君子殉凶キミに恋する / トリップ
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広い空の下
広がる水面は輝いて
思わずテンションが上がります
夏の体温
君子殉凶シリーズ番外編
「三成さん!琵琶湖です!!」
「・・・・。」
何故…こんなところに自分はいるのだとでも言いた気な表情で琵琶湖を見つめる三成…。
そしてその横で「淡水の海だー」などと、はしゃぐyou。
「早速泳ぎましょう!三成さん!」
「だが断る。」
「ぬなっ?!!」
ジョジョばりに否定の意を示した三成の反応に驚くyou。
わたわたと慌てて、何故…と問う。
「どどどうしてですか?!折角、態々琵琶湖の泳げるとこに来たのに!」
「貴様がどうしても琵琶の海で泳いで涼を取りたいと騒いだから、付いて来てやっただけだ!誰も泳ぐとは言っていない!」
「そんなのダメですよ!来たからには泳がないと…!」
「泳がん!……離せ!」
「ぐぬぬ…この男…テコでも動かんつもりか!」
三成の腕を力いっぱい引っ張るものの、甲斐の虎よろしく、正に動かざる事山の如し。
ぷくーっと頬を膨らませ、youは「もういい!」と怒鳴って腕を解く…。
「他の人たちに混ぜてもらう!」
「好きにしろ。」
「・・・三成さんと泳ぎたかったのに。」
「私は泳がんと言っている。」
「ううー……行っちゃうからね!?」
「勝手にしろ。」
「ぐっ…三成さんのド馬鹿!!」
「フン、貴様のド馬鹿具合には負ける。」
「なにおぅ、この前髪スネ夫ッツ!!」
「貴様…余程命が要らんと見える……そんなに斬滅されたいか?」
「イテキマーース!!」
言うが早いか、youは気配を消し、サァーーーっとその場から逃げ去った。
三成はドス黒いオーラを消すと、フン…と不満そうに鼻を鳴らして踵を返し、水辺から離れる。
youが着がえる為に去っていった方には木陰があり、そこに腰掛けて空を見上げれば
木漏れ日から差し込む陽射しが眩しくて思わず目を細めた。
軽く息を吐けば、馬を走らせやってきた疲れがドッと襲ってくる…。
おまけに、琵琶湖からのひんやりした風が予想外に心地良く、
目を閉じればうっかり寝てしまいそうだと思った…そんな刹那。
「よーし、泳ぐぞ泳ぐぞーーー!」
「・・・・。」
「まずは一人でメダリストの如く泳いで、飽きたらあの辺で遊んでる人たちに混ぜてもらおう。」
「・・・!!?」
「じゃぁ、三成さんイテキマーー」
「馬鹿か貴様っ!!//」
「ギャー!!?」
湖に駆け出そうとした刹那、三成がいきなりyouの後ろ首にチョップ…というか最早手刀を繰り出した。
痛みに悶え、砂浜で転げまわるyouに三成の怒声が降り注ぐ…。
「ぃいいったあ!」
「きさっ、貴様は…何て格好をしとるんだ!!//」
「何てって…水着ですけど!近代スタイルにアレンジした。それより痛いんですけど!むち打ちになったらどうすんですか!ぃてて…。」
「きん…あれ…ジ?ええい!わけの分からん言葉を使って誤魔化すな!そんなはしたない格好、許されるかッツ!!//」
「だって…この時代の女の子って着物っていうか襦袢着たまま泳ぐんでしょー?無理ですよ、泳ぎに辛いですもん。」
「だからと言って!そんなはっ、腹を出して……真田が言わずとも、誰が見ても破廉恥だぞ!//」
「・・・わたしから言わせれば襦袢が透けて肌にぴったりくっつく方が破廉恥に思えますがね…。」
「それは確かに同意するが…。」
「でしょう?」
「だが、そんな格好は許さん!」
「えー…この発想意外と可愛いと思ったんだけどなぁ……そんなに似合いませんか?」
「ぬなっ?!//」
三成が其れほどまでに怒る、youの考えた水着とは…。
現代ではオーソドックスなセパレートの水着…所謂、ビキニを、布で構成させているものであった。
上下共に横長い布を巻きつけただけだが、上は首の後ろで、下は片側でリボン結び。
更に付け加えるならば、二巻きほどしているので全く透けてはいない。
色は白がチョイスされ、腹部の露出がこの時代で問題なければ、
寧ろ清楚にさえ思えるくらいの井出達である。
手刀を繰り出される程に激怒され、かなりショックだったようで
youはしょんぼりとした表情で三成を見上げ、返事を待つ…。
「似合……わん…、」
「っ!!」
