君子殉凶キミに恋する / トリップ
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あの御方の為であれば
死すことさえも厭わない
あの御方のこと以外など
気に掛ける必要などない
殉教者の恋
それは豊臣軍の宴が開かれた日のことだった…。
「また天下の統一に近づいたね、おめでとう秀吉。」
「うむ。」
東方の地を治める地方領主から軍門に下るとの書状が届き、戦わずして領地を得た豊臣軍。
戦で血を流さずに天下統一に近づき、目出度いことということで小さな宴会を催したのである。
「三成さんもお酒飲むんだね。」
「当然だ。秀吉様に勧められた酒が飲めないはずがない。」
「はいはい。」
「何だその態度は!」
「いえ…別に。」
また始まった、と言わんばかりの顔をしてyouは三成に酒を注ぐ。
そしてすぐに立ち上がり、家康の元へと向かった。
「家康さん、お酌しに来ましたよ。注いでいいですか?」
「you!!ああ、頼む!」
「その様子じゃ、凄く楽しんでるみたいですね。」
「ああ!無駄な血を流さずに済んだのだから、嬉しくないはずがない!」
「そだね…そうだよね!」
「ああ!youも飲め飲め!」
「まぁ、ぼちぼちね。」
「なんだ、つまらん…。」
「えぇ?!そんな拗ねないで!ほらほら、お代わり!」
「おうっ!」
すぐにパッと太陽の笑みを浮かべ、杯を差し出す家康。
若干気分が良くなっているらしい、このままいくと扱いが面倒くさそうだと思い
youはそそくさと家康の元を離れた。
そして次は主催者の元へと行き着く…。
「秀吉さん、半兵衛さん、おめでとうございます!」
「やぁ、you。」
にこりと綺麗に微笑んだ半兵衛にyouも嬉しそうな笑顔で返す。
声を掛け、秀吉と自分の間に座るようにyouを手招いた。
着席し、2人に酌をして秀吉を見上げれば声を掛けられる。
「どうだ、流石にもうこちらの生活に慣れたか?」
「そうですね、大分…秀吉さんがここに置いてくれたお陰で生きれてます。」
「私は特に何もしておらんがな。」
「置いてくださるだけでありがたいです、本当!」
満面の笑みでそう応えれば、強面の顔から予想もできない柔らかな笑みを返され
まるで娘を可愛がるかのように頭をわしゃりと撫でられる。
嬉しそうにそれを受け入れるyouを見て、隣の半兵衛も笑う。
「よかったね、you。」
「はい!」
「でも…豊臣もyouが来てから明るくなった気がするよ、ね、秀吉?」
半兵衛の問いかけに「そうだな」と秀吉が軽く頷く。
そんなことはないのだと慌てれば、間髪入れずにまた半兵衛が口を開く。
「ああ、でも…明るくなったのは主に三成君だろうけど…。」
「え。」
「君の事をとても気に掛けているみたいだね。」
「どちらかと言うと家康さんの方が優しくしてくれますけどね。」
「そうかい?僕等には大事に思ってるように見えるけど……ほら、今だってあんなにじっと君を見てる。」
「え…って(怖ッツ!!目ぇめっちゃ怖ッツ!)」
息子の恋を応援する父と母のように微笑む秀吉と半兵衛。
しかしながらyouは気付いていた…あれは憎悪の目だと。
あれは自分の大好きな秀吉と半兵衛に構ってもらっているわたしへ向けた憎悪の目です!
