君子殉凶キミに恋する / トリップ
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ぽかぽかと
何とも暖かな
日差しでしたので…
春に寄す
君子殉凶シリーズ番外編
「入るぞ、you。」
「いっ、石田様?!」
大阪城でyouが滞在する際に与えられた客間へ赴けば、当の本人は不在。
代わりに部屋の掃除をしていた女中に出くわした。
三成の突如の訪問に驚き、あたふたと床に伏せた女中に彼女の居場所を問う。
「・・・youは何処だ。」
「っ……youさんでしたら、一刻(約2時間)程前にお部屋を出られましたけれど…。」
「何処へだ。」
「も、申し訳ございません…行き先までは…ただ、城の外へは出てはいないかと…。」
「当然だ!許可なく城下へ出ることは私だけでなく秀吉様より禁止されているッツ!!」
「ひぃい!申し訳御座いませんんーーッツ!!」
「チッ……知らぬのなら、貴様に用は無い。」
くるりと、踵を返して三成は部屋を出る…。
しかし…出たのはいいが、行き先が決まらない。
実のところ、三成は特別彼女に用事があるわけではない。
ただ、大阪の城で秀吉や半兵衛に任された仕事が一段落着いたため、
恐らく暇を持て余しているであろうyouに構ってやろうと、足を運んだのだ。
「(それなのに…あの女…。)」
気付かないうちに普段より二割増し、ムスリとした表情へと変化していく。
そう不機嫌な気持ちを抱いたところで、状況に変化は生まれないわけで…。
三成は渋々ではあるが、youを探すことにした。
「(思い当たる場所といえば……庭か…兵のいる鍛錬所か…もしくは…。)」
ぽつぽつと、彼女がいそうな場所を脳内でリストアップしていく中でいきつく一つの場所…。
否、それは場所というよりは人物であった。
その人物が、自分の現在築かれている人間関係の中で最もいけ好かない類の人物であることを再認識し、
三成の眉間には知らずに深い皺が寄る。
仕方なく…本当に仕方なく、三成はその人物を尋ねることにした。
「邪魔するぞ。」
「んぁ?ああっ!三成?!」
「・・・。」
三成が訪れた、彼がいけ好かないと称する人物…徳川家康。
健康的な体格に太陽のように明るい笑顔…。
全てに於いて三成とは正反対の存在であるが故にだろうか…
自分でもよく分からないが、兎に角、三成はこの家康を苦手としている。
三成が来たことに驚き、次いで嬉しそうに屈託の無い笑顔を向けると、
家康は畳に下ろしていた腰を素早く上げて、後ろから三成の両肩を掴んだ。
「どうしたんだ?ワシに何か用か?嬉しいぞ、三成がワシの元を尋ねてくれるなんて!ささ、立ち話もナンだ、そこに座って一緒に茶でも飲もう!!」
「要らん。離せ。貴様と馴れ合うつもりなど毛頭無い。」
「えー!そんな…冷たい事言うなよ三成ぃ……。」
「それより貴様、今一人なのか。」
「ああ、だからちょうど暇してたんだ!まんじゅうあるぞ、食うか?」
「要らんと言っている。」
「三成~…。」
取り付く島も無し…といった三成の反応に、家康はトホホと苦しげな声を上げた…。
そんな中、家康の耳に届いたのはまるで独白のような小さな声…。
「・・・は、…だ。」
「へ?」
「・・・youは…何処だ。」
「you…?」
「そうだ。」
「いや、此処には来ていないぞ?」
「・・・そうか。」
「んー………そうかそうか…成程な、うん、なるほど。」
「何だ。」
「いやぁ?何でもないぞ!」
「チッ……もういい。」
「you」という単語を出した途端、ニヤニヤと笑みを浮かべだした家康。
その含みのある笑顔が気に触ったのか、三成は大声でキレそうになるのを抑えて早々に立ち去ろうと試みた。
襖に手を掛けて、廊下に出た瞬間…。
家康がひょこりと顔を出して、三成に告げた。
「三成!……youは、多分、軍師殿のところにいるぞ。」
「何…?」
「先程、半兵衛殿に渡す報告の書類があってな…彼の部屋で手伝っている姿を見た。」
「アイツ…ッツ!」
途端に眉が攣り上がったのは、どのような理由か…。
自分を差し置いて半兵衛の傍で働けることを羨んだ、youへの嫉妬か…。
はたまた、自分の元を訪れず、半兵衛の手伝いをするyouに対しての憤りか…。
言葉では前者、心では後者に違いない。
家康はそんなことを思いながら、早足で廊下を歩き始めた三成の背を見つめるのだった。
・
・
・
・
「半兵衛様…。」
「・・・三成君か。」
とある陽当たりの良い客間…。
半兵衛の背に向けてそっと声を掛けた三成。
ゆるりと、ほんの微かに首だけを動かし、視界の端に三成の姿を捉えた半兵衛は綺麗に微笑んだ。
「やぁ。」
「先程、半兵衛様の部屋を訪れた際、留守を確認するために襖を開けさせていただきました……申し訳ございません。」