「……ことも、ない………って、おらん?!!」
如何せん三成の言い方が悪かった…。
否定から肯定に変化する台詞とは思わず、後に続く言葉を聞かないままに走り出したyou。
やはり「三成さんのド馬鹿、前髪スネ夫」と叫びながら湖に入水していった。
「・・・チッ。」
最早追いかけることのできない場所に行ってしまったyouの背中を見つめ、三成は思いっきり舌打ちをする。
とりあえず、彼女が岸に上がってくるのを待つ事にして先程の木陰に戻ることにした。
「三成さんのばか……うー…!首も痛いし!」
水中から息を吐き出し、ブクブクと水面を泡立たせるyou。
不貞腐れた顔で陸を見れば、三成が木陰で涼んでいる姿があった。
「何あれ……追いかけて来る気配すらない!!」
確かに日頃から反応が薄かったり、態度が冷たかったりはするものの、
それは表向きで、家臣達や友人の大谷がいない時にはそれなりに三成は自分に構ってくれている。
甘い言葉を告げることは皆無に等しいが、代わりに抱擁や口付けで示してくれる。
2人で出掛けて、ここまで放置されることは珍しい。
故に、ゴン、と鈍器で後頭部を殴られたような衝撃が走るのだった…。
「いやいや、もしかして泳げないとか…ねぇ?」
うんうん、と無理矢理納得を試みたyouは一人頷く。
「うん、そうだそうだ、きっとそうだ…だからあんなに拒否って…。」
それならあまり辛くは思わないと…youが考えを固定させようとした矢先…。
ふいに後ろから声を掛けられた。
「お嬢ちゃん、この辺の娘さんかい?」
「え?いや、違います。」
「だろうねぇ、いや、俺らはこの海の近くの村の漁師だが、お嬢ちゃんみたいな娘は初めて見たからね。」
2人の中年男性はどうやらこの琵琶湖に漁をしに来ているようで、
手には簡易に作られた銛が握られ、肩には縄に括られた網が掛かっていた。
そんな彼等に笑みを返し、自分がここにいる理由を話すyou。
「観光というよりは避暑に来たんですよー。」
「そうかい……この海で獲れる魚も貝も美味いモンばっかりだ、ゆっくりしていくといい。」
「魚!貝!!いいですね~…是非食べて帰りたいです!」
「そんなに食いたいなら…食わしてやろうか?」
「ええっ!いいんですか?!」
「いいとも、だが…。」
ぱぁっと明るい表情を浮かべたyouだったが、それはすぐに困惑のものへと変わっていく…。
「俺たちにお嬢ちゃんを食わせてくれたら、だねぇ!!」
はっと気づけば時既に遅し、腕を掴まれて身動きがとれなくなっていた。
まるで極上の食事を前にしたかのように、男の一人が舌なめずりをする…。
これはマズいと…助けを呼ぼうとしたのだが、何故だろうか…恐怖心で声が出ない。
そうこうしている間に手持ち無沙汰だったもう片方の男が水底に銛を突き立て、youの肩に手を伸ばしてきた。
「ゃ・・・!!」
「にしても…えらくはしたない格好してるじゃねぇか……遊女だってこんな格好しないだろう。」
「っ…!」
「俺ぁ好きだけどなぁ…んー?」
「やっ!」
顎を捕まれ、顔を近付けられる…。
思わず顔を横に逸らしたが、効果は微塵も無いようで…寧ろ、仇となった。
顔を背けられた男はチッと舌打つと、無遠慮にyouの胸に手を伸ばしてくる…。
「ひぁっ?!//」
「おいおい、もっと色気のある声を出してくれよぅ……じゃねェと勃つモンも勃たね…」
「!!?」
刹那、ゾリ…と、何か不思議な音がして、一同は揃って首を傾げた。
と、youが自分の胸を掴んでいる男を見上げれば、彼の頭の天辺にあったはずの髷が消えていることに気付く。
次いで、少し離れた場所からポチャン…という音が響き、男達が沖の方を見た。
「今の…は?」
「って、お前…か、髪!」
「え…?」
「い、一体何……ヒッ!!!」
「っ…ィ!!」
呆気に取られていた時には気付かなかったオーラに、気付く男達。
いつの間にかその場にはもう1人役者が増えていた。
「み、みつな…さ…っ…!」
「貴様等……一体誰の許可を得て……この女に手を出している…?」
「っ…!」
「琵琶の海を血で汚すことはせん……が、これから陸(おか)に上がってからであればそれも吝(やぶさか)かではない……が。」
男が突き立てていた銛で、彼の髷だけを狙い、落としたらしい。
