君子殉凶キミに恋する / トリップ
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何もかも
捧げることはできません
恋を問ふ
ふとした瞬間に、三成は疑問に思うことがある。
それは彼女を疑う、ということに似ているのかもしれない。
彼女は皆に優しい。
彼女は皆に微笑む。
彼女は皆に好かれる。
そしてそれに彼女は気付いていない…。
それが三成の気を苛立たせる原因なのだろう。
今日も今日とて家康や官兵衛、如いては足軽の一兵卒に至るまで
沢山の人物と楽しそうにコミュニケーションを取っている。
「そうなんだー、それは辛いですねぇ。」
「だぁろ?!youは小生の気持ち、分かってくれるか?」
「はい…毎年のおみくじが「凶」だなんて、絶対嫌です。悲しいです。」
「お陰様で小生は毎年ツいてないわけよ。」
「わたしだったら来年から引くの止めますね。」
「そうはいかん!いつか大吉を引くまで小生は諦めん!」
「そっかぁ~、頑張ってくださいね!」
「おう!」
にっこり笑顔で官兵衛に手を振るyouの姿を見て、思わず舌打ちをする三成。
角を曲がった時に背後から官兵衛に思いっきり蹴りを入れれば、
彼はそのまま庭まで吹っ飛んだ後、ドボンといい音を立てて池に落ちる。
そこまで力を込めたつもりは無かったが、これも奴の運の悪さ故、致し方無いと勝手に解釈する三成であった。
それと同じ要領で家康と話をしたり、兵士や女中達と談笑をして過ごすyouを見る度、
三成は例えようの無いイライラを抱え、それを見事に模したオーラで一日を過ごす…。
夕餉の後、部屋に戻る際に大谷に「今日のぬしはいつにも増して凶王染みている」と声を掛けられた。
「般若の面は常日頃の事であるが、今日のぬしは特に不愉快のようだ。」
「私は普通だ。」
「youと会話をした後で、黒田が背後から闇討ちに遭ったらしい。」
「易々と背後を取られるなど、武士としての自覚が欠如している証拠だ。」
「徳川はyouと茶を飲んだ後にぬしと大喧嘩をしたと言っていた。」
「あれは奴が悪い!私が秀吉様からいただいた手拭で床に溢した茶を拭いたのだ!」
「ふむ、あとは刀の稽古中youに怪我の手当てをしてもらった足軽は、ぬしから直々に剣を習ったが今日は飯も喉を通らんくらいに疲れ果てておると聞いた。」
「軟弱な兵は豊臣に必要無い。」
「そういえばyouの髪を結ってやった女中はぬしから褒めの言葉をもらったと驚嘆しておったが。」
「・・・秀吉様によく尽くしていると思ったからだ。」
「あれはyouの世話役で、石田家の女中であろ。」
「・・・。」
「どれもこれもyouに関わりおる、なんと摩訶不思議なことか。」
「刑部・・・。」
「ん?」
「…何が言いたい。」
「特に。何も。」
じーっと、(彼の場合はデフォルトかもしれないが)睨むように大谷を見つめた後、
三成は「私は普段と変わらん」と捨て台詞を吐いて歩き出した。
無二の親友はというと、それは至極楽しそうに
恐らく不機嫌の源に会いに行くのであろう三成の、その背中を見送るのだった。
・
・
・
・
「youッ!!」
「?!」
スパーン!と襖が開かれ、部屋の中に居た恋人が驚いた表情で三成を見た。
いつにも増して不機嫌そうな顔とオーラにyouは嫌な予感がしたが、
宥めるためにも、穏便に事を運ぶためにも1トーン高い声で、できるだけ丁寧に声を掛けた。
「ど、どうしたんですか…三成さん?」
「貴様は…。」
「はい・・?」
「どれくらい私を好いている。」
「はっ?」
唐突に投げかけられた、凶王らしからぬ質問に思わず素っ頓狂な声を上げるyou。
その反応が気に食わなかったのか、三成はガシッと彼女の双肩を掴んでもう一度問うた。
「だから!貴様はどれくらい私を好いているのだと聞いたんだ!!」
「唐突にどうしたんですか、そんなこと……どっかで頭でも打ったんじゃ…。」
「何処にもぶつけてなどいない!いいから答えろ!」
「ええっと……えと……い、いっぱいです、よ?うん。」
「具体的に。」
「具体的に…って、たとえば??」
「例えば……。」
逆に尋ねられることとなり、三成は暫し思い悩む…。
ただ、それはほんの1、2分程のことで、話題が逸れないくらいのタイミングで彼は考え付いたことを口に出した。
「例えば、貴様は私に何を捧げられる?」
「え?」
「お前の持つ全てのもので、どれくらい大事なものを私に捧げる事ができる?」
「うーん…。」
「貴様が昼過ぎに女中共に貰っている菓子等の類は無しだぞ。」
「何と!」
「驚くな!!しかもそんな物は要らん!」
「えー!」
却下されなければ普通にそれを捧げると言うつもりだったらしいyouの反応に三成の怒りは頂点を迎える…。