・・・とは言い出せず。
否…言い出せないくらい黒いオーラを放っている三成に怯えるyouなのであった…。
このまま2人に構ってもらい続ければ、この宴の後に自分の命は無いと悟ったyou。
秀吉と半兵衛にもう一度だけ酌をして、弁解を入れるべく三成の元へと向かう。
「はろう、み…三成さー…ん。」
「・・・。」
「(うわめっちゃ怒ってますやん。)」
「貴様…貧民の分際で秀吉さまと半兵衛様の間に座るなど…。」
「ひ、貧民って!」
「いいか…後で覚悟しておけ。」
「(えぇえええ!!)」
早めに切り上げてきたつもりだったが、時既に遅かったよう。
死の宣告をされ、まともに酒さえ注げなくなる。
怒り心頭な様子の三成の元を俊足で離れ、youは家康に泣きついた。
「うわわわーーん!家康さぁああん!」
「わ!どうした?you?!」
「どどどどうしましょう、わたし、殺されてしまう!」
「誰に?」
「みみみみつなりさんに!」
「ないない。それは絶対に無い。で、何でまた。」
「わたしが半兵衛さんと秀吉さんに優しくされたところを目撃されてしまってぇええ!!」
「あー…なるほどな。」
家康の身体をぐらぐらと揺さぶり、youは必死で訴える。
ふと、何かを考えるようなポーズを取り、暫しののち家康が口を開いた。
「ふむ、それなら大丈夫だ。」
「え!本当?!」
「要は怒りの矛先を別の奴に向ければいいだけの話だ。」
「そ、そんなことできるんですか?」
「ああ、できるさ、簡単だ。」
「どうすればいい?教えてください!」
「それはな、you…。」
「ん?…・・・んんん~?!!//」
ぐん、と家康に両腕を掴まれる。
首元に顔を近付けられ、くすぐったくなったyouが声を漏らした。
「ゃっ…くすぐったい、家康さ…。」
「こらこら、笑ったら失敗するぞ。」
「しっぱいって…え?」
「イエヤスゥ貴様ァアア!!!」
「うん、普通に成功だったな。」
ぱっとyouから手と顔を離し、般若のような形相で遣って来た三成に笑いかける家康。
「どうした三成?顔が面白いことになってるぞ。」
「誰が面白いかッツ!」
「あーそうそう、youなんだが、ちょっと気分が悪いみたいでな。」
「なにっ?」
「一人で部屋に戻れるか聞いていたんだが…。」
「チッ…世話の焼ける。」
「仕方ないからワシが連れて行こうかと…。」
「いいっ。」
「え?」
「行くぞ、立て、私の手を煩わせるな!」
「み、三成…色々無茶苦茶言ってるが自覚…は、無さそうだな。」
無理矢理youの腕を掴んで立たせる三成の顔は赤く、どう見ても素面には見えない。
恐らく先ほどyouが秀吉たちと話している間、自棄気味で酒をあおっていたのだろう。
若干危なっかしく、ふらりとした足取りで三成とyouは2人、宴の間を出て行った。
・
・
・
・
「あ、あの三成さん、ここわたしの部屋じゃないですけど。」
「・・・。」
「三成さん?」
「煩い。ちょっと、間違えた。」
「ちょっとって…ここ三成さんの部屋じゃないですか…。」
「you!」
「はひっ!!?」
「上がれ。」
「それより……お水持ってきましょうか?」
「要らん!」
「さいですか。」
無垢な親切心をズッパリ切り捨てられ、ムッとしながらyouは三成の部屋へと入った。
女中が既に布団を敷いており、この酔った三成には有難いことだとyouは思う。
「三成さん、布団敷いてありますよ、もう横になったらどうですか?」
「私に指図するな!」
「あのねぇ…。」
「そんなことより貴様!」
「え?」
「そんっなに家康が好きなのか?!」
「はぁ?」
「抱きつくくらいに好いているのかと聞いてるんだ!」
「あの…三成さん大丈夫です?かなり酔って…。」
「家康ゥウ!貴様には何も渡さない!」
「・・・。」
なんだ、ただのライバル心から来た言葉なのかとyouは呆れた表情で溜息を吐いた。
しかしながら、それはとんだ間違いだったようで…。
「youッ!」
「は、はい?!」
「家康なんかのものに…なるな馬鹿者。」