呼吸さえ苦しくなるような漆黒のオーラを纏った三成は、彼等を視線で射殺す程…。
その殺気に中てられて、男達ガクガクと震え上がり、youから手を離す。
「死にたくなければ今すぐ失せろ!三つ数えるまでに去らねば、貴様等を十六寸にまで切り刻むッツ!!」
「「もも、申し訳ありませんでしたッツ!!」」
先刻、youがしたのと同じように、気配を消し、彼等はサァーーーっとその場から逃げ去っていく…。
水上を走らんばかりのスピードに思わず恐怖心を忘れたyouは、ポカンと口を開けて彼等の背中を見送った。
「あの…三成さん…。」
「・・・。」
「泳げたんですね…。」
「貴様ッ!開口一番がその台詞とはどういう見解だッツ!!」
「いや、すみません!だって……ねぇ。」
微塵も入水する気配が無かったから…と、言葉を続ける。
しかし、今ではちゃんと着物を脱ぎ、下着一枚で自分も元へと駆けつけているわけで…。
と、そんなことをウダウダ言えば、断固たる主張を返された。
「だから、私は泳がんと言っていたはずだ!」
「でもでもっ!三成さんが一緒に泳いでくれないから、さっきみたいなのに遭遇しちゃったんですよ!?」
「うっ…。」
「すっごく怖かったんだからぁ……ぅぁあああん!!」
「な、泣くな……っ…you…。」
本気で泣き出してしまったyouを抱き寄せ、後頭部をゆっくり擦る…。
ある程度涙が止まるまで、何も言わずにそのまま頭を撫で続けてくれた三成。
それから、youはスン…と、鼻を鳴らして三成の胸に頬を摺り寄せた。
「落ち着いたか…。」
「ん。」
「そうか・・・。」
「・・・。」
「だがな、you。」
「ん…?」
「お前がそんな格好をしている事にも大いに非がある。」
「うっ…!」
ズバリ痛いトコロを突かれた、と唸るyou。
「分かったらもうそんな格好を人前でするな。」
「うう…はい。」
「まぁ………何だ……その…。」
「?」
「私の前でだけ、なら………許可、するが…っ//」
「う、ぁ…?//」
「っ……今のは撤回するッツ!//」
「えええーー!!」
まさかの発言スピード撤回に動揺するyouだったが、
そうは問屋が卸すまいと…身を乗り出して三成の肩に掴みかかる。
「だ、だめ!」
「っ…//」
「しちゃだめ!」
「なに…//」
「それって、三成さん……この格好嫌いじゃないってコトですよね?!」
「・・・っ//」
「お願い!正直に言って!」
「嫌いでは………いや……す、好きだ…ッ、て何を言わせる!!//」
「っ~~もうっ!!//」
「ぅ、おっ?!」
一瞬だけ離れた後、勢いを付けてyouは三成に抱きついた。
水中なので少しくらいよろめいても差し支えは無いようで、
三成はすぐにバランスを持ち直し、youを抱き止める。
そして放たれる言葉はいつもの告白。
「・・・だいすき。」
「・・・勝手にしろ…ッ//」
これもまた、いつものように軽くあしらう言葉をいただくことになるのだが…。
ほんのり赤い三成の頬が夏の暑さの所為ではないことを知っているので、
何度でも「だいすき」だと言えるのだ。
2人だけが
知ってる顔
知ってる姿
you
(ねぇねぇ、三成さん。)
三成
(何だ。)
you
(そろそろ上がりましょうか。)
三成
(いいのか?もう私も服を脱いでいる……泳ぐなら付き合うが。)
you
(何言ってんですか!だからこそですよ!)
三成
(どういう意味だ?)
you
(折角三成さんが褌一丁になったというのに!これを夏の太陽の元で見らずに何時見るというんです!?)
三成
(黙れ。)
you
(・・・褌サイコー。)
三成
(黙れと言っている。)
you
(わたしの水着も…三成さんにならいっぱい見てほしいですし…//)
三成
(ッ…ばっ、馬鹿か!//)
you
(我ながらのナイスアイディア…あー、素敵な発想で自慢の一品ですし。)
三成
(・・・おい…まさかとは思うが…その生地……。)
you
(う、上は新品のですよ!)
三成
(・・・下は、何の生地だ?)
you
(・・・三成さんの褌を拝借しましたが何か問題でも。)
三成
(問題だらけだ!!こんっの……ド阿呆ッツ!!)
you
(いったぁあああ!!)
words from:yu-a
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