「構わないよ……ていうか、そんなこと一々謝らなくてもいいのに…本当に、君って子は…。」
「…申し訳ございません。」
三成は一礼して、半兵衛の斜め後ろに胡坐を掻く。
それから、ふと、半兵衛に目を向ける…。
女性と見紛う程に儚げで美しい横顔に思わず嘆息が漏れそうになるのはいつものこと…。
しかし、美しい容姿とは裏腹にひとたび豊臣の…秀吉の為の戦となれば猛者顔負けの勇ましい顔つきに変化する。
そしてその見惚れるような艶やかな剣技と軍略を以って敵対国を侵略するのだ。
いつか自分も、秀吉の左腕と称される彼のような存在になりたいと…切実にそう願う。
そんな彼が今浮かべるのは、まるで親か兄が家族を愛おしむような温かな笑みで、
その眼差しの先にあるのは、三成が今の今まで探し歩いてきた相手であった。
三成の視線がyouに移ったのが分かったのか、半兵衛が小さく口を開いた。
「ふふ、日差しがね…あまりに心地良かったから、2人で日向ぼっこしてたんだ。」
「youと、ですか…?」
「うん。」
「全く……間抜けた顔を晒しおって…。」
「そう?僕はとても可愛いと思うけどね。」
「しかも、半兵衛様の膝を枕にするとは…起きたら斬滅する。」
「構わないよ、全然。普段は君しか見られないyou君の寝顔、存分に拝見させてもらった感じだし、ね。」
「なっ、はっ、半兵衛様っ?!//」
「しーーっ、三成君、静かに。起きちゃうよ。」
「あっ、う…うう…む。」
別にyouが起きようが起きまいが…いや、個人的な考えとしては寧ろ叩き起こしても構わないくらいの勢いなのだが、半兵衛に言われれば黙るしかない三成であった。
無理やり口を噤むこととなり、若干不服そうな三成を見て半兵衛はクスリと小さく笑い声を零し、
それからちょいちょいと軽く手招きをする…。
「?」
「そろそろ、交替しようか。」
「交替…?」
「うん、you君の快適な枕役。」
「お、起こせばいいのです、このような馬鹿娘など…。」
「そんな事言わずに…まだ寝かせてあげてくれないかな?」
「しかし…!」
「さっきまで、文書やら伝言やら…僕と秀吉の間を行ったり来たりさせちゃってね、疲れてたんじゃないかな…。」
「(youめッ…なんと羨ましい仕事を…!!)」
「一段落着いたから、日当たりのいい部屋でお茶をして、それから日向ぼっこ…ってワケ。」
「左様でございましたか。」
「うん、そういうことだから……ね、交替?」
「……半兵衛様がそう仰るのなら…。」
「君も本当に素直じゃないね。」
「なっ?!私はたとえ口が裂けようと、半兵衛様に嘘など申しませぬ!」
「しーーっ!分かってるよ。そういうことじゃなくって……まぁ、いっか、君達はそれで。」
「むぅ…?」
半兵衛の言わんとしていることの意味を全く理解できていない三成。
頭に疑問符を浮かべ、小首を傾げる姿が何となく可愛く思え、
半兵衛はそれにも愛おし気な笑顔を浮かべるのだった。
それから、youを起こさないようにそっと浮かせ、半兵衛が座っていた場所に三成が腰を下ろす。
気を遣いながら彼女の頭を移動させたが、特に問題は起こらなかった。
「よかった、起きないみたい。」
「いえ、寧ろ起きてほしかったですが。」
「はは、観念することだね。」
「むぅ…。」
「それじゃ、頼んだよ三成君。」
「はっ!半兵衛様のご命令とあれば!」
「っふふ、そんな台詞、そんな体勢で言われても締まらないよ!」
「も…申し訳ございません…。」
「じゃぁね。」
そう言って立ち上がり、半兵衛はそっと陽射しの差し込む部屋から襖を閉めて出て行った。
半兵衛が部屋を出て数分…。
youは未だ夢の中のようで、起きる気配は無い。
「半兵衛様の御手…いや、膝か…?何にせよ、半兵衛様を煩わせるなど…お前でなければ即叩き起こして斬滅しているぞ。」
「・・・むぅー。」
「フン、何だ?夢で私に意見する気か?」
「み…。」
「ほぅ…?」
「つな…。」
「・・・。」
身体を少し捩り、youの頭が三成の腹部に近づく。
それは意見する…というよりは、甘えるような動作を彷彿とさせ、思わず心拍数が上がる。
膝に頭を預けるyouが子どもか猫のように思え、成程これは半兵衛があんな表情をしていたのも頷けると密やかに思う。
ともすれば、自然と手が伸びてしまうわけで…気付けば、三成の長い指は彼女の髪を優しい手つきで撫ぜていた。
「何故だ。」
「んー…。」
「くそっ…………和む…。」
「んぅ……う…?」
「…っ…!」
「・・・・。」
「・・・ぅ…//」
歯痒く、もどかしくも、えも言えぬ幸福感に満たされていた三成。
もう暫らく続くと思われたが、突然のyouの目覚めによってそれは阻まれた。
