に顔を赤らめて、口篭る…。
「三成さん…?」
「・・・私以外には…誰か、出てきたか…?」
「え、と……うん…出た、かな…//」
「何故、頬を赤らめる?」
「うへぇ?!いや、何?その……//」
「私以外に……誰が、出た?//」
「三成さん…と、わたし……の…//」
「っ…よもや、こ…っ!//」
「しーーーっ!!//」
「?!」
突如、答えを遮るyou。
真っ赤な顔で三成の唇に、自分の人差し指を当てて言葉をせき止めた。
「な…何をする…//」
「そういうのは……話さない方がいいかな、って……何となく、ですけど…//」
「そう、か…。」
「言わなくても……同じ気がする。繋がってる気がする方がいい//」
「そうだな…。」
顔を見合わせて微笑めば、どちらからともなく腕が伸ばされて、抱き合った。
「その答えを確かめるわけではない、が。」
「ん?」
「・・・you。」
「何ですか、三成さん?」
「以前から思っていた……事、がある。」
「はい。」
ゆっくりと身体を離し、三成はyouの顎を掬い取る。
「youに…私の世継を産んでほしい。」
「・・・ふぇっ?!//」
「・・嫌か?」
「……三成さんは…わたしでいいの…?」
「私はyouしか要らん。」
「・・・っ……//」
「言いたい事は?」
「・・・だいすきです。」
言葉の後、すぐに降りてきた三成の唇…。
すぐに離され、互いに顔を合わせると、三成の目に映るのは泣き顔のyou。
それを見て困ったような笑みを浮かべる彼は
今まで見た中で一番優しいものだったと、youは思うのだった…。
今、この頬に
触れたその指先が
優しく語った
you
(ねぇねぇ、三成さん。)
三成
(何だ。)
you
(これから、冬の間はいつも三成さんのトコ来てもいい?)
三成
(邪魔だ。鬱陶しい。)
you
(つ、冷たい…。)
三成
(何が言いたい。)
you
(人間懐炉になるし、寂しい夢防止にもなるかもですし…。)
三成
(後者は私とは無関係だ。だがまぁ……条件によっては、許可を出さんこともない。)
you
(身体は却下です!)
三成
(何っ!?)
you
(当たりかい…このドスケベめ。)
三成
(失礼な言葉を吐くな、私を誰だと思っている。)
you
(はいはい、秀吉様の左腕、佐和山城城主、石田三成様でございますね。)
三成
(そうだ、そして貴様の夫だ。)
you
(そうそう、わたしの夫ですね……って何?!//)
三成
(子を孕むという事はそういうことだろう。)
you
(もー!何か根本的に違う気がするけど…誰もツッコまないんだろうなぁ…凶王様だものー…//)
三成
(??)
words from:yu-a
*。゜.*。゜.*。゜.*