君子殉凶キミに恋する / トリップ
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吉星があ奴だとすれば
やはり私は凶つ星なのだろう
それでもあれは
ずっと変わらず傍らに寄り添うのだろうか
凶星にきす
「今日はさぞ美しい夜になるだろう」と、刑部こと大谷吉継は言った。
「どうして?」
「主は星が好きか?」
「うん、好き!」
「ならば月は?」
「大好き!綺麗だから。」
「三成のようにか?」
「うん!……て、何で!」
「違うか?」
「ちが……わんこともない…け、ど。」
「ヒヒッ…どちらも、互いに、遠まわし。愉快ゆかい。」
「?」
youの答えが気に入ったのか、楽しそうに笑う吉継。
彼の心が読み取れず、不思議そうにyouは首を傾げた。
「んと、それで、どうして今日は美しい夜になるんですか?」
「ああ、そうであった。」
「うん、気になります。」
「今日は月が満ちる日だからだ。」
「え!今日は満月なんだ!そっかぁ!それはいい夜ですね!!」
「日が落ちるのが遅くなったとはいえ、まだ夜は冷える。月見も自愛してするよう、心掛けよ。」
「はいっ!ありがとうございます!」
「ではな、我は軍師殿に呼ばれている故。」
「半兵衛さんに?うん、いってらっしゃい。」
youが手を振れば、大谷…というよりは彼が座している御輿がふよふよと宙を歩き出す。
一体どういう仕組みでそれが動いているのか、大谷以外は誰も知らないのだと言う。
否、大谷本人でさえも理解して動かしているのか怪しい。
さて、彼にいいことを聞いたと、youは笑みを浮かべ、三成の元へと向かった。
「三成さーん!」
「何だ、騒々しい。」
大谷が呼ばれたのは将を集めた軍議ではないらしい、
急く様子もなく自室の机に向かっていた三成が不機嫌そうにふり向く。
普段、友人の部屋に入室の許可を確認するような時代に生きる人間ではないyou。
当たり前のように「おじゃまします」で部屋に入り、三成にじと目で睨まれたが
最早「時代の違い」と諦めているのか、特に何も咎める事は無かった。
机で巻物の文書を読む三成の傍に座り、youはじっとその横顔を覗き込む。
「・・・。」
「・・・・。」
「・・・おい。」
「ん?」
コトリ、と…呼んでいた巻物を置き、視線をyouに向ける。
「何の用だ、用が無いのなら出て行け、気が散る、邪魔だ。斬滅されたいのか。」
「怖いですって!用は……無いこともないんですけど…大したことじゃないんですけど…。」
「なら帰れ。」
「ああああそんな!!!」
「大したことが無いなら、言うまでもないのだろう。」
「わたしにとっては大したことなくないんですけど…三成さんにとっては…。」
「大したことが無いと。」
「かもしれません。」
「なら帰れ。」
「ち…ちょっとくらい興味持ってくれたっていいじゃないですか。」
「だったら一体何だ、鬱陶しい!刹那だけ待ってやる、早く言え。」
いつもと違って煮え切らないyouの態度にイライラを募らせている様子の三成。
威嚇され、おどおどしながら、youは口を開いた…。
「き、今日ね、満月なんだって。大谷さんが言ってたの。」
「・・・刑部が。」
「うん、でね、今日は満月で綺麗な夜だから、月見をしようかなと思って。」
「それで。」
「三成さんも一緒にしませんか~?…なんて…。」
「私はそんなに暇ではない!」
「(うわ、言うと思った)」
「何だその顔は。」
「いえ…別に…残念だなぁって。」
「知るか。」
誘いを一刀両断し、再び巻物を手に取って読み始めた。
振り向く素振りの無い三成を見て、軽く溜息を吐きyouは立ち上がる。
「一人じゃ寂しいな…家康さんにお願いしてみよう。」
「!?」
くるりと後ろを向き、部屋を出ようと足を踏み出したところで、
着物の裾が掴まれているのに気付き、その手を辿る。
先には三成がギラついた瞳で自分を睨みつけていた。
「ど、どうしました三成さん?!(目ぇ怖!)」
「…ぜ。」
「え?」
「何故家康を誘う。」
「何故…って、だって三成さんは一緒にお月見できないって言われたから…。」
「・・気が変わった。」
「え。」
「共に月を眺めてやる。」
「え、えっと…。」
「だから家康を呼ぶ必要は無い。」
「でも…。」
「いいか、家康は呼ぶな。」
「あの…。」
「返事は。」
「はっ、はひぃっ!!」
三成の気迫に、youは思わずこの時代には使われない敬礼をビシッと決めて、姿勢を伸ばしてしまう。
かくして望み通り(?)三成と2人で月見ができることになったのだが、
素直に両手放しで喜べないyouなのであった…。
・
・
・
・
夕餉を食べ終え、部屋に戻る頃に陽はもう沈みかけており
寝巻きに着替えた頃には辺りはもう夜の帳を下ろしていた。
はっきりとした時間は分からないが、恐らくはまだ夕刻だろう。
しかしながら、照明が無い時代ということで暗くなるのが大変早いのだ。
部屋にある行灯に火を灯したところで、意外にも早く三成が部屋に現れた。
「あっ、三成さん!いらっしゃーい。」
「能天気な声を出すな、折角の美しい月が台無しになる。」
「え…ヒド…。」
「フン…冗談だ。」
そう言って、くしゃっとyouの頭を撫でる。