微かな唸り声を上げた後、うっすらと開かれた瞳…。
そこに三成の姿を映すと、youは目を軽く擦りながらゆるゆると起き上がる…。
「みつなりさん・・・?」
「そっ…うだ。」
「・・・ゆめ?」
「いや…夢、では…。」
「みつなりさん、だぁー…。」
「っ…?!//」
ぱふ、と…衣擦れの音がして、正面から三成に抱きついたyou。
その状況に対し、彼女の背に素直に腕を回していいものか三成が悩んでいる中でも、
寝惚けるyouのアクションは次の段階へと進む。
彼女は三成の首筋に顔を埋め、小鳥のように三成の首を啄んだ。
「な…っ?!//」
「ん…ぅ。」
「な、何を…!//」
ちゅ、ちゅ、と…ゆるい口付けが幾度となく繰り返され、
それに満足したように首筋から顔を離して寝惚け眼で三成を見上げる…。
にへら、と…締りの無い笑みを浮かべ、youはキスを強請る様にそっと目を閉じた。
それを目にしたところで、未だ軽く動揺する三成の喉がコクリと鳴り、吸い寄せられるように口付けを落とす…。
「ふ…っ…。」
「ん…//」
「ぁ…ふ、ぁ…//」
「・・・。」
「みつなり、さ…//」
「・・・you…。」
「ゆめ、なの。」
「夢ではない。」
「ウソ……だよ、だって…。」
「・・・。」
「すごく、しあわせ。」
「・・・貴様は夢でしか幸せになれんと言うのか。」
どうやら、少しずつ目が醒めてきたようだ。
舌足らずな言葉も少しずつ消えはじめ、三成を見つめる瞳も虚ろなものではなくなってきている。
ふるふると首を横に振り、youは否定の意を示した。
「三成さんの…傍にいれれば……わたしは、しあわせ。」
「・・・フン。」
「・・・夢でも傍にいれるなんて…しあわせー…。」
「夢ではない、私は此処にいる。」
「うーん…?」
「此処に、在る。」
「ん…ッツ…!//」
噛み付くように深く口付け、三成はyouをひとしきり蹂躙する。
再びyouが酸素を肺に取り入れた時にはハァハァと呼吸と心拍数が跳ね上がっていた。
「みつな……さ、ん…ハ…ぁ…//」
「夢ではない、youの唇は、とても甘い。」
「は…っんんッツ!!///」
更に、口付ける。
「ふぁ…っ!まぁ、まって……あの!//」
「煩い。」
「これ、夢じゃない。」
「夢でないと、先程からずっと言っている。」
「わたし、寝惚けてた……ですね。」
「ああ。」
「わ、忘れてくださ…//」
「無理だな。」
「うわぁあああ///」
「貴様が寝惚けていようがいまいが知らんが……お陰でこちらは気が高ぶって抑えが利かん。よって…。」
「いやいやいや!ちょちょ、ちょっとま…!//」
「今から私の相手をしろ。拒否は認めん。」
「いい、一応聞きますが、ああ……相手、とは~…?」
「・・・私を、鎮めろと言ったのだ。」
「う…ぁ…//」
それが何を意味するか、理解するのにそう時間は掛からない。
なぜならば三成の瞳が真剣と書いて「マジ」と読む状態だからだ。
それ以上何も言及できずに母音を繰り返すyouを、三成は更に崖っぷちに追いつめる。
「釈明は考え付いたか?……だが、聞く気も無い。」
「そ、そんな!」
「当然だ。寝惚けていた時の記憶はあるのだろう?よって言い逃れはできん。違うか、you?」
「違いません…ハイ…。」
「ほぅ……珍しく素直ではないか…。」
「うー//」
「伽の最中でも私に従順にしていろ、可愛がってやるぞ?」
「なっ?!や、やっぱり夢だ!三成さんはこんな事言わないもん!絶対ゆ、夢だー!」
「夢かどうかは、繋がれば分かる事……行くぞ。」
「ぴぎゃぁああああ!!!!!」
情けない悲鳴など気にも止めず、三成はそのままyouを抱きかかえて部屋を出る。
やはり夢ではなかったと、youが三成に無理矢理納得させられるまであと数分…。
春に寄す
春にきす
春にキス!
半兵衛
(秀吉、いるかい?)
秀吉
(ん、どうした半兵衛?)
半兵衛
(いや、ちょっと…暇になってしまったからね。)
秀吉
(珍しいな。)
半兵衛
(ふふ、さっきまではyou君の膝枕役という役割がちゃんとあったんだけどね。)
秀吉
(お前がか?また面白いことを…。)
半兵衛
(けど…それもさっき、暇を貰っちゃってね。)
秀吉
(起きたのか?)
半兵衛
(いや、三成くんが来た。)
秀吉
(ほぅ…。)
半兵衛
(譲ってあげた…ってことにしようかな?)
秀吉
(違うのか?)
半兵衛
(だってさぁ…寝言でも三成君の名前ばっかりなんだもの。)
秀吉
(っは!それは何ともまぁ…譲るしかないな。)
半兵衛
(つまり、そういうこと。)
words from:yu-a
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