君子殉凶キミに恋する / トリップ
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分かった事はひとつ
わたしが貴方に会いたい時
貴方もわたしに会いたい
留守番の後
日の本の全てが豊臣政権下に置かれる日はそう遠くないだろう。
大阪城でそういう話を兵がしているのを最近youはよく聞いていた。
そもそも、youがこの世界に来た時には既に殆どの国を豊臣が掌握しつつあったため
秀吉はもちろん、半兵衛や三成や大谷が戦に出ることはあまり無かった。
特に、三成と恋仲になってからは戦で離れたことは一度も無かった。
しかし、ここ数ヶ月で天下統一を間近にし、
半兵衛の案で有能な武将である三成や家康、大谷などを出陣させることとなっていた。
領地制圧のために、未だ豊臣傘下に入らない国に一気に畳み掛ける作戦を実行したため、
youは大阪や佐和山の城で彼等が戦から戻るのを待つ日々が続いていた…。
「you様、三成様から文が届きましてございます!」
「わ!ありがとうございます!!」
佐和山城で石田家に仕える兵が遣って来て、youに三成からの手紙を渡す。
嬉しそうにそれを受け取り、部屋に戻ったyou。
いそいそと開封し、手紙を広げる。
薄い半紙に流れるような文字が何行もバランス良く続いていて、
読めはしないが三成がとても美しい字を書いていることが分かった。
すぐに、近くを通りかかった女中を呼び止めて、手紙の内容を尋ねてみる。
「あのっ!すみません!」
「はい、どうされましたか、you様?」
「これ、中身を読みたいんですけど…わたしには達筆過ぎて読めないんです、教えてくれますか!?」
「これは…文…?」
「はい!」
「読み上げてもよろしいので?」
「是非、お願いします!!」
「では、失礼して…。」
女中を部屋に招きいれ、手紙を読み上げてもらう。
youへ
息災にしているか?
お前は自分の身を顧ず行動するから、風邪や怪我をしていないか心配だ。
それに加えて、すぐに城を出たがるから、周囲に迷惑をかけないよう心掛けろ。
人に書状以外の文を送ったことなどないから、何を書けばいいのか分からん。
ただ、こちらの状況は滞りないから安心しろ。
秀吉様が真の天下人となる日はもうすぐそこだ。
彼の元で仕える事ができることを私は誇りに思う。
この戦はもうすぐ平定されるだろう。
終わり次第すぐに戻る。
私のいない間、佐和山の城を任せたぞ。
三成
「うわ、三成さんらしい…真面目なお手紙ですね。」
「え…ええ、そうでございますね。」
「もっとこう、甘い感じのを期待したんだけど…まぁ、しょうがないか、三成さんだし。」
「甘味でございますか?」
「あーいや、違います…何て言うのかな…。」
「おや、何か別の紙が挟まっていたようでございますよ。」
「別の紙?」
「これもyou様宛に三成様からのようです。」
「何で2枚も…。」
「ひとりで…一人で読むよう書かれております。」
「ひらがなですかね…。」
「中身もそうなのではないでしょうか?」
「んー、分かった、じゃぁがんばって一人で読んでみます!」
「では、私はこれで。」
にこりと微笑んで、女中は部屋を去っていく。
一人部屋に残り、youは三成からのもう一通の手紙を広げた…。
「えーと…なになに…。」
追伸
ひらがなしか よめないばかのために これをかく
「馬鹿って!漢字も読み書きできますよ!ただ、この時代の文字は読めないだけなのに!」
ブツブツ一人で文句を言いながら、本文を読む…。
あつくなるじきだ
いつもいじょうに
たいりょくにきづかえ
いいな?
