君子殉凶キミに恋する / トリップ
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遥か遠い海の彼方
辰巳の方角
または海の底、地の底に
その異界はあるという
ニライカナイより愛を謳う
季節は春を過ぎ、新緑が芽吹く明るい季節に差し掛かった頃。
花見以降特に何のイベントも無く、退屈してきたのだろう、
事あるごとにyouは三成に企画提案を行っていた。
花見や雛祭りはまだしも、半兵衛と大谷に「豊臣大運動会を開こう!」と言い出した時は流石に強制的に口を塞いだ。
そして、今…。
「三成さん、三成さん。」
「何だ。」
「何処か行きましょうよー、何かしましょうよー。」
「断る。」
「やっぱり豊臣大運動か…。」
「それ以上言うな、斬滅するぞ。」
「うう・・・。」
自室で机に向かう三成にひとしきり声を掛け続け、全て「却下」と「拒否」を賜り、
最終的に今「斬滅」という返事までいただいたという結果。
暫し黙った後、しょんぼりした顔で後ろに下がったyou。
やっと落ち着いたのかと思い、改めて机の上の書状に目を向ければ
三成の背中にトン、と暖かな体温が広がった。
背中合わせに座り込み、youは呟く。
「海…行きたいな、沖縄とか。綺麗な海。」
「おきなわ?」
「んーと、こっちだと…琉球?」
「遠い。」
「えっ、じゃぁ近いトコならOKなの?!」
「そういう意味ではない!」
「むぅー…。」
背後にいる為表情は見えないが、恐らくは口でも尖らせているのだろうと安易に想像できるyouの反応。
「では兵を連れて琵琶の海にでも行けばいい。」
「琵琶湖は海じゃないです。」
「知っている。」
「それに、三成さん以外の人と行ったって、意味無いです。」
「・・・・・・。」
「あ!家康さんにお願いすれば、忠勝さんの背中に乗せてくれるから、琉球へも一っ飛びですよね!おお!ナイスアイディア!」
「なっ…き、貴様!たった今私と行くことを望んだではないかッツ!!」
「え…だって無反応だったし、閃いちゃったんで。」
「とっ、とりあえずそんなのは却下だっ!//」
「むぅー…けち。」
「兎に角!ダメだ!特に家康ゥ!」
「どうしてですか?」
「何故て……どうしてもだ。」
「何でダメかなぁ!家康さんは友達じゃないですか!わたしを旅先で置き去りにして帰ったりしない人ですよ!」
「友ではない!秀吉様の下、共に仕える「ただの」同志だ!そしてその言い草だと家康は置き去りにしないが私は貴様を置き去りにするようではないか!!」
「こないだ京の帰りで置き去りにされたし。」
「あれは貴様が立ち寄った茶屋の団子に最後まで執着しているからだ!それにちゃんと先の路で待っていてやっただろう!」
「それは…そう、でしたけど…。」
「フン。」
其れ見ろ、私が正しい…というようなドヤ顔でyouを見下ろす三成。
しかし、話が見事にすり替わっていることに気付き、youもすかさず反論する…。
「って、そういう話じゃなかったハズですよ!」
「チッ…。」
「舌打ち?!やっぱり確信犯だったんですね?!」
「そういうわけではない!」
「じゃぁどういうワケですか!」
「そ…それは・・・・。」
「・・・?」
急に押し黙ってしまった三成をyouは不思議そうに見つめる…。
口篭った後、何故か急に立ち上がり部屋を出て行こうとするものだから、
思わずyouも立ち上がって三成を引き止めるべく着物の袖を掴んだ。
「ちょっと三成さん!まだ話の途中じゃないですか……って、顔、赤っ!!」
「う、五月蝿い!黙れ!//」
「だ、大丈夫ですか?!風邪引いてたんですか?!熱上がってきたんですか?!」
「いや…そういうわけでは…。」
「どうしよう、ごめんなさい!わたし全然気付かなくて……喧嘩腰に…。」
「いや、だから違…。」
「とと、とりあえずネギ取ってきますッツ!!」
「要らんッ!誰が巻くかそんなもの!」
「でで、でも!」
「動転しすぎだ馬鹿者……私は熱も無ければ風邪でもない。」
「そ、なんです、か?」
「ああ。」
未だ動揺しているyouに、思わず素直に笑いが込み上げる…。
それを微かにフッと息を吐くのみに留め、三成はyouの髪を軽く梳いた。
「…いつか、秀吉様が天下を治め、泰平の世になれば…。」
「うん?」
「私が何処へだって連れて行ってやる。」
「・・・っ…ほ、本当?」
「私は嘘は好かん。」
「じゃぁじゃぁ、いつかニライカナイに連れてってくださいね!」
「にらいかな…?」
「『ニライカナイ』琉球に伝わる幻の楽土です!その理想郷にも、連れてってくれますか?」
「…琉球の桃源郷か…いいだろう、私が探し出してやる。」
「…っ!」
「だから、家康などに軽々しく頼むな……//」
「・・・うん。」
つまり焼きもちを妬いていたのだという、分かりやすい三成の答え。
これ以上の茶々は喧嘩の元だと理解するyouは、
何も言わずただ嬉しそうに笑って、三成に抱きつくのだった。
きっと此処こそが
まごう事無き理想郷
家康
(さぁて、そろそろ三河に戻るとするか。)
you
(三河って、愛知県らへんですよね…いいとこですか?)
家康
(ん?ああ!勿論だ!沢山美味いものもあるしな!)
you
(美味しいもの!)
家康
(ああ!海老や烏賊、抹茶もいいのがあるし、田楽などは八丁味噌に付けると絶品だ!鰻料理も名物だな!)
you
(エビ!イカ!抹茶にお味噌に鰻!!)
家康
(youも一度来てみるといい!三河はいいところだぞー!)
you
(行く!行きたい!)
家康
(忠勝に乗せてもらえば一っ飛びだし、ワシと三河まで小旅行でもしてみるか?)
you
(したいしたい!)
家康
(じゃぁ、三成に許可貰ってこないとな。)
you
(はっ!そ、それは…。)
家康
(ん?)
you
(こっそり行かないと多分外出許可降りないと思…)
三成
(駄目だ。)
家康
(三成!)
you
(まだ何も言ってないのに!!)
三成
(許可は出さん!許可無く外出することも却下する!)
家康
(土産買ってくるから、許可してやってくれよ!)
you
(そうそう!)
三成
(土産など要らん!)
you
(うう~!行きたいですー!!)
家康
(うーん…そうだ!そんなにyouを一人で行かすのが嫌なら、三成も一緒に来ればいい!)
三成
(んなっ?!)
you
(ナイスアイディア!家康さん!)
家康
(そうと決まれば早速太閤殿に三成の三河視察の許可を貰いに行かねばな!)
三成
(わ、私は行かんぞッツ!)
家康
(太閤殿の命でもか?)
you
(秀吉さんのお願いでもですか?)
三成
(貴ッ様等ぁああ…行けばいいのだろう、行けば!!//)
words from:yu-a
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