言う通り、本当に月が美しいせいか、どこかいつもより纏うオーラが柔らかな三成。
彼に気付かれないようにyouは微かに微笑んだ。
「あっちがとっても綺麗に見えるんですよ!」
「オイ、着物を引っ張るな!」
youは三成の着物をクイクイと引き、ベストポジションへ案内する。
案内した場所に2人で着席すれば、そこから見える夜空に見事な満月が映り込んだ。
「これは…。」
「ね、凄いでしょ?!」
「ああ。」
「明日、大谷さんにお礼言っておこうっと!」
「刑部にか?」
「はい!「今日はさぞ美しい夜になるだろう」って。本当に綺麗な満月!」
「・・・。」
ふいに翳りを見せた三成を不思議そうな顔で覗き込むと、ばちっと目が合った。
そしてぽつりと零すように彼が言葉を紡ぐ…。
「満月は吉星だと、刑部が言っていた。」
「良い星って意味ですか?」
「ああ。」
「そうですね、こんなに綺麗ですし…。」
「そして、その反対に新月は凶つ星だと。」
「まがつぼし?」
「不吉を呼ぶという意味だ。」
「ツキが隠れてしまいますからね~…なんて…ご、ゴメンナサイ。」
小さなオヤジギャグに対し、
至極真面目に『ふざけるな』という厳しい表情で睨まれ、思わず竦み上がるyou。
ふっと目を逸らされ、三成が大きな溜息を吐いた。
「三成さん…?」
「私は、凶星なのだろう。」
「え…?」
「喩えば家康が吉星だとすれば、私は凶星なのだろうと…そう思った。」
「そんなこと、無いですよ…。」
「・・・。」
「それに何か…家康さんは「太陽」って感じなので…月ってイメージ無いですし。」
「いめーじ?」
「んー、印象?まぁ、とりあえず、家康さんは太陽、三成さんが月!が、わたしのイメージです!」
「満月か?」
「みつきです。」
「・・・そう、か?」
「そうです。」
「・・・。」
今度は押し黙ってしまった三成。
逆にyouが口を開いた。
「まぁ、満月だろうと新月だろうと、吉星だろうと凶星だとうと…。」
「・・・?」
「わたしが三成さんを好きだということに変わりはありませんから。」
「・・・なっ…?!!」
「たとえ凶つ星でも、だめと言われるまで傍で輝く星になりたいです。」
「星…。」
「できれば「だめ」と言われても退かない覚悟でいたいですけど。」
「家康なら…アイツならお前にそんなことは言わない。」
「うん…ですねぇ。でも、わたしが好きなのは三成さんですから。」
「・・・家康ではなく、か?」
「はい。」
あっさり告白するyouに少しの動揺が現れている三成。
信じられないというような表情で、念を押す…。
「好いているという意味でか?」
「う…うん…そうですよ?//」
「家康より…誰よりもか?」
「そうですよ…って、何度言わすんですか?」
「何度でもだ。」
「え。」
「言え。」
いつの間にか向き合う体勢になり、月は2人の視界に入らなくなっていた。
互いにじっと見つめあい、youが愛言葉を紡ぐ。
「三成さんが、すき。」
「もっとだ。」
「いちばん好き。」
「もっと。」
「大好き。」
「you。」
「ん。」
「私の傍に居ろ、ずっとだ。」
「うん。」
「いいか、絶対にだ。拒否は認めない。」
返事を待たずにyouの腕を引き寄せ、無理矢理に口付ける。
初めは驚いていたyouも、次第に三成の蹂躙を許していく。
角度を変えて何度も、啄むようにして口付けを交わし
気付けば共に自然と背中に腕を回していた。
どのくらい、という時間が分からなくなったくらいで離れた唇に銀糸の糸が伝う。
呼吸の苦しさから来る切なげな表情で自分を見上げてくるyouに、三成はいつもの平静を保てなくなる。
普段、性欲どころか睡眠や食事も摂取しなくても平気な顔で日々を過ごす三成だったが、
来るところまで来ればやはり自分も人の子だったと頭の中で軽く自嘲した。
「誰でもいいわけじゃない。」
「?」
「それだけ、言っておく。」
「…ん。」
言い方こそ淡白で冷たいものだったが、
言い終えた後にそっと額に口付けてきた行為があまりにも三成らしからぬくらい甘い行為だったため、
youはただ頷いて背に回した腕に力を入れるのだった。
明日はわたしから
凶星にキスをする
you
(ん…。)
三成
(おい、さっさと起きろ!)
you
(ふぁ…。)
三成
(だらしない!秀吉さまとの朝餉に遅れてしまうだろうが!)
you
(った…だって…腰、腰が痛い…。)
三成
(情けない奴め…!しっかりしろ!)
you
(そんな…だってこれ絶対三成さんの所為…。)
三成
(貴様の体力が無さ過ぎるんだ!!)
you
(いや、絶対三成さんの所為だって…。)
三成
(ほぅ…私に意見する力は存分に残っているようだな…。)
you
(え…いや、あの。)
三成
(you。)
you
(・・・はひ…っ。)
三成
(……釈明は考えついたか?)
you
(や!あの…わたしは後で行きますので、先に秀吉さんのとこにどうぞ?どうぞ?)
三成
(だが…聞く気も無い!)
you
(ぃや…ちょっとま……アッーーー!!)
words from:yu-a
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