「…わたしの心配ばっかり。」
微かに苦笑を浮かべて手紙を眺め、そう呟いた。
態々手紙を書いてまで自分を気遣ってくれる三成の優しさが嬉しい
ただ、それ以上に自分の方がずっとずっと三成を心配しているのだとも考える。
相手は武将、戦地に赴いて死と隣り合わせの今を生きているのだ…。
それを考えれば考えるほど、寂しい気持ちは募るし、無事を確認できないことに恐怖さえ覚えた。
「三成さん……会いたい。」
じわりと涙が浮かんで、手紙の上へと零れ落ちた。
水を吸収して墨が滲んでいく…。
「ああっ!手紙がぁ~!!」
慌てて手を伸ばせば、滲みは更に横に広がってしまった為
youはそれ以上手を出す事ができず、滲んだ部分は諦めて乾くのを待つことにしたのだが…。
「あれ…?これ…頭の部分……「あ」い、た…。」
三成が手紙に込めた真意に気付いたyou。
行の一番先頭だけを繋げていけば『会いたい』と…。
手紙を改めて見つめなおすことで、三成の隠れたメッセージを見つける事となった。
気付いてしまえば、気持ちが抑えられず溢れてくれるのは至極当然のことで、
次の瞬間にはyouはボロボロと泣き出してしまった。
・
・
・
・
どれくらい時間が経ったのだろうか…。
あれからyouは泣き疲れて眠ってしまい、
陽は暮れる間近、夕闇が迫っていた。
夕餉に呼びに来た女中は寝ているyouを起こす事はしなかったようで、
youは未だ部屋の中で眠っている…。
そして今、youの部屋に一人の男が入ってきた。
「・・・何だ、寝ているのか。」
眠るyouの傍らに腰を下ろし、そっと頬に手を伸ばす。
指で軽く撫でると、くすぐったかったのか体勢を変えて、かすれた声で小さく唸った。
彼女が動いたことで男はその手に握られた紙を見つける…。
見覚えのある小さな半紙が自分の書いた文だと気付くのにそう時間はかからなかった。
「今日届いたのか……もう少し早く戦を終えることができていれば不要だったというのに。」
「ん…。」
「・・・。」
「んん……?」
「起きたか。」
「みつ……な、りさ…?」
「ああ。」
「え・・・?」
「今帰った。留守中何も変わった事は無かったか?」
「・・・。」
「…you?」
「・・ゆめ?」
「夢ではない。」
「・・・本物?」
「本物も偽者もあるか、貴様は馬鹿か。」
「三成さん…。」
「何だ。」
「三成さん?三成さんなの?ホントに三成さん?」
「だから…。」
「う…ぅう!」
「!」
のそりと起き上がり、youはそのまま三成に抱きつく。
背中に腕を回し、抱きしめ返してやると一層大きく泣き出した。
「うー!みつなりさ…んっ!みつ、な…あいた、かった…っ!」
「・・・すまない、少し…遅くなった。」
「無事で…よかっ、た。」
「私が負けるはずなどない。」
「ぅん。」
「you……待たせた。」
「うん、うん……おかえりなさい…。」
「…文は、今日読んだのか?」
「うん……読んだら、三成さんがいなくて寂しくて、怖くて…。」
「・・・。」
そっと身体を離し、対面で座す。
再び泣き出したyouの頬に手を伸ばし、その涙を拭ってやると
泣き腫らしたような目で三成を見上げてきた。
「三成さん…あいたかった…。」
「・・・ああ。」
「手紙、涙で滲んじゃったんです…ごめんなさい。」
「構わん。」
「三成さん。」
「なんだ?」
「三成さんも、会いたかった?」
「…っ……どういう意味だ?」
「そのまま。わたしに、会いたかったですか?」
「・・・・。」
暫くの沈黙ののち、常らしからぬ優しい手つきでyouの頭を撫でながら三成は囁いた。
「・・・会いたかった。」
「…っ…!」
「ずっと……youに。」
「…わたしも。」
「触れたかった。」
言いながら三成はyouを抱き寄せ、首筋に唇を這わせた。
いつもなら雰囲気を壊すために三成の気を逸らすyouだが、
くすぐったそうな声を上げて、自ら三成の背に腕を回す…。
首筋から顔を離し、視線を合わせたところでyouは潤んだ瞳で微笑んだ。
「……わたしもです。」
そう言えば、すぐさま振ってくる口付け。
ほんの少しだけ驚いた顔を浮かべたものの、youは三成を享受した。
会えなかった日々の分を愛すると鬼畜めいた言葉が三成から飛び出し、
youが驚愕するまであと数分…。
離れた分
繋がっていたいと言う
you
(ん…ぅ…。)
三成
(…you…。)
you
(…みつな…。)
三成
(まだ早い…眠いならまだ寝ておけ。)
you
(…やだ。)
三成
(何故だ?)
you
(三成さん、戦行っちゃうから…眠って傍にいなかったら、嫌だから…。)
三成
(・・・。)
you
(眠らない…よ…。)
三成
(私は…何処へも行かない。)
you
(・・・?)
三成
(まだ今は…youの傍にいる。)
you
(ほんと…?)
三成
(私は嘘は好かん。)
you
(でも、また、戦…ありますよね?)
三成
(・・・そうだな。)
you
(そのときは、行きますよね。)
三成
(ああ。)
you
(ほら…。)
三成
(そうだな……だから、今は…。)
you
(ん?)
三成
(それまでは…。)
you
(それ、までは?)
三成
(次の留守分を補充しておくことにする。)
you
(え……っぁ!?//)
words from:yu-a
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