「貴ッ様ぁ……私がどれだけ貴様を…!!」
「ぴゃぁあああ!!ばばば抜刀ダメ、斬滅ダメ、絶対!」
「安心しろ、斬滅ではない、斬首だ。」
「死ぬわぃ!!」
「くだらんものを差し出すつもりだった過去の自分を悔いろ。」
「ごべんなざいぃいい!!」
謝罪の声色が、三成の嫌いな人物ワースト3に入るであろう小早川を彷彿とさせ、
イラッときたのだが、流石にそんなことで人ひとり…ましては自分の恋人を殺めるなどできるわけがない。
三成は刀を納刀し、怯えるyouの頬をぎゅっと抓った。
「ひ、ひはひ!!」
「…あまり私を怒らせるな。今日の私は頗る機嫌が悪い。」
「(それっていつものことなんじゃ…)」
「何だ。何か言いたげだな…。」
「い、いえ!何も!」
「・・・。」
「ひ…ひふはひはん?」
涙目で三成の顔を見つめると、彼はスッと頬から手を離し冷ややかな視線で彼女に問う…。
「本当に私を好いているのか?」
「う、うん…。」
「その言葉にどれくらいの覚悟があるのか…。」
「あります、よ!だって、わたし、三成さんのこと、大好きです。」
「・・・。」
「?」
三成にとって、それは決して気に食わない答えではなかった。
ただ、彼女が自分を想う大きさと、自分が彼女を想う大きさが等しいと思えなかったのだ。
等しいと思っていれば、彼女を取り巻く全てのものに嫉妬など抱かない…。
そう、大変偏った恋愛感情が三成の考えだった。
「だったら……私が両手を捧げろ、と言ったら……。」
「え・・?」
「貴様はそれを捧げるか?」
「みつなりさん…?」
とんでもない質問が飛び出したと思い、youが恐る恐る三成の顔を見れば、
声色とは裏腹に、何とも言えない…困ったような表情を浮かべている。
恐らく自分では威圧的に尋ねたつもりだったのだろう、
ただ、それは珍しく隠しきれてなかっただけのこと…。
youは苦笑した後、愛しむような声で答えた。
「それはできません。」
「何っ?!」
そっと、両腕を伸ばしてyouは三成の首根っこに抱きつく。
「両腕が無いと、三成さんにぎゅーっと抱きつけなくなるもの。」
「・・・。」
「ねー。」
「・・・では…両足を捧げろ、と言ったら?」
「だめ。三成さんを見掛けた時にすぐに駆け寄りたいから。」
「・・・では両目だ。抉り取って差し出せ。」
「イヤ。三成さんの綺麗な顔を見れなくなっちゃうじゃないですか。」
「・・・鼻を切り取れ。」
「無理!抱きついたときに三成さんの匂いに包まれるの、わたしの幸せなんですよ。」
「・・・口。」
「口が無いとご飯もお菓子も食べれません!」
「・・・そこにきて食欲か、貴様…いい度胸だ、覚悟はできて…。」
「拒否。きす、できなくなるの…いや、です。」
「・・・・。」
そこまで完璧に答えられて、誰がそれを処罰できるだろうか…。
答えは否。
三成はyouの背に腕を回し、身体をぎゅっと抱きしめた…。
「・・・では、貴様が私に捧げられるものは何も無いのだな。」
「ううん、あるよ。」
「・・・それは何だ。」
「わたしの心、三成さんにあげたよ。」
その献上物は卑怯だと、顔を赤くした三成がふっと微笑む。
勿論見られないようにyouの首筋に顔を埋めて。
そういえば
随分前に貰っていた
you
(ねぇねぇ、三成さん。)
三成
(何だ…。)
you
(今日はどうしてそんなに機嫌が悪かったんですか?)
三成
(き・・・貴様が知る必要は無い!//)
you
(えー…気になるなぁ。)
三成
((youに絡む者共に嫉妬していた、など…この私が言えるか!))
you
(あ、じゃぁ、三成さんは?)
三成
(あ?)
you
(三成さんはわたしに何くれますか?)
三成
(その言い方は趣旨が違う気がしてくるが…私が貴様に捧げられるもの、か?)
you
(はい!)
三成
(そうだな…。)
you
(うんうん…!)
三成
(・・・ほしいか?)
you
(え?あ、うん、ほしいです!あ、でも腕とか足とか要らないんで。)
三成
(安心しろ、もっと悦ぶモノだ。)
you
(あれ何か今意味合い違う何かみたいな。嫌な予感しかしないんですけど。)
三成
(望み通りくれてやろう、you。)
you
(ひゃ、ち、ちょっと待ってくださ…!)
三成
(どうした、欲しかったんだろう?私の…)
you
(強制自主規制ーーーッツ!)
三成
(煩い。黙って捧げろ。)
you
(捧げてないじゃないですかー!)
三成
(ああ、間違えた。捧げてやる。)
you
(態とだ!絶対わざとだ!!)
words from:yu-a
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