「そんな、人を物みたいに言わないでくださいよ…。」
「貴様は私が見つけてここに連れて来た。」
「はい。」
「故に貴様は私の物、秀吉様の物。」
「はい…っじゃないよ!何だそのジャイアニズム!!」
「煩いッ!拒否は認めない!」
「横暴だ!」
「黙れ!」
「拒否を拒否ですっ!」
「知るか!」
「っえぇ?!」
唐突に…何の兆しも前触れも無く、三成がyouを抱きしめた。
驚きで目が点になっていると、一層強められた腕の力。
「…you。」
「は、い?」
ゆっくりと身体を離され、向き合う…。
酒の所為か上気した頬と少しだけ潤んだ瞳を浮かべる三成には只ならぬ色気が漂う。
「み…みつなりさ、ん?//」
「・・you…。」
「うん…。」
「家康なんかより…私のほうが…。」
「ん?」
「youのことを好いている。」
「・・っ…?//」
突然の告白に目を丸くしたのもつかの間…。
三成はすぐに苦悩の表情を浮かべる。
「私の全ては秀吉さまの為に在る「物」だというのに!」
「・・・。」
「本当は、豊臣の…秀吉様を思うためだけの心だというのに!」
「三成さん…。」
「なのに何故……貴様が其処に住まうのだ…。」
「・・・。」
「退け。」
「え"ぇ?!」
「往ね、去れ、死ざれ、散れ、消えろ…私の中から…。」
「あの…。」
「好きだ。」
頬にするりと手が伸ばされ、何事かと思えば近付いてくる三成の顔。
そのままふわりと口付けられた。
幾度と無く角度を変えて続けられたそれの後、ゆるりと唇が離される…。
「・・・。」
「み・・・。」
「・・。」
「みつなりさ…。」
「寝る。」
「え。」
虚ろな目で真っ直ぐyouを見据えてそう言い、
三成はもそりと布団の中へ入っていった。
取り残されたyou…。
「・・・なにこれ。」
まさかの放置に唖然とするyouであったが、
ものの数秒で寝息を立て始めた三成に近づき、その端正な顔を覗き込む。
いつもの自分を見失う程に泥酔する三成はとても貴重だと、youは思う。
それと同時に色々と複雑な気分になってくる。
「色々と…どういうことですか、ですよ三成さん。」
「・・・むぅ…。」
「寝顔は天使なのになぁ……明日になったらまたいつもの三成さんなんだろうなぁ。」
「・・・。」
「明日になったら……。」
そっと手を伸ばし、三成の柔らかな髪に触れた。
「明日になっても……わたしのこと、想ってくれますか?」
そう問うても返事は無く、しん…と静まった部屋には沈黙が広がるだけ。
youはへらりと苦笑を浮かべ、もう一度三成の頭を撫でて部屋を出る。
廊下から見上げた月は見事な満月で、多少不納得な部分はあれど
今日はいい夢が見れそうだと、自然と頬が緩んでしまうyouなのであった。
喩えて云うなら
殉教者の恋
you
(おはようございます、三成さん。)
三成
(うう…。)
you
(やっぱり…見事に二日酔いですね!)
三成
(煩い……騒ぐな…頭に響く…。)
you
(お水、持ってきましょうか?)
三成
(ああ…。)
you
(その様子では、今日は一日ダウンですか?)
三成
(情けないことにな……半兵衛様には伝えているが…。)
you
(じゃぁ、わたし、三成さんの傍にいてもいいですか?)
三成
(好きにしろ……ただし騒ぎ立てたら斬滅する。)
#you
(了解です。)
三成
(何と不遜な事態だ…。)
you
(三成さんにもそういう日があるんですね。)
三成
(ウルサイ!さっさと水を持って来い!他にも顎で使ってやるから覚悟しておけ。)
you
(膝枕でもしますか?)
三成
(バッ…馬鹿なことを!)
you
(でも、この時代の枕って硬くて痛くないですか?わたしは痛くて嫌なんですよねー。)
三成
(・・・。)
you
(わたしじゃ…嫌ですか?)
三成
(な、ぐっ…!)
you
(じゃぁもういいよ、お水と一緒に家康さん呼んでくるからっ。)
三成
(何故そうなる。)
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